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現代のワニといえば水中に生息するどう猛なは虫類というイメージがありますが、ユタ大学自然史博物館の研究チームが既に絶滅した古代ワニの歯を分析したところ、「古代には草食性のワニがたくさん生息していた」ことが判明しました。

Repeated Evolution of Herbivorous Crocodyliforms during the Age of Dinosaurs: Current Biology

https://www.cell.com/current-biology/fulltext/S0960-9822(19)30690-6

Some extinct crocs were vegetarians

https://phys.org/news/2019-06-extinct-crocs-vegetarians.html

ワニは恐竜が現れたのと同じ中生代三畳紀に登場したと考えられており、三畳紀末の大量絶滅や白亜紀末の大量絶滅(K-Pg境界)を生き抜いて今日まで存在し続けています。三畳紀から大きさの違いはあるものの基本的な形態はほぼ変化しておらず、非常に長く地球上で繁栄を続けてきました。

今日見られるワニはいずれも似たような体型かつ肉食であり、比較的単純な円錐形の歯を持っています。しかし、ユタ大学の博士課程学生であるKeegan Melstom氏と指導教官のRandall Irmis氏は、過去の研究から古代のワニは口内の部位によって歯の形状が違う異歯性を有しており、より多様な食習慣を持っていたと推測しました。

Melstom氏は「肉食動物は単純な形の歯を持っているのに対し、草食動物はより複雑な形の歯を持っています。動物と植物を両方食べる雑食動物ではその中間です」と述べています。以前の研究でMelstom氏は、食生活による歯の形の変化が哺乳類だけでなく、は虫類にも当てはまることを示したとのこと。さらにMelstom氏はこの考えを、既に絶滅した古代のは虫類にも適用できると考えたそうです。



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そこでMelstom氏らは古代のワニが何を食べていたのかを推測するため、もともとは哺乳類用に開発された手法を応用して、古代のワニの歯が持つ複雑さを現代の動物と比較しました。研究チームは16種類の絶滅したワニから、合計で146本の歯を用いて比較検証を行ったとのこと。

歯の状態の定量的評価と他の形態学的特徴を組みあわせ、研究チームは古代のワニが持っていた食生活を復元。その結果、古代のワニはこれまで認識されていたよりも歯の複雑性が高く、幅広い食生活を持っていたことが判明しました。

「私たちの研究で最も興味深い点は、古代の絶滅したワニがとても頻繁に植物を食べていたという点です」とMelstom氏は述べています。植物を食べるワニは三畳紀末の大量絶滅後の比較的早い時期に登場し、白亜紀末の大量絶滅まで生き延びたとのこと。その間に少なくとも3回は独立して草食性のワニが進化の中で発生したそうで、Melstom氏は6回ほど草食性のワニが独立的に誕生したと推測しています。



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古代のワニは肉食性のものから草食性のもの、雑食性のものまで幅広く存在しており、草食性のワニは一部地域にとどまらず世界中に広く分布していた模様。Melstom氏は今後、なぜ三畳紀末の大量絶滅後にワニの多様性が増加した一方で白亜紀末の大量絶滅後に多様性は増加しなかったのかといった点について、研究を進めていきたいと述べました。