フリーアナウンサー・神田愛花『自費でPodcastを始めます』
出演料ゼロしがらみゼロ!
何か新しいことを始めたくて、5月23日(土)からPodcastで自分の番組を配信することにした。タイトルは、『愛花と瞳』。お友達でチェリストの新倉瞳ちゃんと二人でお喋りをする番組なので、お互いの名前を入れた。
制作費は私の自腹だ。番組のサムネイル撮影で使った衣装やスタジオ代金、カメラマンや録音時の人件費など、すべて私持ち。出演料は当然、0円だ。
テレビを見ていると、芸能人たちは楽しそうにゲームに挑戦したり、観光地を巡ったり、美味しいものを食べたりしている。誰しも一度は、「芸能人は遊んでおカネがもらえるから良いなぁ」と思ったことがあるだろう。並ばないと食べられないものも、普段は立ち入り禁止の場所も、仕事と称していとも簡単に食べたり入ったり。私にとっても、それらは唯一無二の経験で、自分の中に蓄積されていくとても有り難いことだ。
だが実は、あの自由で楽しそうな姿はすべて、多くの制限の中で試行錯誤しながら披露されている姿なのだ。
撮影許可が取れている限られた場所で、競合店や競合商品のことには触れず、それでいて″これだけは必ずコメントしてください″などの要求があるなか、来てくださったゲストに楽しんでいただくため、一歩引きつつも声を上げて盛り上げ、アシストし、先の展開がわかっていても言葉には出さずにジッと待つ……。
本当に″自由″にやっていることは一つもなく、沢山の制限や演出の中でどれだけ″自由風″に見せられるかが、私たち芸能人の大切な仕事だ。
そしてそれが出来たうえでようやく、自分が(心から楽しい!)と思える瞬間が1秒でも長くなるよう、自分のために気持ちを作る。その出来不出来が、帰宅後に「あ〜今日の仕事も楽しかったぁ」と思えるかどうかのポイントになるのだ。
決して好き勝手振る舞っているわけではない。そんな私に対し、出演番組を見た方の中には、「自由な発言が好きじゃない」とか「空気を読まな過ぎて見ていて不快」などと感じる方が相当数、存在する。エゴサをすれば必ずそれらの言葉を目にするのだ。
これはある意味、完全に″自由風″に見せられている証左であり、仕事として大成功だ。だが、そう言われ続けて十何年、次第に「私が本当に自由な場で仕事をしたら、一体どうなるのかな!?」と思うようになってきた。
そしてそれが現実になったら、(もしかしてまだ知らない自分に出会えるかも!?)という興味に変わり、「よーし! しがらみゼロの環境で仕事をするために、自費制作の番組を始めようじゃないの!」という考えに至った。
素の愛花を出せるパートナー
相手役の新倉瞳ちゃんとは、仕事で出会って10年来の仲だ。彼女は人生の半分を海外で過ごしている。海外思考、且つちょっとお嬢様育ちというところがお互いの共通項だ。価値観や金銭感覚が似ていて、話したいことの本題に入る前に「ん? 今のどういう意味?」という疑問で会話が止まることがない。
またお互いの生き方や仕事をリスペクトしていて、結婚生活や社会における女性の役割についても似たような考えを持っている。
そして何より二人で沖縄料理屋さんに行った時、「大好きなもずくをチマチマ分けて食べてたら足りないから、一人一皿頼もう!」という私の意見に、「それ良い!」と即賛同してくれた。これが、(彼女の前でなら私らしくいられる!)と思えた瞬間であり、一緒に番組を持ちたいと思った決め手だった。
すでに#3まで録り終えていて、初回の配信を待つばかり。二人ともいつも華やかなお洋服を着て笑顔の写真が多いので、サムネイル写真はこれまでのイメージを覆すべく、蝶ネクタイを締めたメンズっぽい衣装で、キリッとした表情に仕上げた。
まだなんとなく演出がある中でやっているような癖が抜けていない喋りだが、やっていて心から楽しい。ちなみに#1のタイトルは、『ショーンKさん、お元気ですか?』だ。このまま進めていけば、あと数回で″自由″に慣れて、本気で思っていることや考えたことを素直に話せるようになる気がしている。
普段から自由だと思われている人間が、リアルに自由を得たらどうなるのか!? ぜひその耳で確かめていただきたい。
かんだ・あいか/1980年、神奈川県出身。学習院大学理学部数学科を卒業後、2003年、NHKにアナウンサーとして入局。2012年にNHKを退職し、フリーアナウンサーに。以降、バラエティ番組を中心に活躍し、現在、昼の帯番組『ぽかぽか』(フジテレビ系)にメインMCとしてレギュラー出演中
『FRIDAY』2026年6月5・12日合併号より
イラスト・文:神田愛花
