「新語・流行語大賞」にノミネートされた言葉が発表されると年末を実感しますね。流行は世相を表しますが、流行を作り出す立役者、それはいつの時代も若い女の子だったりします。今回は、大正時代の若い女性に流行ったヘアスタイルのお話です。


大正モダンガールが憧れた「耳隠し」ブームとは?



女性文化が花開いた時代として語られることの多い大正時代。
女学生やモダンガールと呼ばれる時代の最先端を行く女性たちが、多くの流行を作り出しました。
美意識の強い彼女たちがこだわったもの、それは服装やお化粧、そして髪型です。

どんなに時代が進んできたとはいえ、当時はまだまだ古い考えが蔓延っていました。
「女性は女性らしく」、長い黒髪でなければいけない。
そんな考えに反発し、ショートカットに憧れるモダンガールたちがたくさんいたのです。
ショートカットといっても男性のような短い髪ではなく、今でいうボブやおかっぱ。
その長さでも女性が髪を短くすることは「断髪」といって親世代に大変嫌われ、ときには勘当されることすらあったそうです。

そんな中、彼女たちが編み出した髪型が「耳隠し」。
断髪には至らないものの、なんとかして今までの風潮を壊し、新しくて美しい女性のおしゃれを楽しみたい……それが耳を隠すというヘアスタイルでした。

前髪を七・三に分けてサイドに流し、コテで大きなウェーブをつけます。
両サイドの髪で両耳を覆い、毛先は後頭部にまとめ出来上がり。
当時、耳を隠すという髪型は画期的で、もちろんウェーブだって最先端。
さらに髪を切らなくてもボブのように見えるという素晴らしいスタイルだったのです。
「耳隠し」はモダンガールの間で大流行しました。

当時のおしゃれな女性たちの服装の定番は、少し長めのスカート丈にクロッシェという帽子を被ったスタイル。
クロッシェはフランスのデザイナーが考案した帽子ですが、耳隠しととても良く合うデザインでした。
この恰好をすることによって、女性たちは自分たちが社会の脇役ではないことを主張していたのかもしれません。

世相を反映して生まれる流行やファッション。
やはりおしゃれは、人間にとって欠かせないものなのだということがわかります。

文/岡本清香

TOKYO FM「シンクロのシティ」にて毎日お送りしているコーナー「トウキョウハナコマチ」。江戸から現代まで、東京の土地の歴史にまつわる数々のエピソードをご紹介しています。今回の読み物は「モダンガールの『耳隠し』」として、11月24日に放送しました。

<番組概要>
番組名:「シンクロのシティ」
放送日時 :毎週月〜木曜15:00〜16:50
パーソナリティ:堀内貴之、MIO
番組Webサイト:http://www.tfm.co.jp/city/