AV女優は職業なのか? 横山美雪さんのブログから考える

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セクシータレントの横山美雪さんが、過去に言われた暴言とそれに対する反論を2012年1月3日に自身のブログに記し、話題になっている。「この仕事してるからかわいそうとか簡単に誰でも股開くんだろとか結婚できなそうとか」言われた経験に対し、「職業違うだけで同じ人間でしょ? そこに優劣はないはず」などと横山さんは自説を述べている。

ネット上では賛否両論が入り乱れているようだが、議論の前提として「AV女優は『職業』なのかどうか」を確認する必要があると思う。まず、筆者の見解を述べる。

第1に、やっていることが犯罪ではない。第2に、他者に迷惑をかけていない。第3に、出演した作品が商品として流通し、購入する人がいる。第4に、その商品の売り上げの一部が働いた報酬として支払われる。まだまだ理由はあるが、とりあえず以上の4点だけ見ても、AV女優は「職業」だと筆者は考えている。

では、AV女優が職業だという前提で話を進めよう。次は、「職業に貴賎があるかないか」である。筆者は、原則的には「ない」と考えている。「ない」と思いたい、といってもいい。

しかし、世間の目は厳しい。近所の誰がどんな仕事をしてるとか、親戚の誰がどこの会社にいるなどと、世間の人々は陰日向で噂している。そんな噂が前提となり、どの仕事が「貴」でどの仕事が「賤」かという評価がなされている。そんな評価はくだらないものである。筆者自身は、そんな評価を聞くたび「その前に、お前はどうよ」と問いただしたくなる。

問題は、なぜ職業に貴賎があるような噂が世間で囁かれるのか、である。その答えは単純明快なものである。すなわち、噂をする側の人たちが「貴」だと思っている職業のことも、「賤」だと思っている職業のことも、よくわかっていないのだ。もしわかっていれば、どんな職業であっても「働いてお金を稼ぐ」ことや「さまざまな苦労を抱えている」点では共通しており、「いろいろあるけど、お互いたいへんだよねぇ。まあ、がんばりましょう!」という話になると思う。

ようは、いろんな職業の人と話し、いろんな職業が紹介されている本を読み、いろんな職業を取りあげるテレビ番組を観たりすることにより、「いろんな職業がある」こと自体を知ることが重要なのである。横山さんがブログで書いたような職業観をネットでバカにしているような方には、まず永沢光雄さんの『AV女優』(文春文庫)を読むことをおすすめする。

横山さんがブログに書いた話のなかで一点だけ納得できないのは、「同じ人間でしょ?」という部分だ。筆者は、違う人間の集まりが社会を築いていると考えている。「同じ人間」というかたちでまとめてしまうと、誰かが「こいつは同じじゃない」と言いだした場合、どうしても「同じではない人間は排除する」という圧力が働いてしまうような気がするからだ。

最後に、職業にかかわらず「結婚だってできると思うし、子どもだって幸せにできるさ」という横山さんの意見は正論だと思う。当たり前の話だが、「幸せ」の度合いは心の持ちようで決まるものであり、けっして職業の種類のみと連動するわけではないからだ。

いずれにせよ、横山さんが自身の職業観や幸福感を記す、いや知らさざるをえなくなったことの原因は、「かわいそう」とか「誰でも股開く」などと暴言を吐く輩の存在である。その点を理解していれば、横山さんが「こういうことを書きたくなる気持ちもわかるよな」という感想を持つことはあっても、言葉尻をとらえて文句を言うような内容ではないと筆者は思う。

(谷川 茂)