本物のクマの爪を使って実験しました…対クマ専用防護服、ひっかかれても破れない
クマに襲われる被害が各地で相次ぐ中、京都府内の防刃衣料メーカーが対クマの専用防護服を開発し、5月に販売を始めた。
名称は「熊テクター」で、本物のクマの爪を使った実験で耐久性を確認したという。警戒にあたる自治体職員や市民らの使用を想定しており、メーカーは「万が一、クマと遭遇した際に命を守ることにつながれば」としている。(清水美穂)
開発したのは、八幡市の「サクセスプランニング」。桑原由香子社長(63)によると、2001年に起きた大阪教育大付属池田小の児童殺傷事件を受け、創業者の揚野雅史会長が「身を守る商品で社会貢献を」との思いを込め、03年に設立した。
つなぎの作業服や護身用のTシャツ、ベストなどが主力商品で、刃物を扱う加工場での作業や個人の防犯用などで使われている。昨年秋、クマ対策に悩む自治体や企業側から「製品はクマにも有効か」という問い合わせがあり、専用の防護服の開発に乗り出した。
同社の防刃製品は、高い強度を持つ特殊なポリエチレンの繊維や、ガラスを溶かして繊維状にした「グラスファイバー」などの素材を使用している。「熊テクター」は、それらの生地を重ね合わせることで強度を高めた。頭部と首、胴、腕の部位ごとに製作。動きやすさと耐久性のバランスを追求した結果、生地の厚さは、1センチに満たない仕上がりになった。
耐久性の実験は、大阪産業大工学部と共同で行った。クマが前脚を振り下ろしてひっかいたとの想定で、振り子式の衝撃試験機を使った。ツキノワグマの爪がある手の剥製(はくせい)に向けて、生地を装着したおもり(26キロ)を秒速4・9メートルの速さで約1メートルの高さから振り下ろした。一般的なニット生地と「熊テクター」の生地の破れ具合を確認すると、ニットは爪によって大きく破れたが、熊テクターの生地はわずかな傷がついた程度だったという。
クマの出没警戒にあたる自治体職員や警備員、クマ被害を懸念する一般住民の利用を想定しており、桑原社長は「痛ましいクマによる被害の軽減につなげたい」と話している。
商品は、頭部を覆った「防護フード」(税込み8万8000円)、胸や腹部周辺の「防護チョッキ」(同)、「ネックガード」(税込み4万9500円)、「防護腕カバー」(同3万5200円)などがあり、5月下旬から大手通販サイトなどを通じて販売している。
問い合わせはサクセスプランニング(075・925・5636)。

