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石橋正二郎氏が久留米市に寄贈した総合文化施設

次世代タイヤ『エアフリー』の実証実験取材で、ブリヂストン創業の地である福岡県久留米市を初めて訪れた。

【画像】ブリヂストンの歴史と発展を知ることができる石橋文化センター 全51枚

ここには『石橋文化センター』や、ブリヂストンのマザープラントである久留米工場などがある。取材ののち、短時間だが主要な施設を見学することができたので、その概要を紹介しよう。


次世代タイヤ『エアフリー』の実証実験が行われた石橋文化センター。    篠原政明

福岡空港から高速バスで約50分、JR久留米駅からでもバスで約15分のところに位置する、石橋文化センター。1956年にブリヂストンの創業者である石橋正二郎氏が久留米市に寄贈した総合文化施設だ。約6万6千平方メートルもの広大な敷地に、さまざまな花が咲き誇る庭園(取材時はバラが満開!)をはじめ、久留米市美術館や石橋正二郎記念館、音楽ホールや図書館などを備える。

開園時には体育館やプールなどもあったが、時代の流れとともに園内施設も変遷し、今年で70周年を迎えた。

今年リニューアルオープンされた石橋正二郎記念館

石橋正二郎記念館は、石橋文化センター開園60周年の2016年に、石橋美術館別館を改修してオープンした。開館10周年を迎えるにあたって昨年から改修工事が行われ、今年2月にリニューアルオープン。

ブリヂストンの創業者である石橋正二郎氏は、生涯を通じて故郷である福岡県久留米市の発展に尽くした。館内の2階に上がると、まず壁面には正二郎氏の実績を『事業』、『教育』、『芸術・文化』という3つの視点から紹介するイントロダクションコーナー、正二郎氏の数々の事績を紹介する年譜コーナーが展示されている。


石橋正二郎記念館では、手がけた事業の模型や当時の広告資料などを見ることができる。    篠原政明

そして、足袋、地下足袋、タイヤ、オートバイや自動車など、正二郎氏の手がけた事業の展開を示す模型や当時の広告資料などを展示。また、石橋文化センターの開園時と現在の姿を模型化することで、時代とともに敷地が広がり施設が変遷した様子を確認することもできる。

さらに、55インチの大型ディスプレイに表示された7つのキーワードをタッチすると、正二郎氏のさまざまなエピソードも知ることができ、一部はクイズ形式になっているなど、大人でも子どもでも楽しめるコンテンツが展開している。英語表記も可能だ。

正二郎氏や石橋文化センターだけでなく、久留米市とのゆかりについてもタブレットや関連書籍で閲覧できる情報ライブラリー、映像視聴コーナーなどもあり、石橋正二郎氏の人となりから今日のブリヂストンの発展を広い視野で知ることができる。クルマ関連業界に身を置く者なら、ぜひ一度は訪ねてみるといいだろう。

開館10周年記念事業を展開中の久留米市美術館

久留米市美術館は、1956年の石橋文化センター開園と同時に『石橋美術館』として、同センターの中心施設として開館。2016年、その運営を石橋財団から久留米市が引き継ぎ、久留米市美術館となり、同時に美術館別館が石橋正二郎記念館となった。

当美術館では、基本的には近代以降、すぐれた洋画家たちを輩出してきた久留米の歴史、ひいては九州全域にも目を向け、久留米ゆかりの作家を核とした九州洋画の体系的コレクションを形成している。


久留米市美術館は、久留米ゆかりの作家を核とした九州洋画の体系的コレクションを形成している。    篠原政明

取材時は、開館10周年を記念して、かつてのブリヂストン美術館から新たにアーティゾン美術館(東京都中央区)として活動する石橋財団コレクションの『いま』を伝える名品が展示されていた。

美術の教科書でもお馴染みの『海の幸(画・青木繁)』をはじめ、抽象絵画や印象派から現代作品まで、アーティゾン美術館のコレクションがまとまって貸し出されるのは今回が初めてのこと。これも石橋美術館を前身とする久留米市美術館だからこそ実現したのだろう。

アーティゾン美術館コレクションの展示は5月24日までだが、以降もさまざまな展示企画が予定されている。

最近の美術館とは異なり、展示室がひとつひとつ小ぶりな造りなのも久留米市美術館の特徴のひとつ。落ちついた空間で作品をじっくりと観たい、という人には最適な美術館だ。

ブリヂストンのマザープラント、久留米工場

石橋文化センターからクルマで15分ほど、筑後川沿いの久留米市の城下町跡に建てられたのが、ブリヂストンのマザープラントである久留米工場だ。

久留米工場は1934年3月に本格稼働を開始した。敷地面積は、43万平方メートル。現在は小型トラック用のラジアルタイヤや航空機用、モータースポーツ用のタイヤなどを生産している。


ブリヂストン久留米工場の展示エリアでは、当時の社長室にも入ることができる。    篠原政明

残念ながら工場は撮影禁止で内部は見学デッキから遠目に見ただけだったが、展示エリアを見学できた。ここには、石橋正二郎氏の歩みからブリヂストンの歴史、久留米工場で製造されているタイヤなど、さまざまなコンテンツが展示されている。また、当時の社長室にも入ることができた。

1931年創業当時のタイヤは木製ホイールに装着されていたが、これは戦後、自動車から外されたタイヤを大八車などに転用したためと推測されている。

また、航空機用タイヤは、最上級の天然ゴムが用いられている。これは離着陸時の摩擦だけでなく、気圧や温度変化の激しい環境に対応させるためだという。

久留米工場の展示は、あらためてタイヤについて勉強する機会を与えてくれた、なかなか有意義なものだった。

今回は取材時間の都合で短時間の駆け足見学だったが、いずれの施設もあらためて訪れて、しっかりと観て、学んでみたいと思わせてくれた。