由香の秘密:東京の男は、こんな風に私を抱ける?死線を生きる刺激的な男女への憧れ
私の人生は、ドラマなしには語れない。
常にドラマチックな人生を送り、周囲をゴシップで沸かせてきた由香。
32歳バツイチにも関わらず、童顔の可愛い顔と自由奔放な振る舞いで、「モテ女」や「悪女」の異名を欲しいままにしている。
港区の男たちを手玉に取るのも、朝飯前。
「SATCみたいに、都会のお洒落や仕事を楽しみたい。素敵なメンズと、劇的に恋に落ちたい」
そんな戯言を口にする由香の秘密は、常にドラマの中にある。

私は、自他共に認める海外ドラマ好きである。
しかし、自分の胸が「ドクドク」と実際に音を立てるほど興奮し、身体が震えるほど緊張する作品は、唯一「ホームランド」だけだ。
ドキドキハラハラ感が病みつきになり、面白くて続きが気になるドラマは、いくらでもある。特に海外ドラマは、日本ドラマのクオリティとは比較にならず(製作費も天と地の差らしい)、見応えのあるものばかりだ。
そんな大作がゴロゴロと転がっているドラマ大国アメリカで、オバマ大統領やバイデン副大統領までも魅了しているというのが、このテロリストとCIAの熾烈な戦いを題材にした、「ホームランド」だという。
このドラマを観るとき、私はスマホや家のインターホンすらも電源を切るようにしている。
少し前の休日、私は『サルバトーレ』でピザを頼み、デート相手から貰ったカリフォルニアのとっておきのワインを片手に、このドラマに思い切り集中しようと気合いを入れた。
だが、ストーカーと化した馬鹿な商社マンに家に押しかけられ、邪魔されてしまったことがある。
それは、文字通り手に汗握るような、息もできないほど切羽詰まった場面だった。
私は、あの恨みをいつか晴らしてやる。と、深く深く根に持っている。
あの外銀女子好きの薄っぺらいミーハー男は、同期の杏子とも付き合っていたのだから、恐らくまた近いうち私の知り合いに手を出すはずだ。
その時は、絶対に奴の恋路を邪魔してやろうと心に決めた。
私のこのドラマへの思い入れは、それくらい強いのだ。
由香がちょっと人には言いにくい、このドラマの本当の魅力は...?
「劣化した?」なんて斜め目線も吹き飛ばす、真の女優の凄まじい演技力
この「ホームランド」は実際に、数々の賞を総ナメし、しかもあの「24」の制作陣が手掛けた作品である。
しかし一番の魅力は、完成度の高いストーリーや大掛かりな舞台設定云々よりも、主演女優であるクレア・デインズの凄まじい演技力にあると、私は個人的には思っている。
ドラマが大ヒットした要因の半分以上は、彼女のおかげではないだろうか。
そのクレア・デインズとは、ちょっと知っている人ならば、「おっ」と思うハリウッド女優だ。
何を隠そう、レオナルド・ディカプリオが日本で爆発的に有名となった映画「ロミオ+ジュリエット」(通称:ロミジュリ)のジュリエット役を可憐に演じ、当時のレオ様ファンから羨望と嫉妬の嵐を受けた張本人である。
例に漏れず、当時中学生であった私自身も、地団駄を踏むほど彼女を羨んだ。(「ロミジュリ」は、レオ様の魅力最高値の映画だと私は思っている)
正直、「ホームランド」で最初に彼女を見たとき、「ロミジュリの頃と比べると、かなり劣化したな...。」と思わずにはいられなかった。が、仕方あるまい。
ジュリエット役の彼女は当時ティーンエイジャーだが、今はもう30歳過ぎで、しかも子持ちだそうだ。それに、白人女性はアジア人よりも、ずっと老化が早いのだ。

しかしドラマを観始めると、「劣化した」なんて思いはすぐに吹き飛ぶほど、クレアの演技には惹き込まれてしまう。
今でも美人には変わりないのだが、美しい顔を持っている女とは思えないほど、物凄い表情で泣いたり怒ったりする。
観ているこちらが「え?この人、大丈夫なの?」と思うくらい、もはや「ヨゴレ」とも言える酷い顔を惜しみなくさらけ出すのだが、それもまたクセになる。
彼女はたぶん、女優として自分を綺麗に見せることなんか、全く考えていないのだ。そんなことより、役に没頭し、作品のクオリティを上げることに徹していると思われる。
こういう人が、真の女優というのだろうか。
そして、彼女自身のキャリア経歴も、ちょっと興味深い。
クレアはマンハッタン生まれの生粋のニューヨーカーであり、日本でスカしている港区とは月とすっぽんレベルの超富裕層街・アッパーイーストの学校に通い、イェール大学に入学し心理学を専攻。そして、女優業を優先するため中退した。
そう、彼女はかなりのエリートでもあるから、さらに感心してしまう。
そして何よりも、こんなエリート女優の濡れ場は、女の私でも身体がゾクゾクしてしまうほど、凄い。
ドキドキハラハラ感だけではない、このドラマの官能的な魅力に、由香は...?
港区の男は、あんな風に刺激的に、女を抱けるのか?
生きるか、死ぬか。
私はもちろんCIAやFBIなんかの仕事には疎いが、そういう死線ギリギリの人生を必死に生きている男女の絡みは、野性的であり、ものすごく官能的だ。
クレア演じるCIA捜査官であるキャリーと、イラク戦争の残存兵で、テロリストに洗脳を受けてしまったブロディ。
キャリーにはCIA業務上のシガラミもあるし、ブロディには妻や子供もいる。
しかし彼らは、不倫や道徳観念、ましてや恋愛感情などというものを殴り捨てるように、一対の雄と雌として、本能的に求め合っているように思えてならない。
二人の関係は悲しくも様々に変化を遂げるのだが、私にはこの男女の濡れ場が、とにかくタマラナイ。
可能ならば、あの馬鹿商社マンを始め、港区で調子に乗っている外銀や経営者の男たちに、それらのシーンを見せて言ってやりたい。
「あんた達は、こんな風に女を抱けるのか?」と。
何度も言うが、このドラマは、それくらい私をゾクゾクと体の芯から痺れさせてくれるのだ。
もちろん、平和ボケした日本の男たちに、ドラマレベルの刺激を期待しているわけではない。
だが、やはり適当な男と一夜楽しむくらいなら、キャリーとブロディからブラウン管を通して刺激を受ける方が、よっぽど女性ホルモンが活性化される。

また、さらに「ホームランド」を魅力的に彩るのは、BGMとして絶妙なタイミングで流れる、ジャズの音楽だ。マイルス・デイヴィスやセロニアス・モンクなどの、ジャズ界の偉人たちの曲。
スリリングに、妖艶に、時に物悲しく。クールなトランペットやピアノの音色が、物語のシーンによって、様々に響き渡る。
元々それほどジャズ好きというわけではなかったが、私はキャリー真似て、男を部屋に招くときは、決まってマイルス・ディヴィスの”My Funny Valentine“を流すようになった。
こうやって私は、ときたまドラマと現実を混同させ、1人こっそりと楽しんでいる。
刺激。
それは私の人生において、絶対に欠かせないモノである。
次週12月31日土曜更新
永遠の妖精、オードリー・ヘプバーン。その偉大な魅力に、由香は憑りつかれる...?
