「原さんに引導を渡してまで監督に据えたのに…」なぜ巨人は阿部慎之助(47)をスッパリ切れた? 3年前とは決定的に違う“冷酷な事情”
交流戦開幕を翌日に控え、球界に衝撃が走った。巨人の阿部慎之助監督(47)が5月25日に長女(18)への暴行容疑で現行犯逮捕となり、翌日には球団から辞任が発表された。
【写真】3年前は辞任表明を引き止め、原氏の退任を前倒してまで監督になった阿部氏が今回はなぜ…
その際、長女が「チャットGPT」に相談した末に児童相談所に通報していたことが判明、旬のAIが絡んだことで一層大きな注目を集めることになった。

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阿部氏が辞意を表明するのは今回が初めてではない
阿部氏は26日朝、巨人の山口寿一オーナーに面会し、涙ながらに辞任を申し出たという。ペナントレース中に現役監督が起こした前代未聞の不祥事に、その後の会見では「伝統ある巨人軍監督の名も汚してしまって、深く謝罪したい」と力なく話した。
山口オーナーも「暴力を振るったこと、そして逮捕されたという事実は消すことができない。監督の暴力というのは非常に重い出来事でありますので、辞任は避けられないと考えました」と辞任を認めたことを明らかにした。読売新聞は27日付の朝刊でオーナーの説明を強化する「暴力を振るった事実は重い」と題した社説を掲載している。
阿部氏の会見では代理人弁護士が長女の手紙を読み上げたことも話題になった。望んでいなかった事態に発展したことへの悔恨やありふれた親子関係などが記され、阿部氏を擁護するような内容だった。それを受けて阿部氏の監督復帰を求める署名活動も始まり、瞬く間に10万人以上の賛同が集まっている。
辞任という決着について「厳しすぎる」「何か公にされていない事実があるのでは」「ともあれ暴力を振るったのだから辞任は妥当」など論争が終わる気配はない。
「原さんに引導を渡してまで、慎之助に監督のイスを」
こうした中で、さる球界関係者は阿部氏が辞意を表明するのは今回が初めてではない、と語る。
「慎之助はヘッドコーチ時代にも球団に辞意を伝えたことがあり、今回は2度目なんです」
2023年、ヘッドコーチだった阿部氏は原辰徳監督が3年連続で優勝を逃したことの責任を取るため、一度は球団に辞意を伝えたという。しかし原監督の“次”に阿部氏を想定していた球団はこれに慌てた。
原監督の契約は2024年まででまだ1年残ってはいた。しかし球団は、それでも阿部氏を慰留するために前倒しで監督交代を進めた。
「原さんの次は慎之助というのが自然な流れで、慎之助に辞められると次の監督の人選が難しくなることは目に見えていました。そこで球団は原さんに引導を渡してまで、予定を前倒して慎之助に監督のイスを託した形です」
阿部氏は現役時代、巨人のキャッチャーとして史上初の通算2000本安打、セ・リーグMVPや首位打者に打点王など、数々の栄冠を手にしている。
19年に現役を引退して指導者になった時は数年での監督就任を予想する人もいたが、時代とマッチしない厳格な指導法への懸念もあり球団は慎重な姿勢を維持していた。2軍監督などで阿部氏の“修行期間”は最終的に4年にも及んだ。それでも球団は、阿部を次期監督に据えるという方針を貫いたことになる。
1軍監督に就任した阿部氏は1年目の24年、いきなりチームを4年ぶりのリーグ制覇に導いた。その翌年は3位、3年契約最終年の今季は岡本和真内野手(ブルージェイズ)が抜けた戦力をやりくりしながら上位争いに加わっている。球団の期待に一定の成果で応え、歴代監督にも見劣りしていない成績を残していた。
しかし、阿部氏の契約延長が盤石だったかというと、まったくそうではなかったという。
今シーズンを前に、巨人は昨年2軍監督としてイースタン・リーグを制覇した桑田真澄氏との契約を終了している。阿部氏と指導方針で溝があったことが背景にあったと言われ、進退が懸かるシーズンに臨む阿部氏のために球団が力を発揮しやすい環境を整えた格好だ。
「桑田というレジェンドを切るほどの支援を受けた以上、慎之助は何が何でも結果を出す必要があり、来季以降の契約を勝ち取るためには優勝が必要なことを本人もわかっていたはず。監督の地位に執着している様子もなかったので、身を引く覚悟は決めていたと思います。もちろん今回のような最後は想像していなかったでしょうけど」(チーム関係者)
“阿部監督”にこだわった3年前と大きく違う事情も
“生え抜き限定”という不文律のおかげで難易度が高い次期監督選びも、阿部氏が就任した3年前とは状況が大きく変わっている。
巨人がずっと監督に招聘したがっている松井秀喜氏(51)は、2025年に長嶋茂雄氏が亡くなってからは巨人監督就任に前向きとも捉えられる発言が出るようになっており、「ポスト阿部」問題では真っ先にその名が挙がる。
また昨オフに桑田氏が退団する際に、山口オーナーは「縁が切れたわけではないと思っている。またぜひ力を貸して欲しい」と将来的な復帰に含みを残す発言をしている。
元監督の高橋由伸氏(51)の再登板の見方も根強くあり、候補は揃っており球団が阿部氏を引き留めた3年前とは監督事情が明らかに変わっている。
それもあってか、今後の阿部氏との関わり方を問われた山口オーナーの発言も冷たかった。
「辞めてもらったので、今は何もないですよね。当分、何もないですよね。この先のことは何とも言えないですけれども、今後の予定については全く何もないですね」
阿部氏との決別宣言の裏で、次期監督の予定については「全く白紙」とも発言。巨人の未来はどちらへ向かっているのだろうか。
(木嶋 昇)
