数千年前の占いがなぜ今も当たるのか? 答えが一つに固定されなかった「易経」驚異の成長力【眠れなくなるほど面白い 図解 易経】
易経の言葉は解釈の積み重ねによって成長を続けてきた
時代を経て育まれてきた
易経は、ひとりの思想家が理論としてまとめ上げた書物ではありません。もともとは、占いの結果を示すための簡潔な言葉があるだけでした。その言葉は、状況の要点や変化の方向を示す最低限の表現にとどまります。そこから、人々が意味を考え、解釈を加えてきたことで、現在の易経の姿が形づくられていきました。
時代が下るにつれて、易経はさまざまな立場の人に読まれるようになります。為政者は国を治める判断の手がかりとして用い、学者は思想や哲学として読み解いていきました。また、一般の人々も、自分自身の生き方や選択を考えるヒントとして易経に向き合ってきました。同じ言葉であっても、置かれた状況や目的によって受け取られ方は変わり、そのたびに新しい意味が重ねられていったのです。
重要なのは、どこかの時点で解釈がひとつに定められなかった点です。もし、正しい読み方が固定されていたなら、易経は特定の時代や価値観に縛られた書物になっていたでしょう。解釈の余地が残されていたからこそ、新しい状況や問いが生まれるたびに、読み直され、使い直されてきました。
そうした解釈の積み重ねによって、易経は完成された書ではなく、時代とともに育ち続けている書としていまも読み継がれているのです。
解釈を重ねて育った書
易経は、時代を経るごとにさまざまな解釈が重ねられてきました。それらが思想としての厚みを形づくっています。
易経は現代にも応用できる
易経は解釈が固定されなかったからこそ、特定の時代や価値観に縛られることなく、新しい問いに応じて使われ続けてきました。
古代
現代
時代を超えてさまざまな解釈ができ、現代の問いにも対応している
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 易経』監修:湯浅邦弘
【監修者情報】
湯浅 邦弘(ゆあさ・くにひろ)
1957年、島根県生まれ。中国哲学・思想史研究者。大阪大学名誉教授、立命館大学 白川静記念東洋文字文化研究所教授。専門は中国古代思想史。先秦から漢代にかけての思想を、文献資料や新出土史料をもとに読み解く研究で知られる。著書に『中国思想の基礎知識』(青弓社)、『諸子百家 儒家・墨家・道家・法家・兵家』(中公新書)、『中国古典の生かし方――仕事と人生の質を高める60の名言』(NHK出版新書)などがある。

