義母に孫の送迎をお願いしたら…「誘拐されたかもしれない」と嫁を心配させた予期せぬ出来事

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臨床心理士・公認心理師として精神科に勤務する2児の母で、白目をむきながら子育てに奮闘するママの姿をユーモアあふれる漫画にして Instagram や X で発信している漫画家・イラストレーターの白目みさえさん。現在、二世帯住宅で義父母と一緒に暮らしている白目さんは、迷惑に感じることもあるほどお世話好きで独自の価値観を持っている義母に悩まされることが多く、本連載ではそのエピソードとともに姑とうまく付き合うコツなどをお伝えしています。

今回は、娘(孫)の習い事にまつわる相談を義母に投げかけたところ、見当違いな回答が返ってきて、話が通じていないとモヤモヤしたエピソードの第2弾。前回は、ピアノ教室でしたが、今回は中学受験に向けた学習塾に関して。どういったやり取りが繰り広げられ、どんな結末を迎えたのでしょうか。詳細を綴っていただきました。

「塾に通いたい」と言い出した長女

前回の記事で「娘(孫)が通うピアノ教室論争」の話をさせていただきましたが、義母の「心配性」と「自分のアドバイスに責任を持つのが怖い性分」の合わせ技は、その後も至るところで発生することになります。

「近所にピアノの個人教室はないですか?」と私が義母に尋ねたことから始まり、ひと騒動ありましたが、結局は娘はピアノを習い始めるも1年程で辞めることになり、他に習っていた水泳も習字もダンスもある程度で飽きてしまい、辞めて少し暇になったころ。長女が「塾に通いたい」と言い出しました。「友達が通っているから」というとてもわかりやすい理由で。動機はどうあれ、「勉強したい」のなら母は止める理由がありません。

ただ、娘が通いたいという塾は「中学受験用」の塾で、入塾テストがあるようなところ。当然通うとなると週1日というわけにはいきません。

そして、塾の授業時間は他に比べて長く、私や夫が勤務中の時間に始まりますので、私たちは送迎できません。絶妙な田舎住まいゆえ、バス停や電車の駅もすぐ近くになく、小学生が自転車で行くには躊躇う距離。その塾に通うとなると、義父母に送迎をお願いせねばならないという状況です。

単純に「塾通い」の希望であれば、もう少し近いところで手を打ちたかったのですが、なんせ一番の動機が「友達が通っているから」のため、それはもう他の塾で代用することができない条件です。

一応、私も知らないなりに自分のイメージやテレビなどでかじった知識を元に「中学受験の大変さ」について娘にわかるように説明し、中学受験用の塾に行く子はみんな「中学受験をする」という大前提であることを確認しました。

すると娘はこう言ったのです。

「受験する!」

なんということでしょう。数秒前までやんわり諦めさせる方向だったにも関わらず、焚き付けてしまったではありませんか。もうここまで来ては応援するしかありません。私は腹を括りました。通帳の残高を確かめながら……。

義母に相談しないわけにはいかず…

さて、ピアノ教室の一件があってから、義父母に直接関係のない話は、我が家の中で解決するようにしていた私。しかし、塾に送ってもらう可能性が出てきた以上、相談しないわけにはいきません。

まずは夫に「送迎の件、お義母さんに言っておいて」と頼んでから10日ほど経ったころ。夫は義母に「時間があるときにみさえに声かけて」とお願いしたそうなのですが、一向に義母からその話題が出る気配がなさそうなので私が直接行くことにしました。

以下、実際の会話のテンポでお楽しみください。

私「あの……長女が塾に行きたいと言い出しまして……」

義母「えー、小さいのにかわいそうに!」

心の声(お義母さん、長女はもう5年生なのでさほど小さくはありません)

私「友達と同じところに通いたいらしく」

義母「あらー、そんなの相手の子が辞めたらどうするの!」

私「(ここは流してもいい感想)えーっと……それで、A塾なのですが」

義母「ああ!(家から近い)B駅の近くの?」

私「いえ、そこではなく隣のC駅の……」

義母「ええー!遠いわよ!?どうやっていくの!?」

私「B駅に送ってくだされば自分でC駅に行くと思うので」

義母「えええー!小学生が電車に乗って!?」

お義母さん、少々田舎なので意外かもしれませんが、小学生でも電車には乗れます。それに、このまま中学受験をすれば確実に電車通学になるので、それも見越して1人で乗れるようになって欲しいのです。

そのことを十分に説明した上で、もし入塾テストに合格したら週何日かB駅まで送ってくれないかとお願いをしました。ここまでとても長かったです。

義母「そりゃ構わないけど。でもC駅まで送るわ!危ないし!」

お義母様? 私の話を聞いておりましたか?

私「あの……さっきも言いましたが、受験して合格をしたら電車通学になるので……」

義母「えええ!受験して!?通うの!?遠いわよ!」

心の声(知ってるよ!だから説明してるんだよ!さっきも言ったよ!)

なんだか全く話が通じている気がしませんでしたが、「B駅まで送っていくこと」自体は特に負担に感じていないようでしたので、塾に通うことが決定しました。

いよいよ娘が1人で電車に乗る日

入塾テストや最初の数回は私や夫が休みを調整して長女と共に電車に乗り、ICカードの使い方やチャージの方法、困ったときに頼る駅員さんがいる場所、電車のマナー、乗り換えの方法などを伝えて練習しました。

「行き」の電車は、夕方なので学生も多く、退勤ラッシュより少し早い時間になります。一方で「帰り」はかなり遅い時間になるので、夫が塾まで仕事の帰りに迎えに行くことに。こうすれば、比較的安全な時間で電車の乗り方を練習できるだろうという作戦です。

長女も中学で電車通学をするのなら、今から電車に慣れておきたいと希望していましたし、電車自体も好きだったのかとても楽しそうな様子でした。義母にもこの方法の目的をしっかりと説明し、塾の日のB駅までの送迎をお願いしました。

そして、いよいよ1人で電車に乗る日。私は職場で長女に持たせたGPSの軌跡をドキドキしながら眺めていました。ところが、次の瞬間私は「えっ!」と席を立つことに。

なんと、地図上で長女は線路上ではなく、大通りを高速移動しているではありませんか……。「え!もしかして誘拐された……!?」

地図上では数分後に塾に着いた様子ではありましたが、心配だったので塾に電話をして長女に代わってもらうと、「今日ばあちゃんが塾まで送ってくれた。しーちゃん電車で行きたかったのに……」とのこと。お義母さん? 私の説明を聞いてました?

帰宅後、義母に事情を聞くと「やっぱり危ないので塾まで連れて行った」とのこと。

このご時世ですから、安全面のことを考えても、送迎できる人がいるなら、送迎した方が良いと思います。でも、もし自宅から離れた学校に行くとなれば、私も夫も毎日送迎することは難しい状況です。義母も自営業をやっているのでお客さんやお店の都合で送迎を毎日必ずできるわけでもありません。

入学してからいきなりラッシュの時間に長距離長時間の電車に乗ることになるよりも、安全な時間帯に短距離でも電車の乗り降りに挑戦し、ちょっとしたトラブルなども経験しておいた方が娘のためになるのではないかと、夫と懸命に考えた結果の挑戦だったのです。

そのことを再度義母に説明しましたが「んーでも……」と煮え切らない様子。

心の声(あーこれまた明日も塾まで送る気だわ……)

夫が義母を説得すると…

仕方なく夫に事情を伝えたところ、帰宅後すぐに義母と話をしてくれました。「オカンが一生どこまでも送り届けてくれるんか?無理やろ?」と。塾までの送迎は本当にありがたいのです。ただ、それはそれ、これはこれ。

もちろん娘のことは心配ですし、愛おしい存在ですが、夫の言うとおり、私たちだって一生娘の面倒を見ることはできません。自立は急にできるものではありません。少しずつ見守りながら手を離していく、その過程が必要だと私たち夫婦は考えているのです。

義母は夫の説得に納得してくれて、それ以降は余程のことがない限り、塾に直接ではなく駅までの送迎にとどめてくれました。

娘はというと、逆方向の電車に乗りかけたり、切符を紛失して駅員さんに謝りに行ったりと、電車でやりがちなトラブルと対処法はひと通り学んでくれました。また、私が迎えに行った際、なかなか出てこないと思っていたら、落とし物の定期券を駅員さんに届けていたこともありました。

「これ落とした人、絶対困ってると思って」と、自分が切符を失くした経験から、他の人への思いやりが芽生えるという成長と優しさを見せてくれました。気づけば駅員さんとも顔見知りになり、挨拶もできるように。現在、娘は志望校に無事合格し、電車通学をしていますが、駅員さんをはじめ、見守ってくれる方々がいて安心できます。

また、今回の件は夫が義母にビシッと言ってくれて助かりました。私が夫に「今日お義母さんが塾まで送ってくれたみたいで」という報告をした際、「せっかく夫君もわざわざ休みを取って電車に乗る練習してくれたのに……それが無駄に終わっちゃうね」と少し煽ったのはわざとです(笑)。夫よ、ありがとう。

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