ナフサの不足であらゆる生活リスクが 段ボールから自動車部品まで幅広く影響 私たちの生活を取り巻く石油製品…イラン情勢の波は確実に押し寄せている(山形)
中東情勢の緊迫化、イランとアメリカのホルムズ海峡をめぐる駆け引きのあおりを受けて、原油から精製されるナフサ(粗製ガソリン)の価格高騰と供給不安が国内製造業に深刻な影響を及ぼしています。
ナフサは幅広い産業で使われる重要な原材料のひとつであり、供給制限や価格高騰となると、川下に位置する多くの企業に影響が波及することが予想されています。
政府は「日本の必要な量は確保できている」としますが・・・。このナフサ不足を分析すると、私たちの普段の生活が、いかに石油製品に依存したものかが見えてきます。
石油やエネルギーの節約を未だ呼びかけない国の姿勢は、悠長です。
製造業の約4社に1社が影響を受ける可能性
帝国データバンク山形支店によると、山形県内で主要な石油化学製品メーカー52社から直接または間接的(二次流通まで)に製品を仕入れている製造業は488社にのぼります。
これは県内で集計可能な全製造業2011社の24.3%に相当し、およそ4社に1社がナフサ関連製品の「調達リスク」に直面する可能性があることがわかりました。
影響を受ける企業を資本金の規模別にみると、資金力が限られる中小企業にリスクが集中している実態がありました。
資本金「1000万~5000万円未満」の企業が281社で最も多く、全体の57.6%を占めています。さらに「5000万円~1億円未満」の77社を含めると、資本金1億円未満の中小企業が438社となり、全体の約9割にあたる89.8%に上ります。
商品への価格転嫁が難しい中小製造業では、コスト増による収益性の悪化や事業継続への影響が深刻化する恐れがあります。
段ボールから自動車部品まで、幅広い産業に波及
製造業の中で分類してみると、生活やインフラを支える多様な業種でナフサ関連取引の割合が高いことがわかります。
最も割合が高いのは「パルプ・紙・紙加工品製造」で、同業種の42.9%が該当します。県内では段ボールや贈答用化粧箱などの製造業者がこれにあたり、ナフサは結合材や添加剤として使用されることがほとんどとみられますが、工業品から農産物まで出荷に不可欠な物流資材であるため、地域へ与える影響が極めて大きい業種です。
次いで割合が高いのは「窯業・土木製品製造」の41.8%です。県内ではコンクリート二次製品製造業者が該当し、災害復旧や防災工事などのインフラ構築に欠かせないため、県内の建設業への波及も心配されます。
さらに、「ゴム製品製造」が40.0%と続きます。この業種は上位2業種よりもナフサ依存度が高く、自動車や船舶・航空機用のゴム製品、医療・工業用ゴム製品の製造業者が県内にも存在しています。
その他にも、「化学工業、石油・石炭製品製造」が37.0%、「出版・印刷・同関連産業」が36.9%、「食料・飼料・飲料製造」が35.2%と、3割台で幅広い業種が続いています。
連鎖的な「事業縮小リスク」
帝国データバンクが4月上旬に行った全国アンケートでも、中東情勢緊迫化に伴う原油高や供給不安が経営に「マイナス影響がある」とした企業は96.6%に達しています。
足元では、基礎化学品であるエチレンの減産や、溶剤、プラスチック、合成ゴムなどで品薄感からの調達難が進行しています。
また、住宅用断熱材や食品用フィルムといった製品でも値上げや販売制限が相次いでおり、日用品など生活に身近な品にも間接的に影響が及んでいます。
政府は流通の目詰まり解消で事態の打開を図る方針ですが、短期的な解決は難航すると予想されており、当面は多くの製造業で連鎖的な「事業縮小リスク」にさらされる厳しい状況が続きそうです。
