この記事をまとめると

■トヨタ・ランドクルーザーFJがタイ市場にデビューした

■タイでは中国勢もタンク300やV23でラグジュアリーSUV攻勢を強化している

■タイでは富裕層に向けた車種の市場が拡大すると予想されている

ハードオフローダースタイルのSUVが人気のタイ

 第47回バンコク国際モーターショー(以下BIMS/2026年3月25日〜4月5日開催)にて、トヨタ・ランドクルーザーFJの市販モデルがタイでデビューした。価格は126万9000バーツ(約634万5000円)からとなっている。現地で話を聞くと、「トヨタ・フォーチュナー(トヨタ・ハイラックスベースのSUV)のLeaderというモデルが123万9000バーツ(約619万5000円)からとなっているところが気になる……」とはいうものの、おおむね好意的に見られているようで、BIMS会場内にあった展示車に多くの来場者が注目していた。

 ランドクルーザーFJはその名のとおり、ランドクルーザーを意識し、その流れを汲むモデルであり、タイだけではなくインドネシアなどでも販売されているトヨタ・ハイラックス・チャンプ(インドネシア名はハイラックス・ランガ)をベースとしていることもあり、見た目だけではなく実際にタフな走行シチュエーションにも対応できるモデルとなっている。日本での発売も近く、タイでも人気が高まる期待がもたれている。

 タイでは2025年には3ドアのスズキ・ジムニーが限定50台にて販売されたとのことだが、2026年には5ドアモデルが販売(限定?)されるのではないかとの現地報道もある。

 このように、タイではタフなSUVを愛好するひとがいて、その需要が望めるなか目立った動きを見せているのが中国系ブランドとなる。

 GWM(長城汽車)がすでに自社のタンク300をタイにてラインアップして久しい。見た目からクロカンらしさを強調するモデルであり、ラダーフレームボディでRWD(後輪駆動)のほかAWD(全輪駆動)もラインアップしている。中国系にありがちなBEV(バッテリー電気自動車)はなく、HEV(ハイブリッド車/ガソリン)のほか、中国車としては珍しくディーゼルエンジン搭載車をラインアップしており、インドネシアで聞いたところでは、このディーゼル仕様が意外なほど人気となっているようである。

 タイの首都バンコクでもタンク300はチラホラ見かけることができ、ジワジワと人気が出てきているようにも見える。

 さらに、チェリー(奇瑞汽車)はタイにて、チェリーV23というモデルをラインアップしている。タイ以外では、iCar V23としてチェリーの別ブランド扱いの地域もあるが、タイではチェリーブランドとして扱われる。

 こちらはRWDとAWDをラインアップするが、BEVでモノコックボディとなっているので見た目重視とはなるものの、ハードオフローダースタイルを採用し、インドネシアやタイも含んだ東南アジア市場では、チェリー系車種としてはイチ押しモデルとなっている。

富裕層に向けたSUVがタイの今後の市場トレンドか?

 これも地元(タイ)で聞いたのだが、タイではハードオフローダー(見た目も含む)ブームのようなものがきているようだ。トヨタがこの動きを察知してプロダクトしたかは定かではないが、いま盛り上がりを見せようとしている最新トレンドクラスにタイミングよくランドクルーザーFJを投入したなあと筆者の目には映っている。

 クロスオーバーSUVが当たり前のようになるなか、感度のよい層が次のマイカーとして白羽の矢を立てているのかもしれない。

 いままで紹介したようなモデルよりはハードイメージはないものの、トヨタ・ランドクルーザー300(以下ランクル300)のようなスタイルのモデルも、BIMS会場内では目立っていた。ランクル300自体はタイではラインアップされていないが(レクサスLXはラインアップされている)、同じようなスタイルを採用し、タンク300同様にディーゼルエンジン搭載車もラインアップするGWMのタンク500を、バンコク市内で意外なほど見かけるようになっている。

 BYDオート(比亜迪汽車)も、まだタイで正式ラインアップではものの、上級ブランドとなる「デンザ」ブランドで、すでに中近東やアフリカ地域では販売されているPHEV(プラグインハイブリッド車)のB8を、今回のBIMSで参考展示しており、やる気満々な姿勢を見せている。

 いままでハードオフローダーSUVといえば、ピックアップトラック派生となるトヨタ・フォーチュナー、いすゞMU-X、三菱パジェロスポーツ、フォード・テリトリーあたりが定番で高級イメージをもたれていたが、その頭ひとつ上を行くトレンドが、中国系主導で作られようとしているのかもしれない。

 一方で、ランドクルーザーFJやチェリーV23、そしてタイでの販売が期待されるジムニー5ドアあたりは、富裕層の子女向けの遊びクルマ的ニーズを狙っているのかもしれない。日本メーカーでこの動きに追随するとしたら、パジェロブランドをもつ三菱自動車に期待したいところである。

 少子高齢化も目立ち新車販売台数もいまが頂上なタイ市場は今後、新車販売の成長鈍化が避けられないともいわれている。そのような市場動向を見れば、富裕層へ向けた車種の充実というのが、今後タイでは目立ってくるかもしれない。