メジャー移籍が囁かれる阪神の佐藤輝明

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 ポスティング制度を利用したメジャー移籍について、阪神OBの岡田彰布氏(68)は「自分が行ったらええだけじゃないしな、後進のこともちゃんと考えなアカンやろ」と反対の立場を明確にしている。そして、古巣の阪神からのポスティング組について「藤浪や青柳にしても、1〜2年で帰ってくるとかな。そんなんばっかりやんか」と嘆く。では、メジャー移籍が囁かれる阪神の主砲、"サトテル"こと佐藤輝明(27)についてはどう思うのか。【前後編の後編】

【写真】監督時代の岡田彰布氏、佐藤輝明には期待を持って厳しく指導した。他、才木浩人や森下翔太なども

「チームに貢献できたのは去年やからなあ」

 佐藤が阪神にドラフト1位指名されたのは、矢野燿大監督時代の2020年のこと。球団の新人本塁打記録を52年ぶりに更新するなど活躍を見せる一方、粗さも目立った。そこを厳しく指導したのが、佐藤の3年目に監督となった岡田彰布氏だった。23年にチームが38年ぶりの日本一に輝いた時も岡田監督の佐藤評は厳しく、三振の多さやエラーが目立つことが問題視された。

 岡田氏が2年で退任して藤川球児監督が後を継いだ後も、時に厳しく注文をつけた。2025年6月の交流戦のテレビ解説では、佐藤が特大飛球を放って"確信歩き"をした結果、打球はフェンス直撃で単打となると、「論外」と厳しく指摘した。

「打ったらバットを放って走る。当たり前のことやんか」

 解説席でそう叫んだ。

 佐藤のポテンシャルを高く評価しているからこそ、監督退任後も必要な時はそのプレーに苦言を呈してきた。連覇の行方とともにファンが注視するメジャー移籍をめぐる動きについても、岡田氏の口にする意見は忌憚のないものとなった。

 佐藤のポスティング移籍について尋ねるとまず、「知らん」と口にしながらも言葉を継いだ。

「どないなっとるんか知らんけど、感覚の問題やんか。今になってメジャーとか言うけど、プロ入りする段階ではメジャーの"メ"も言ってなかった」

 ドラフト前からメジャー志望を公言していたドジャース・大谷翔平(31)らとの違いに言及したうえで、こうも語った。

「(佐藤は)三振の山を築いてきて、チームに貢献できたのは去年やからなあ。もっとチームに貢献してからとかいう考えが一切ないからアカンわな」

イチローはしっかりチームに貢献してからメジャーに挑戦した

 記者に対して、「ポスティングで最初に(メジャーへ)行ったんが誰か、知ってる?」と逆質問した岡田氏は自ら「イチローやで」とその答えを口にした。

「まだイチローはしっかりチームに貢献してからメジャーに挑戦したわな」

 イチローは日本球界でオリックスを2度のリーグ制覇に導き、7年連続首位打者などの実績を残してから2000年に渡米している。

 今季の阪神はリーグ連覇に向けて突き進み、チームの黄金時代が到来するともいわれるが、ポスティングをめぐる問題はその球団の将来にも大きく関わる。エース格の才木浩人(27)はすでにポスティングによるメジャー移籍を球団に直訴するも認められなかった経緯があり、主軸を張る森下や、ブルペンの核である石井大智(28)もメジャー志望だ。

 佐藤のポスティング容認は、才木や森下らの流出にもつながる。そう水を向けると岡田氏はこう語った。

「自分のことしか考えてないがな。球団の世話になってきたわけやし、自分が行ったらええじゃなく、あとあとのことも考えなアカンと思うで」

 では、ポスティングを利用する場合、どのようなかたちが理想となるのか――。

「やっぱりある程度の貢献をするいうのが前提やろな。球団だけやなく、日本の野球界でこれぐらいの成績を残したとか、貢献したという基準を作ればええ。(今の仕組みでは)1年でも早く挑戦しておけば、また日本でプレーできると思っている。FA権取得まで待つと(メジャーで)活躍できないと思ってるんやろな。でも、松井秀喜(巨人→ヤンキースほか)はFA権を行使してのメジャー挑戦で、あれだけの活躍をやっているやんか」

 最後に、佐藤がメジャーで通用すると思うかを聞いた。

「そりゃわからん。ピッチャーはある程度読めても、バッターはわからんからな。(ホワイトソックスに移籍した)村上も本塁打を打っているけど、三振も多いからな。やってみなわからん」

 そう言って「こんなとこやな」と取材を切り上げた岡田氏。

 厳しい言葉の裏には「佐藤輝明」という打者を高く評価し、まだまだ球団に貢献できる潜在能力があるという思いがあるのだろう。監督時代も退任後も大きな期待を寄せ、その力を最大限発揮させようと考え続けた岡田氏の言葉は、佐藤にどう響くのか。

(前編から読む)

※週刊ポスト2026年5月22日号