高市首相、レジシステムに「日本として恥ずかしい」と苦言 税率1%案の理由や改修の期間の謎とは
高市早苗首相は11日、参院決算委員会で消費税の税率変更に時間がかかるレジシステムについて、「日本として恥ずかしい」と苦言を呈し、柔軟に対応できるシステム整備を急ぐべきだという認識を示した。
高市首相の公約でもある食料品の消費税0%だが、税率変更をめぐってはレジシステムの改修に一定期間が必要のようだ。政府などの聞き取りに対しシステム会社側は、0%にした場合は1年程度かかるほか、1%の場合でも対応に3か月から半年程度が必要だとする見通しを示している。
この現実に高市首相は、先進国としてシステムの問題がネックになっている状況に冒頭のコメントを発し、「例えば感染症が起こる、何か大きな災害が起きたときに税率すら柔軟に変えられないレジシステムだということは情けない」と眉間にシワを寄せた。そのうえで「さまざまな税率に柔軟に変更できるシステム開発を急いでもらいたい」と要求した。
その一方で、政府内では「1%」とする案が浮上している。その理由について、店舗のレジシステムの多くが改修にかかる期限を課題とし、そのなかで、一部の事業者から税率を0以外にすれば、システム改修の期間をおよそ3か月に短縮できると指摘があったという。
日本における消費税は、1989年4月1日に税率3%からスタート。さらに1997年4月1日から5%の引き上げが決定し、2014年4月1日からは8%が実施された。そして、3度目の引き上げとなった2019年10月1日より現在の税率に至る。
減税論が上がると、レジシステム改修問題も浮上
消費税の減税議論が持ち上がるたびに、必ずといっていいほど「レジシステムの改修に膨大な時間がかかるため、即時の実施は困難である」という主張が政府や経済界から発せられてきた。その一方で、現場の感覚としては「税率設定を変更するだけならすぐにできるのではないか」という疑問や、そもそも納税自体は帳簿上の計算で行われるためレジは関係ないといった指摘も根強く存在する。
消費税の納税義務を持つ事業者は、一年間の課税売上にかかる消費税額から、仕入時に支払った消費税額を差し引いた額を国に納める。しかし、現代の商取引においてレジシステム(POSシステム)は、単なる現金の受け渡し記録機ではなく、販売管理、在庫管理、発注システム、さらには財務会計システムと密接に連携した企業の神経系の一部となっている。レジでカウントされた商品は、在庫が減り、売掛金が発生し、利益が計算され、これらがリアルタイムで全社的なデータとして集計されているのがほとんどだ。
さらに、2023年10月1日より導入されたインボイス制度(適格請求書等保存方式)が、この問題をより複雑にしている。事業者が仕入税額控除を受けるためには、正確な税率と税額が記載された適格請求書の保存は必須。レジから発行されるレシートがこの適格請求書の役割を果たす場合、レジが算出する税額が1円の狂いが生じた際には法的に不適切な書類となってしまう。つまり、適当な税率で打っておいて後で修正するという手法は、現代の税制上、極めてリスクが高い行為とされている。
また、システムメーカーが頭を悩ませる要因の1つが予約販売や返品処理の扱いだという。
増税前あるいは減税前に予約された商品が、税率変更後に引き渡される場合、どの時点の税率を適用すべきかという「経過措置」の判定をシステムに組み込まなければならない。
たとえば、税率変更前に8%で買った商品を、変更後の1%の期間に返品した場合、返金額の処理などロジックの構築も必要だ。これらのイレギュラーな処理をすべて自動化し、問題を解決する工程にシステムメーカーは半年から1年の期間を見積もっているのだろう。
われわれ庶民にとって減税はこの上ない。
