『OXANA/裸の革命家・オクサナ』闘う女オクサナの知られざる本当の素顔とは?
【写真】映画『OXANA/裸の革命家・オクサナ』場面写真ギャラリー
ウクライナ出身のアーティストであり、フェミニスト運動「FEMEN」の共同創設者として知られるオクサナ・シャチコ。だが、彼女は、メディアが描く“闘う象徴”とは異なる、繊細で、ユーモアに満ち、そして驚くほど人間的な女性だった。
一方で、彼女は驚くほど気さくで、よく笑い、そして“遊ぶ”ことを忘れない人でもあった。フランス語も英語も習得途中だった彼女は、言葉を補うように全身でコミュニケーションをとった。額をたたき、同じ言葉を繰り返し、フランス語の同義語を添え、笑いながら話す。その姿は、活動家としての“強さ”とは別の、柔らかい魅力に満ちていた。
しかし、パリでの生活は決して安定したものではなかった。政治難民としての立場は、彼女の自由を常に制限した。重要なFEMENの抗議行動を、移民局の面談のために欠席しなければならないこともあった。彼女は「家とは母の家のこと。でも私には自由のほうが大事」と語っている。帰国すれば危険があると信じ、ウクライナへ戻ることはかなわなかった。
2018年7月、パリ郊外のアパートで、彼女は自ら命を絶った。最後のInstagram投稿には「YOU ARE FAKE」とだけ書かれた絵が残された。だが、その言葉は絶望の叫びではなく、むしろ彼女が生涯向き合い続けた“本物であること”への問いの延長線上にある。オクサナ・シャチコは、決して“象徴”ではなく、矛盾とユーモアと創造性に満ちた、一人の生きた人間だった。
本作は、芸術と抵抗のあいだで生きたひとりの女性の軌跡を、静かな親密さと強烈な情熱をもって描き出す。幼い頃に描いたイコンの光。仲間とともに叫んだ抗議の熱。亡命者としての孤独な夜。そして芸術に救いを求めた時間。それらの断片が重なり合い、ひとりの女性の“自由への渇望”が鮮やかに浮かび上がる。
映画『OXANA/裸の革命家・オクサナ』は、5月22日より全国公開。
