目指すは次世代のスタンダード 3代目『日産リーフ』を作る人々:チーフデザイナー編 空力を意識した3つのコンセプトとは
空力を意識してデザイン
新型『日産リーフ』のエクステリアは、航続距離向上などを目的に空力に注意を払ってデザインされ、インテリアにおいても特徴があるという。チーフデザイナーにそのあたりを詳しく聞いた。
【画像】貴重なデザインスケッチも!次世代スタンダードを目指した3代目『日産リーフ』 全9枚
エクステリアデザインのコンセプトは、空力を意識したスーパーエアロ、ドアハンドルに代表されるスーパーフラッシュ、そしてデジタルアクセントの3つとなる。

新型『日産リーフ』は航続距離向上などを目的に空力に注意を払ってデザインされた。 日産自動車
特にスーパーフラッシュはボディ全体から細部に至るまで、「クリーンにシンプルにつるんとさせることで、より次世代のEV感と空力を両立しています」と話すのはチーフデザイナーの田勢信崇さん。
デジタルアクセントについてはこう説明している。
「いろいろなところに、長四角丸のような記号性が入っています。これは四角の角が取れたようなスマートフォンなどのデジタルデバイスを意識し、インテリアのモノリスというディスプレイにも使われています。
またリアコンビの『二』と『三』のグラフィックも、ひとつひとつこの矩形でできてます。そうしたトンマナを合わせることで、リーフのキャラクター付けを積極的に行っています」
ちなみに合わせて日産を表す『二』と『三』の矩形は、充電リッドなどでも使われる。
次世代のスタンダードにしたかった
そもそも田勢さんは、リーフをどのようにデザインしたかったのだろうか。
「次世代のスタンダードです。いろんなお客様に乗って頂けるようなクルマにしたかった」と開発当初を振り返る。その一方で「中庸なクルマにはしたくなかった」とも。

新型日産リーフを担当した、チーフデザイナーの田勢信崇さん。 内田俊一
「デザイナーですから強いアイコンや記号性は譲れないし出したかったんです。そこで強い存在感や、次世代のスタンダードになるぐらいの新しいものを生み出そうとしました」と話す。しかし次世代とは難しそうだ。
「我々はアリアやサクラという世代があり、デザイン的に優れている部分もあります。そしてその次を考えた時にVモーションやシグネチャーをどう進化させるかを考えたのです」
具体的には、マイナーチェンジ前のアリアやサクラなどはVモーションが内側に入っている。
「それをめいっぱい外側に持ってきて、顔全体でシグネチャー表現してるので、結構クルマが大きく見えるんです。そこで、次世代に繋がる存在感や強さが表現できています」
Zと同じマイスターがクレーを削った
また、リアフェンダーの張りだしも存在感がある。これはリアドアハンドルをCピラーにインテグレートしたことで可能になった。フロントのようにフラッシュドアハンドルを使うとドア内部にある程度空間を持たせなければならないため、さらにボリュームを生むことが難しくなる。
しかしそうしなかったことから、あえてリアドアあたりでボディを絞ることができて、よりリアフェンダーを強調することができたのだ。

フロントはフラッシュドアハンドルだが、リアはCピラー内に収めた。 日産自動車
ちなみにリーフは、「フェアレディZと同じマイスターがクレーを削ったんです。なんとなくZらしさを感じませんか」とのことだ。
日本画の霞を模したカッティング
日産は『タイムレスジャパニーズフューチャリズム』というデザインテーマを各車に課しているが、リーフにはどのように取り入れられているのか。田勢さんが続ける。
「次世代のスタンダードにも繋がるもので、新しいけれども普遍性のあるデザインだと捉えています。日本の伝統的なものは、古びなかったり、ずっと長く使えたりするものが多いですよね。そういったところをデザインにもなるべく落とし込もうとしています」

日本画の霞を模したという、ガラスルーフのカッティング。 内田俊一
そこで「ガラスルーフのカッティングは、日本画の霞を模しているんです」と教えてくれたのは、開発責任者の磯部博樹さんだ。
「日本画の下の方に霞みたいな模様があるのですが、その雲がスーッと晴れていくイメージです。実はリーフという字も下から見ると逆文字になっています。イギリス人から『なんで逆なんだ、気持ち悪い』と言われますが、日が当たった時にその影がシートの上に『LEAF』と落ちるんです。その奥ゆかしさみたいな感じですね」
デジタルとフィジカルの融合を狙ったインテリア
一方のインテリアについて田勢さんはこう説明する。
「テーマは『フィジタル』です。デジタルとフィジカルの融合を狙い、例えばインパネの真ん中に大きなモノリスを単独で分離させるのではなく、空間に溶け込ませるように、全体を水平方向のテーマでデザインしています」

デジタルとフィジカルを融合させ、なるべく広い空間性を実現した室内のデザインスケッチ。 内田俊一
その結果としてデジタルとフィジカルを融合させ、なるべく広い空間性を実現したのだ。
「ステアリングも水平スポークです。そうすることで空間以上の広さを表現しています」。また、助手席前の下側にある断面は「目線から見えないように影を作ることでインパネ全体を薄く見せ、EVならではの先進性と軽さを表現」している。シートも先端をブルーバイオレットカラーに変えることで、空間を広く見せる工夫が施されている。
こうして聞いてみると、全体の塊感からSUVのような雰囲気を演出しながらも、空力にも配慮し航続距離を大幅に向上させた手腕は見事だ。インテリアは一部操作性で気になる部分もあるが、広々感とともに清潔感があり好感が持てた。
