「漢字」、一文字一文字には、先人たちのどんな想いが込められているのか。時空を超えて、その成り立ちを探るTOKYO FMの「感じて、漢字の世界」 https://tfm-plus.gsj.mobi/news/btmCTxPpMQ.html。今回の漢字は「自」。「自ら(みずから)」とも読む漢字です。

(TOKYO FM「感じて、漢字の世界」2019年2月2日(土)放送より)



「自分」の「自」は正面から見た鼻の形を描いた象形文字。

自分自身を示すとき、古代中国の人たちは、自分の鼻を指さしたり、鼻をおさえたりしていたといいます。

そこから「自」という漢字は「おのれ・みずから」という意味になりました。

そのほか「自ずから(おのずから)」と読めば、「しぜんに」「ひとりでに」という意味にもなります。

誰かと話をしていて自分のことを示す場合、鼻を指さすのは、日本や中国独特のしぐさといわれます。

中国には「鼻」に「祖先」の「祖」と書く、「鼻祖(びそ)」という言葉があります。

彼らは、母親の胎内で最初に形づくられるのが鼻である、と考え、「鼻祖」は事を始めた人、祖先や元祖、という意味をもつのです。

人が生まれるときはまず鼻からあらわれるという俗説もあり、そこから、自分自身を示すときに鼻を指さすようになったのかもしれません。

ところが、西欧諸国を含めた多くの人々は、胸のあたりを指さすか、あるいは手をあてるしぐさをするのが一般的。

西欧では人間の自我が胸に存在すると考えられていました。

これは、魂が息の中に現れるとされていた時代にさかのぼります。

肺がある胸のあたりが、魂のある場所、と考えたのでしょう。

ちなみに、手話でも自分のことを示すときは胸を指さすのが通常です。

ただ、より自分を強調したい場合は、鼻を指さすといいます。

例えば、この中の誰がそこへ行くのか、という話題が上っているときは、「私がそこへ行きます」と強調して、鼻を指すのです。

ではここで、もう一度「自」という字を感じてみてください。

自分のことを確認したり、強調したり、印象づけたり。

忙しい日々をやり過ごすのに精一杯で、指をさし、しかと自分を認識する時間はそうそうありません。

旧暦では、立春こそが一年の始まり。

お正月にたてた志も忘れかけた今、もう一度与えられた仕切り直しの機会です。

誰にあわせる必要も、果たすべき役割もない素の自分と向き合おう。

「誰かのため」も素敵だけれど、まずは自分にやさしくしよう。

自分が自分の、一番の理解者で最強の味方。

すべてはそこから、始まります。

漢字は、三千年以上前の人々からのメッセージ。

その想いを受けとって、感じてみたら……、

ほら、今日一日が違って見えるはず。

*参考文献

『常用字解 第二版』(白川静/著 平凡社)

『ボディートーク 新装版 世界の身ぶり辞典』(デズモンド・モリス/著 東山安子/訳 三省堂)

2月9日(土)の放送では「慣」に込められた物語を紹介します。お楽しみに。



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聴取期限 2019年2月10日(日) AM 4:59 まで

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<番組概要>

番組名:感じて、漢字の世界

放送エリア:TOKYO FMをはじめとする、JFN全国38局ネット

放送日時 :TOKYO FMは毎週土曜7:20〜7:30(JFN各局の放送時間は番組Webサイトでご確認ください)

パーソナリティ:山根基世

番組Webサイト:http://www.tfm.co.jp/kanji/