PolymarketやKalshiなどの予測市場では、一般ユーザーでも将来の出来事を予測してばく大な利益を得る機会があると宣伝されています。しかし、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の分析によると、実際にはごく一部の高度な取引者が利益の大半を獲得し、多くの一般ユーザーは損失を出していると、アメリカ経済紙のウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が報じています。

Why Almost Everyone Loses-Except a Few Sharks-on Prediction Markets - WSJ

https://www.wsj.com/finance/investing/polymarket-kalshi-betting-profits-prediction-markets-eb23ac11

予測市場全体の取引量は急拡大しています。The Blockのデータによると、PolymarketとKalshiの合計取引量は1年前の18億ドル(約2800億円)から、4月には242億ドル(約3兆7800億円)に増加しました。

予測市場は、将来の出来事について「はい」か「いいえ」で取引する仕組みです。通常、正しければ1ドル(約158円)が支払われ、外れればゼロになる契約が売買され、契約価格はその出来事が起こる確率を市場がどう見ているかを示します。一方で、この市場には「胴元」が存在せず、ユーザー同士が取引します。プラットフォームは取引手数料を得る仕組みで、プロの取引者は価格の小さな変動から利益を積み重ねるなど、ウォール街のトレーダーに近い手法を使っています。



WSJは、2022年11月以降に取引したPolymarketの160万アカウントを分析しました。その結果、利益の67%がわずか0.1%のアカウントに集中しており、2000未満のアカウントが合計で5億ドル(約780億円)近くを得ていたとのこと。

Kalshiでも同様に、損をしているユーザーが勝っているユーザーを大きく上回っています。Kalshiの広報担当者であるエリザベス・ディアナ氏は「過去1カ月のデータでは利益を出しているユーザー1人に対して、損失を出しているユーザーが2.9人いる」と述べています。

WSJによると、勝っているのは膨大なデータとアルゴリズムを使うプロや取引会社です。こうしたトレーダーは外部のリアルタイムデータを購入し、コンピューターで価格変動を予測し、人間よりも速く売買やリスク管理を行っています。



特に成功しているのは、取引頻度が極めて高いユーザーです。WSJが掲載したグラフでは、Polymarketで最も頻繁に取引する上位0.1%の層が最も高い成功率を示しており、下位の取引頻度帯では利益を出すトレーダーが半数を下回る傾向が示されています。

元プロポーカープレイヤーで統計学の訓練を受けたマイケル・ボス氏はKalshiで1分間に60件の取引を行い、買値と売値を1秒間に30回修正しているとのこと。ボス氏はKalshiで主にスポーツ関連の取引により66万8000ドル(約1億440万円)超を得ており、一般ユーザーについて「体系的に勝ち目がない」と述べています。

また、現役大学生のジョナサン・ストール=ライアン氏が共同創業した企業はKalshiで暗号資産価格に関する取引量トップ5に入る会社で、年間20万ドル超(約3100万円)をライブデータやAIコーディングエージェント、サーバーに費やし、アルゴリズムで1日に数万件の取引を行っているとのことです。



これに対し、多くの一般ユーザーは直感やSNS、公開情報をもとに感情的な判断をしているとされます。WSJの分析では、Polymarketユーザーの70%超が損失を出しており、典型的なユーザーは1ドル(約155円)から100ドル(約1万5800円)の損失、最も成績の悪い10%のトレーダーは平均4000ドル(約63万円)を失っていました。

WSJはKalshiで勝敗の決着がついた市場3万5000件超も分析しています。その結果、勝率50%と表示される「はい」の取引は実際には平均40%程度しか的中せず、一般ユーザーに多い「最初に見た価格で『はい』を買う」取引では、平均して賭け金の11%を失うとされています。



こうした偏りの背景には、起こりにくい出来事を過大評価してしまう「ロングショット・バイアス」があります。Kalshi側もメンション市場にはこの傾向があると認めつつ、メンション市場はプラットフォーム全体の価格形成を代表するものではなく、イベント直前4時間ではより正確に価格付けされていると説明しています。

一方で、「予測市場はインサイダー取引に弱い」という指摘もあります。アメリカの商品先物取引委員会は予測市場に対する連邦当局としての権限を示し、インサイダー取引の取り締まりを進めています。これに対して、Polymarketは司法省の取り締まりに協力していると説明し、Kalshiもインサイダー取引を禁止して違反者に罰則を科しているとしています。