学生の窓口編集部

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地球の表面のおよそ70%を占める「水」。生物の故郷とも呼べる場所で暮らしているのに、いまだに水中生活になじめない「魚」がいるのはご存じでしょうか?

多くの魚は体内に「浮き袋」を持ち、潜る/浮かぶ、バランスを保つのに使っていますが、鯉(こい)の浮き袋は「腸」と直結した原始的なタイプ。空気が入りすぎたときは「げっぷ」で調整する、ちょっと下品な魚なのです。キャビアで知られるチョウザメも浮き袋が未熟で、深く潜ると水圧でつぶれ浮上できなくなるし、浮き袋を持たないマンボウは「ぜい肉」で浮かぶような仕組み。水中で暮らすのもひと苦労な魚がいるのです。

■鯉の「げっぷ」は潜行の合図?

水に入るとからだが軽くなったように感じるのは「浮力」を受けるためで、自分が押しのけた水が、逆にそのひとを押し出そうとする力を生むからです。鉄製の船でも浮かぶのは浮力のおかげですが、魚のように潜ったり浮かんだりする生き物には非常に不便な存在。そこでほとんどの魚は体内に「浮き袋」を持ち、これを膨らませる/しぼませることによって浮力を調整しています。ところが鯉の浮き袋は原始的で、調整は「口」経由。ときどき「げっぷ」をして浮力を減らす必要があるのです。

多くの魚は体内のガスを利用して「浮き袋」を調整できるのですが、鯉の浮き袋は「腸」とつながっているため、浮力は飲み込んだ空気次第。自動調整機能がない状態なので、魚なのに、空気が入りすぎると潜れなくなってしまいます。そこでときどき「げっぷ」をして空気を減量……。人間ならマナー違反で嫌われそうですが、こうしないと浮かんでしまい生活できませんので、大めに見てあげましょう。

■おぼれるチョウザメ、おデブなマンボウ

水中生活が苦手な魚はほかにもいます。代表例は浮き袋の弱いチョウザメ、持っていないマンボウです。

珍味で知られる「キャビア」の親・チョウザメは、じつはサメとは呼べない種。サメは浮き袋の代わりに脂たっぷりの「肝臓」を利用して浮力を得ていますが、チョウザメはほかの魚と同様に浮き袋を利用しているからです。ただし高機能な浮き袋とは呼べず、深くまで潜ると水圧でツブれ、自力で戻せない頼りなさ……。これは鯉と同じような構造で、体内のガスで調整できないのが理由で、サメと呼ばれながらも繊細な魚なのです。

かわいらしいルックスで人気のマンボウは、さらにヘンな浮き袋事情で、成長すると浮き袋がなくなってしまいます。このままではおぼれてしまうので、全身にゼラチン質の「ぜい肉」をつけ、浮力を稼いでいるのです。

尾ビレも「うろこ」も持たないマンボウは、魚のなかでもかなり変わった構造なのはご存じでしょうが、稚魚のころは持っているのに、おとなになる浮き袋がなくなってしまう、いったいナニがしたいの? な魚。代わりに皮の下に水分の多いゼラチン質を備え、海水との重さの差を利用して浮力を得ています。人間にたとえるなら、皮下脂肪で浮かんでいるような構造なのです。

これはサメの肝臓と同じ理屈で、水圧の影響を受けにくいためと考えられています。好物のクラゲを求めて深くまで潜ることもあるので、このほうが便利なのでしょう。ただしサメと同類と聞いたらちびっ子が怖がるので、水族館では秘密にしておきましょう。

■まとめ

 ・ほとんどの魚は、浮力を得るために「浮き袋」を持っている
 ・鯉は浮き袋を調整できないので、空気を減らすために「げっぷ」をする
 ・サメは肝臓の浮力を利用しているが、チョウザメには浮き袋がある
 ・マンボウは、おとなになると浮き袋がなくなってしまう

(関口 寿/ガリレオワークス)