SBIが進める「ネオメディア構想」AI活用で新たな情報インフラづくり
「既存のメディアは技術進化を取り入れることなく、経営体質は旧態依然としたまま。金融・IT・メディアを融合させた新たなメディアが希求されている」─こう強調するのはSBIホールディングス会長兼社長の北尾吉孝氏。
2026年3月31日、SBIホールディングスは「SBIネオメディア生態系の戦略構想」を公表した。以前から北尾氏は「金融・IT・メディアの融合」を掲げ、戦略を練ってきた。25年にフジ・メディア・ホールディングスの取締役候補として名を連ねたのも、北尾氏の問題意識の表れだったと見られる。
北尾氏の中でテレビ、新聞などの既存の大手メディアに対する不信感は強い。「今日のメディアはフェイクニュース、偏向報道、イメージ操作、隠蔽などに溢れており、公平・公正・迅速なグローバルな情報を提供して、健全な世論形成に資するというメディア本来のあるべき事業の姿から大きく乖離していると言わざるを得ない」と話す。
そこで、SBIグループが手掛けるブロックチェーンやAI(人工知能)などの新たな技術を活用して、メディアが抱える問題の解消に貢献していこうというのが今回の構想の骨子。
北尾氏が考える、SBIのネオメディア生態系の柱はIP(知的財産)、メディア、広告代理店、芸能事務所・制作会社・イベント会社、コンテンツファンドの5つ。「これらは、これまで我々がつくってきた生態系と何らかの形で絡んでおり、相乗効果を発揮していく」(北尾氏)
この構想の核となる会社として、SBIネオメディアホールディングスを設立。さらに、現時点までに例えば複数のSNSマーケティング企業を連結子会社化したり、経済メディア『フォーブスジャパン』を展開するリンクタイズホールディングスを持分法適用関連会社化、「東京ガールズコレクション」を展開するイベント会社、W TOKYOと資本業務提携するという形で生態系に参画する企業を増やしてきている。
ユニークなところでは、SBIホールディングスが東急不動産ホールディングスに出資、東急不動産HDがSBIのコンテンツファンドに出資するという形で資本業務提携。東急不動産HDが開発を進めている「広域渋谷圏」でのコンテンツ発信で連携していく。
「それぞれの会社が独自の経営思想や経験、知見、ノウハウを生かしていただく。ただ、議論を尽くしながら、1つの生態系として一体で進むという形に持っていきたい」と北尾氏。
参画企業は今後、あと数社増える予定。ある程度規模の大きい企業も含めて交渉中で「今回は〝中間報告〟で構想は未完成の状態」(北尾氏)だという。26年5月に改めて、この構想の進捗について公表する考え。
AIの活用はどこまで有効か?
SBIグループが手掛けるメディアでは、従来と何が変わるのか。
SBIネオメディアHD社長の深澤裕氏は「これからAIやブロックチェーンが導入されることによって、メディアの形は絶対的に変わっていくと考えている」と話す。
例えば、世界で何か事件が起きた時には「メディアが報じて」、「人間が読み」、「判断する」というのがこれまでの流れだった。SBIネオメディアはこの流れでは情報が届くのに時間がかかる上、既存メディアによる偏向というバイアスがかかるという問題意識を持った。
これを今後は「世界で起こる全てをAIが事前に分析」し、「人間が判断する」という形で情報経路が短縮される。
