【混迷】アメリカとイランの“停戦協議”は合意に至らずホルムズ海峡の覇権巡り緊張高まる…今後の注目点は?
バンス副大統領らアメリカの代表団とガリバフ国会議長やアラグチ外相らイランの代表団。ついに両国が仲介国パキスタンで“停戦協議”に臨みました。始まったのは、現地時間 午後5時ごろ。夜通しで実に10時間以上対面で話し合いが行われましたが…。
(アメリカ バンス副大統領)
「交渉は合意できずに帰国することになりました」「何が妥協できて何が妥協できないのかは明確にしました」
イランとの交渉における譲れない条件「レッドライン」。
ただ、バンズ副大統領は「イランが要求を受け入れるか様子を見る」とも述べた一方イラン側は、合意がなければホルムズ海峡は“今のままだ”と語っているといいます。
一方ロイター通信によりますと、イラン側の交渉担当者のガリバフ国会議長は12日、アメリカとの協議について「イランは善意を示すための優れた取り組みを行い、それが交渉の進展につながった」との認識を示しました。イランメディアが伝えたということです。また、アメリカが「もし戦いを挑んでくるなら、我々も戦う。理屈で対抗してくるなら、我々も理屈で応じる」と語ったということです。
またイランのアラグチ外相は13日、SNSで、アメリカの対応に不満を示しました。
(イラン アラグチ 外相)
『47年間で最も高いレベルでの集中的な協議で、イランは戦闘終結に向けアメリカと誠実に交渉を行った。しかし覚書を交わすまであとわずかのところで、条件の変更や封鎖の事態に直面した』
そう述べた上で「教訓は何も得られていない。善意は善意を生む。敵意は敵意を生む」とアメリカ側の対応に強い不満を示しました。
こうした中、トランプ大統領は12日、FOXニュースの電話取材に、「イランはまだ交渉のテーブルを離れていない」と述べました。その上で「イランは戻ってきて、我々が望むものをすべて差し出すだろう」と語り、協議が続くとの見通しを示しました。さらにトランプ氏はSNSに12日アメリカ軍がホルムズ海峡を封鎖すると投稿したのです。
そのホルムズ海峡を巡ってはこの数日で緊張が高まっています。
トランプ大統領は11日、SNSでイランに残る唯一の脅威は「船舶が機雷の1つに衝突する可能性だ」と指摘し、「我々は世界各国のためにホルムズ海峡を一掃する作業を開始する」とSNSに投稿しました。その上で、日本や中国、韓国、フランス、ドイツを名指しして、「この作業を自力で行う勇気も意思も持ち合わせていない」と批判。
そして、アメリカ軍は11日ホルムズ海峡をミサイル駆逐艦2隻が通過し「今後、数日のうちに、水中ドローンを含む追加部隊が海峡の掃海活動に参加する予定だ」と発表しました。
このアメリカ軍の艦船がホルムズ海峡に入った際にイラン軍が警告したとみられる通信が付近の船舶によって傍受されていました。
イラン当局の警告か「いかなる軍艦も領海の通過は許可されていない。この一帯で軍艦を確認すれば警告無しに発砲する」
米軍の返答か「我々はオマーン領海の通過を続ける方針で、妨害を受ければ自衛する」
録音した乗組員によると、無線のやりとりがあったのは現地時間の11日朝だったということです。この時、イランメディアはアメリカの艦船が警告を受けて引き返したと報じています。
緊張が高まる中でのトランプ大統領によるホルムズ海峡を封鎖するという投稿。協議がまとまらなかったことを受け、アメリカがホルムズ海峡を管理する考えを示したものとみられます。
さらにイランへの軍事作戦を管轄するアメリカ中央軍は、12日、日本時間の13日夜11時からイランの港に出入りする全ての海上交通に対する封鎖措置を開始すると発表。また、ウォール・ストリート・ジャーナルは、12日、トランプ大統領が交渉の行き詰まりを打開するため、イランへの限定的な攻撃を検討していると報じました。
圧力を強めるアメリカ。今後の協議にどのように影響してくるのでしょうか。
(スタジオ解説)
(澤井 志帆 アナウンサー)
まずは青山さん、先週の2週間の停戦合意でホルムズ海峡が開放されるかもと、原油危機についても安心感が広がりましたが、今回の協議決裂で期待から一転という形になってしまいました。
(コメンテーター 政治ジャーナリスト 青山 和弘 氏)
アメリカ国務省などに取材したところイラン側は、協議を長引かせることが自分たちの利益になると考えているようです。イランは焦っているのはアメリカだと思っているんですね。だとするとイラン側が譲歩をしない。しかしアメリカとしては、この4つのレッドラインのうち特に、「ウラン濃縮活動の終了」、つまり核兵器を作らないことを担保しないと、何のためにイラン攻撃を始めたんだか分からなくなっちゃうわけですね。他の項目も譲れないんですけれども、ここは絶対に譲れないところで、今、行き詰まっているんだろうと思います。
(澤井 志帆 アナウンサー)
交渉がうまくいかないことで、アメリカがホルムズ海峡を封鎖するとしました。青山さん、イランへの圧力を強めることで、交渉への影響はどう見ていますか。
(コメンテーター 政治ジャーナリスト 青山 和弘 氏)
現状では圧力を強めるしか膠着状態を打開する方法がないということでしょう。その圧力の一つがホルムズ海峡の封鎖なんだと思います。一つは、アメリカは国内の石油の値段が上がって、これがトランプさんの首を絞めていますので、ホルムズ海峡を自分たちが管理すれば、原油価格が下がる可能性があるというのが一つ。あと、何といっても、ホルムズ海峡はイランにとっても生命線なんですね。イランも、そこから中国などに原油を輸出している。またイランが海外から物資を輸入するのもホルムズ海峡を通ってくるわけです。ですから、イランの船の航行を、アメリカが止めちゃうとイランが干上がる。これを狙った作戦だと見られます。
(澤井 志帆 アナウンサー)
そもそもアメリカがホルムズ海峡を封鎖する権利というのはあるんですか?
(コメンテーター 政治ジャーナリスト 青山 和弘 氏)
権利はありません。国際海峡は航行の自由が保障されていて、どの国も封鎖しちゃいけないんです。ホルムズ海峡をイランが封鎖していたことも国際法違反なんですが、アメリカも結局、返す刀で同じようなことをすれば、批判は免れません。
(澤井 志帆 アナウンサー)
なるほど。そして気になるのはやっぱり私たちの生活への影響ですよね。ホルムズ海峡の開放が見通せないことで、原油価格も、また上がりました。今は補助金でガソリンが170円前後になっていますが、津川さん、今後の見通しとしてはどうでしょうか?
(レギュラー コメンテーター 津川 祥吾 氏)
海外のアナリストの分析も、原油価格どうなるかというと、かなり幅があって、1バレル90ドルになるというものから150ドルになるみたいなところもあります。要するに、いろいろな条件がまだ定まっていないので、いろいろなパターンがあり得ますという話、見通せないと言ってもいいかもしれません。ですから青山さん、これ、日本としても、当然、当初の対策は必要ですけれども、長期的な視野に立った対策も必要だと思うんですが…。
(コメンテーター 政治ジャーナリスト 青山 和弘 氏)中東から原油がいつまで入ってこないのかがわからないのに、それでもガソリン価格を170円に固定して、「今まで通り使ってください」という政策なんですよしかしこの状態が続けば、どこかで節約の方に舵を切っていかなきゃいけません。
(レギュラー コメンテーター 津川 祥吾 氏)
私たちが節約するのは当然だと思うんですが、これ、政府は「節約してください」というメッセージを出すか出さないのかって、なんか、ごちょごちょしてます。これはなぜですか?
(コメンテーター 政治ジャーナリスト 青山 和弘 氏)
1つはパニックを起こしたくないと。「節約」というと急にトイレットペーパー買い占めのような動きにつながるのが怖いというのもあります。もう一つは高市さんは、首相になって以来「日本列島を強く豊かに」と日本経済を成長させることを第一の公約に掲げてきたんです。ところが「節約」といった瞬間に日本経済が冷え込んでしまう可能性があります。経済活動に影響があることをできるだけ言いたくない。ただ、それにこだわって逆に原油が枯渇するようなことがあったら、これは日本という国が立ちいかなくなります。どこで舵を切るかが問題なんですけど、高市さんとしてはギリギリまで節約の方に舵を切りたくないという本音が、今の状況をもたらしていると思います。
