「段差が見えない」高輪ゲートウェイシティの“大階段”で転倒事故報道、施設側の責任は?
東京都港区のJR高輪ゲートウェイ駅に直結する複合施設「高輪ゲートウェイシティ」に設けられた階段状の構造物が、物議を呼んでいる。
この構造物は、左右は通常の階段となっているが、中央部分がベンチになっている特殊な作りだ。
中央部分は、上から見ると段差が認識しづらく「目の錯覚で段差がわからない」「踏み外しそうで怖い」といった声がSNSなどで広まっている。
報道によると、すでに複数人が転倒し、負傷したケースもあるという。
こうした構造物で利用者がケガをした場合、施設管理者の責任はどのように判断されるのか。本間久雄弁護士にポイントを聞いた。
●予想される危険に対して安全性を欠いていないか
施設管理者の責任について、民法717条1項は次のように定めています。
「土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う」
判例上、「土地の工作物」とは「土地に接着して人工的作業によって設けられた物」とされており、今回のような階段も含まれます。
問題となるのは、「土地の工作物の設置又は保存に瑕疵がある」という点です。
これは、その工作物の性質や用途、利用状況などを踏まえて、通常予想される危険に対して備えるべき安全性を欠いているかどうかで判断されます。
言い換えれば、構造そのものの危険性に加えて、注意喚起や表示など、必要な安全対策が講じられていたかが重要なポイントとなります。
今回の場合、構造の特殊性や、利用者の動線などを総合的に考慮し、個別具体的に判断されるでしょう。
もちろん、ケースバイケースと言えますが、階段やベンチで転倒事故が相次いでいたにもかかわらず、施設側が十分な注意喚起や改善措置をまったく講じていなかったような場合には、「設置又は保存に瑕疵がある」と言えるのではないかと思います。
【取材協力弁護士】
本間 久雄(ほんま・ひさお)弁護士
平成20年弁護士登録。東京大学法学部卒業・慶應義塾大学法科大学院卒業。宗教法人及び僧侶・寺族関係者に関する事件を多数取り扱う。著書に「弁護士実務に効く 判例にみる宗教法人の法律問題」(第一法規)などがある。
事務所名:横浜関内法律事務所
事務所URL:https://jiinhoumu.com/
