50代目前で脳梗塞と乳がんを経験…麻木久仁子さんが50代で出会った「薬膳」「大学での学び直し」
還暦を過ぎて放送大学に入学し、今年で4年目を迎えた麻木久仁子さん。大病を患ったことが学び直しのきっかけになったという。
薬膳と出会い、国際薬膳師などの資格を取得
50代目前で立て続けに脳梗塞と乳がんを経験し、心も体も確実に変化していくことを実感。乱れがちだった食事や睡眠を見直し、その延長で出会ったのが薬膳でした。52歳の頃、たまたま見学に行った薬膳の専門学校の授業が面白く、その場で入学を決断。私は学習院大学在学中にデビューし、2年次に中退していたので、本格的な勉強は数十年ぶりでしたが、自分が興味を持ったことなら苦痛にならず、初めて学びが楽しいと思えたんです。専門学校は週1回のペースで通学し、国際薬膳師や、中医学の民間資格である国際中医師の資格を取りました。

卒業後は、独学で温活士や温活指導士、そして一般用医薬品を販売できる登録販売者の資格も取得。そのうち、食養生などについての講座で講師を務める機会も増えたのですが、教える立場になると、食事だけでなく漢方薬や睡眠、メンタル面まで生徒さんから相談されるようになったんです。そこで知識をさらに深め、運動、睡眠、心、医療など健康に関わる全体像を学びたいと感じていた時に出会ったのが放送大学でした。
61歳になる年だったし、最初は、正直「今さら大学?」と思ったんですよ。それに、必修だからと興味がないことを勉強するのは気乗りしなくて。でも、放送大学では学位取得を目的としない「選科履修生」という制度があり、好きな講座を1科目から選択することができます。学部に入って単位を取得し卒業を目指す全科履修生が「フルコース」だとしたら、選科履修生は「ビュッフェ」。和洋中、全ジャンルの中から好きなものを好きな量だけお皿に載せるように、6つあるコースのどの講座も履修できる。カルチャーセンターのような気軽さがありながら、大学ならではの中身の濃い授業を受けられるのが魅力です。しかも、1科目1万2000円程度。15回の講座なら1回1000円弱と、とてもリーズナブルなんですよ。
これまでとは見える景色が違ってくる
1年目は食や健康に関する講座を受講したのですが、人体の構造や消化、エネルギー変換の仕組みなど理科系の話が多くてビックリ。あわてて高校の生物の教科書を買って基礎知識を叩き込みました(笑)。でも一つの講座を終えると、さらに幅を広げたくなり、睡眠と健康の関係や、死生学、心理学、地域包括ケアなどの講座を受講。60代に入り、「いつ何があるか分からない」という意識がいっそう強くなりましたが、心理学を学ぶことで「この不安は自分だけではないんだ」と思えるし、福祉制度を学ぶことで老後への不安は社会全体の問題であり、すべて自分で背負い込まなくてもいいと思える。学びによって作られた地図の上から人生を俯瞰すると、これまでとは見える景色が違ってくるんです。
《この続きでは、大学生活の詳細と学び直しで苦労した思わぬポイントについて明かしている。現在配信中の「週刊文春 電子版」および4月30日(木)発売の「週刊文春」では、本記事の全文と、声優で東京大学で学び直しを経験した佐々木望さんの記事も読むことできる。また、「週刊文春」では50歳からの「大人のための手習い入門」として語学学習やガーデニングなどについても取り上げている》
(麻木 久仁子,「週刊文春」編集部/週刊文春 2026年5月7日・14日号)
