「巣立った子どもの部屋がそのまま」「寂しくて片付けられない」専門家が教える空き部屋を<ただの物置>にしない整理術。人生後半を楽しむ家づくりとは
「いつか戻ってきてほしい」という親心
子どもが巣立った後、部屋を当時のままにしておくご家庭は少なくありません。
そこには、「いつか戻ってきてほしい」という切ない親心や、「どうしていいかわからない」という戸惑いが隠れていることが多いものです。
子どものモノがそのまま残っている状態は、親自身の気持ちの整理がまだ追いついていないサインかもしれません。
もし今、「片付けたいけれど、寂しくて手がつかない」と感じているなら、無理に捨てることから始めなくても大丈夫です。
まずは、その部屋を「子どもの過去の部屋」から「新しい目的を持つ空間」へと、頭の中でアップデートしてみることから始めましょう。
「次なる目的」を明確に
例えば、子どもが結婚して里帰りの時に快適に過ごせるゲストルームにしたり、自分の趣味の部屋にしたりと、「次なる目的」を明確にすることが大切です。
ただし、お子様の気持ちも確認しておくこと。
元々はお子様の部屋なので、親の考えだけですると、子どもは密かに悲しい思いをします。
お子様の部屋ですので、事前に相談し、意思を確認しておくことが大前提です。
お盆や正月を待たずに、LINEで写真を送って「この部屋を片付けたいんだけど、あなたはどう思う?」と話しかけてみてください。
子どもがやる気になったら、写真を送りつつ「これどうする?」と、一つずつ聞いていくのがコツです。
子どもの物はあくまで子どもの所有物ですから、無断でするのが一番いけません。
親の基準を押し付けるのではなく、お子様自身の基準や結論を尊重しながら、少しずつ対話を進めていきましょう。
夫婦間の“距離感”を再確認
長年「子ども中心」で回っていた生活から、急に「夫婦二人きり」の生活に切り替わると、多くの方が戸惑いを感じます。
その大きな理由の一つに、夫婦間の「距離感」があります。
いざ二人になっても、共通の趣味がなかったり、見たいテレビが違ったりすると、同じリビングに居づらさを感じてしまうことがあるのです。
そんな時こそ、空いた子ども部屋の出番。
そこを互いの書斎や趣味の部屋にすることで、家庭の中にちょうど良い距離感が保てるようになります。
自分の時間を大切にできる場所があるからこそ、二人の時間もより豊かになるのです。
もし「空いた部屋をどう使うか」で夫婦の意見が食い違った時は、どちらかが「正しい」と思って話をしないことがコツです。
お互いの考えが異なるのは当たり前のこと。
二人のこれからの生活をより良くするための「プロジェクト」を進めるかのように、客観的に最適解を話し合ってみてください。
お互いが「どう生きたいか」を共有するプロセスそのものが、新しい夫婦関係を築く土台になります。
持ち物の「数」を見直すチャンス
子どもが巣立ち、住まいの人数が減ったタイミングこそ、持ち物の「数」を見直す絶好のチャンスです。
モノの管理が減れば、掃除や整理の手間が省け、家事の負担とストレスが同時に軽減されますし、終活に向けてのモノの整理として良い準備ともなります。

(写真:Adobe Photo Stock)
特に、キッチンやリビング、洗面室など、毎日ハードに使う場所から手をつけるのがおすすめです。
こうした場所でモノを厳選し、日々のラクさを実感することが、家全体の片付けへと繋がります。
年齢を重ねると体力も落ちてきますので、一気に全部やろうとしないことが「疲れない片付け」の秘訣です。
1日棚1段だけ、あるいは服を5着だけ見るなど、1日5分で終われる量にする。
短時間でも毎日続けることで習慣化し、1週間では35分も作業したことになります。
「捨てる・残す」を判断する際は、まず「何を残したいか」を決めます。
残すモノについては、「どこに」「どうやって」「期限」などを決めておくと管理が楽になります。
捨てる際に罪悪感があるなら、あげる、寄付する、売るなど、その先の処分法を決めることで、手放すことへの抵抗が少なくなります。
住まいを更新できる人ほど、人生後半を楽しめる
住まいを今の自分たちの生活に合わせて更新できる人ほど、人生後半を生き生きと楽しむことができます。
実際に空いた子ども部屋を片付けて活用されている事例はたくさんあります。
●自分の部屋にして、歌を歌ったりオンラインで仕事をしたりする部屋にした方
●人生で初めて「自分のための部屋」を持てた女性
●96歳の母の介護が必要になった際、スムーズに介護室として活用できた方
もし片付けをしていなければ、これらの部屋はただの物置として埋もれていたかもしれません。
子どもがいなくなって寂しいという喪失感からマインドシフトするためのコツは、自分のための「バケットリスト」を書くことです。
自分が若い頃にやりたかったこと、子どもがいたから制限していたことを書き出し、それを実現する場所として部屋を整えてみてください。
また、子ども部屋を素敵なゲストルームに整えておけば、お子様も孫を連れて帰りやすくなります。
私自身の経験でも、実家の自室が母のクローゼットになって泊まれず、ホテルを利用した時期がありました。
ゲストルームとして開けておくことは、遠方の友人を招くきっかけにもなります。
環境は暮らし方に直結し、暮らし方は人生の質を左右します。
ぜひ今の自分たちの人生のために、まずは引き出し一つから、新しい一歩を踏み出してみてください。
