「小暑」には梅干しだ 猛暑を乗り切れ!トンデモナク旨い手作り梅干しの味
『おとなの週末Web』は、手料理の魅力も紹介しています。中でもお酒好きなら、お供になる肴にもこだわりたいところ。自宅で作った様々な料理で「おとなの週末」を楽しんでいる年金生活の元男性編集者が、二十四節気に合わせ、自慢の酒肴を紹介します。「小暑」編をお楽しみください。
手作り梅干しの作り方
例年なら、二十四節気の「大暑」(7月22日前後からの2週間)に梅雨明けとなることが多いのですが、それが「小暑」(しょうしょ。7月7日からの2週間ほど)の前の梅雨明けです。暦の季節感も吹っ飛ばして、いよいよ盛夏、炎天下の夏となりました。
そんな小暑の時期は、梅干しの季節です。
梅の実は、毎年6月前後の店先に青梅が並び始めますが、これは梅酒用と言っていいでしょう。それが、6月の中旬頃からは「梅の表情」が変わっていたことにお気づきでしょうか? その時期から7月の小暑にかけて並ぶ梅の実は、黄色く熟した梅なのです。とくに完熟梅の香りはあまりにもフルーティ。梅干しはこの熟した梅で仕込むのです。
梅干し作りの作業は、3段階です。手間はかかり、食べ頃までには1年はかかります。それでも、やることはシンプルです。
(1)梅を塩漬けにする。
(2)塩漬けした梅に赤じそを加える。
(3)梅を三日三晩、天日干しする
味付けは梅と塩だけですから、梅のうまさを引き出す秘密は塩にあります。まず、しょっぱい塩ではいけません。精製塩などは論外ですが、ミネラル豊富な甘味のある塩でなければならないのです。そこでおいらが使っているのは、沖縄のミネラル豊富な海塩「粟國の塩 釜炊」です。500gで1300円近くします。こいつを梅5kgなら、15%の塩、750gで漬け込むのです。梅との相性は抜群。梅を買う前にまず塩を用意する……これが鉄則です。
【仕込み編:1】梅の実を塩漬けする
1)完熟梅を用意する。※黄色く、ところどころに赤みのある梅です。オイラは5kgを買っています。
2)梅はよく洗い、大きめのボウルに入れ水で一晩さらす。※水道水をチョロチョロの水量で出しっぱなしにしておきます。
3)水でさらした梅は竹ザルなどにあげ、1〜2時間水けをきる。※水けをふく必要はありません。自然乾燥で十分です。
4)梅の実のヘタ(なり口)を竹串でひとつずつはずしていく。

5)別のボウルに焼酎(ホワイトリカー)を1カップ(200ml)ほど注ぎ、すべての梅を焼酎の中で転がしてから、塩をまぶしていく。
6)塩をまぶしたら、梅漬けの容器に丁寧に並べ重ねていく。※梅の全量の倍以上の容量のものが必要です。オイラは、陶製のカメを使用していますが、ホウロウの容器なども適しています。
7)塩をまぶした梅が容器に収まったら、重しをのせる。梅の全量に対して倍の重さが目安。※梅5kgを漬けるなら、重しは10kgほどです。梅に直接触れる重しは、陶製の重しを使いたいところです。
8)これで漬け込みが完了。丸1日か、2日くらいで梅酢が上がってきたら、重しの重さを半分に減らし、さらに3日くらい漬け込む。※漬け込み後は、大きな紙袋などで容器を覆っておきましょう。虫よけです。

【仕込み編:2】梅漬けに赤じそを加える
1)梅酢が完全に上がってきたら、赤じそを用意する。梅の実の重さ1kgに対して、赤じその葉1袋(約300g)が目安。※オイラはJAあいち中央の「へきなんの赤じそ」を使用しています。葉が1枚1枚はずされて、太い軸も取り除かれているので、ほぼそのままで漬け込みに使えます。
2)赤じそは水洗いし、大きめの竹ザルなどで半日陰干しする。※水洗いは3回くらいやります。
3)赤じその水けがきれたら、赤じその重さの10%の塩をふり、手で揉んでいく。赤黒いアクが出てくるまで揉むことを2〜3回繰り返し、かたくしぼる。

4)梅漬けの梅を容器からすべて、ボウルなどに上げ、梅酢も別のボウルに移す。
5)揉み込んでしぼった赤じそを少しずつボウルに入れ、梅酢を1カップくらいずつ注ぎ揉み込んでいくと、鮮やかな赤色に発色していく。
6)梅の実を容器に戻す。梅を一段並べたら、発色した赤じそを梅の上に重ねていく。これを繰り返し、容器全体に梅と赤じそを重ねる。
7)梅と赤じそを容器に収めたら、陶製の重しをのせ、20日間ほど漬け込む。※気温が高いとカビることもあります。カビ防止のためには、毎日容器をゆすり、中の梅酢を動かしましょう。
【仕込み編:3】天日干し
1)梅に赤じそを加えて20日以上経過したら、晴天が続きそうな日を見はからって、三日三晩天日干しする。
2)天日干しの際は、梅を一つずつボウルに上げ、そのうえで竹ザルに移し、天日干しする。容器の赤梅酢も容器ごとラップをして天日にさらす。
※梅をいったんボウルに上げるのは、梅からしたたる赤くなった梅酢(赤梅酢)を受けるためです。けっこうな量がしたたりますので、天日干し後の梅を容器に戻す際に、したたった赤梅酢も容器に戻します。
※赤じそも同時に梅酢から取り出しましょう。天日干しでカラカラにすれば、赤干しじそとなり、すり鉢でこまかくすれば、ふりかけ(ゆかり)になります。
3)天日干しの際は、割りばしなどで一つずつ裏返し、日がまんべんなく当たるようにする。塩が吹き始めたら干し上がり。
4)三日三晩干した梅をもとの容器の梅酢に戻す。赤じそも3分の1ほどを容器に戻し、重しはせずに梅が浮き上がってこないように、陶器の皿などをのせる。
5)容器のふたをして、1年ほど漬け込む。食べ頃は1年後。※次の年の梅干しを仕込む頃が食べ頃となります。

梅干しは古来より塩だけで漬けるもの
手作り好きな69歳のオイラ。なかでも梅干しは「週末手しごと」の原点でもあり、かれこれ20年以上作り続けております。毎年5kgを仕込んできました。はい、20年以上も前からジジイ趣味でございます。
実際、梅干しは奥の深い保存食です。とはいえ、オイラは梅干しをそのまま食べることはいたしません。なにしろ手作りする梅干しの塩分量は15%以上。血圧高めのジジイとしては、そのまま1個を食べる勇気はありません。
「だったら、なんで梅干しを作っているの?」と、疑問に思われる方もいらっしゃるでしょう。ごもっともです。しかし、オイラは梅干しを「調味料のひとつ」として作っているのです。仕込みから食べ頃までにほぼ1年かかりますが、熟成した自然でまろやかな塩味(えんみ)は、手作りの梅干しだけのものです。
納豆の味付けも梅干しですし、酒肴のあえものにも梅干しです。そうめんのつゆには、めんつゆの量を減らして、梅干しの味をきかせます。チャーハンを作る際も、味付けは梅干しです。ほかの調味料では絶対に味わえないさわやかで、ふくよかな塩味はまさに究極の調味料なのです。
また、おにぎりに梅干しはお約束ですが、多くは中の具として梅干しが丸ごとか、あるいはほぐされたものが入っていますよね。しかし、ここでもオイラは梅干しを中に入れません。おにぎりに2〜3個分のご飯をよそい、ほぐした梅干しを混ぜ混んで握っています。
「そんなことをしているから血圧が高いのだろう」と、賢明な読者がたは思われることでしょう。
しかし、オイラの尊敬する高名な自然派医師・本間真二郎先生は著書(※)の中で、血圧と塩の関係についてこのように述べられております。「制限すべきなのは精製塩であり、塩分ではありません。ミネラル豊富な天日干しの自然海塩などの天然塩は、むしろ積極的にとりましょう」と。ありがたいお言葉です。(本間真二郎『感染を恐れない暮らし方 新型コロナからあなたと家族を守る医食住50の工夫』(講談社ビーシー/講談社))
そこで皆様への質問です。市販の梅干しって、おいしいと思われますか? 私はまったく思いません。みょうな酸っぱさと甘さが苦手なのです。試しにスーパーで、梅干しのパッケージをひっくり返してください。原材料表示には添加物だらけです。
梅干しはそもそも保存食です。古来より塩だけで作ってきたものです。オイラはこの20年、塩分量を加減してきましたが、言えることは梅の重量に対して15%より少ない塩分量では、確実にカビます。
ところが市販の梅干しときたら、「塩分6%」「塩分10%」などのものもあります。本来それでは保存食にはならないのですが、酸を補い、アミノ酸や糖などで味を人工的に加えて、保存食のように加工しているのです。だから、梅干し本来の味にはならないのです。
どうか皆様、今年の夏は間に合わなくても、いつかは手作り梅干しに挑戦してみてください。きっと梅干しがいま以上に大好きになります!
…つづく「「ゆで卵の殻」を一瞬できれいにむく「スゴ技」を発見…!超簡単、ゆでで漬けるだけの「煮卵」おつまみレシピ」では、煮卵のレシピとともに、圧倒的にゆで卵の殻がむきやすくなる、超簡単なひと手間を紹介しています。
文・写真/沢田浩
さわだ・ひろし。書籍編集者。1955年、福岡県に生まれる。学習院大学卒業後、1979年に主婦と生活社入社。「週刊女性」時代の十数年間は、皇室担当として従事し、皇太子妃候補としての小和田雅子さんの存在をスクープ。1999年より、セブン&アイ出版に転じ、生活情報誌「saita」編集長を経て、書籍編集者に。2018年2月、常務執行役員パブリッシング事業部長を最後に退社。
