2026年度「年収600万円」の会社員は“増税・減税”どちらになる? 意外と知らない「税制改革」の中身とは? 3人家族“会社員の夫・パートの妻・子ども1人”のケースで解説
減税・負担減になること
2025年に閣議決定された「財務省 2026年度税制改正の大綱」では、「物価上昇に連動して基礎控除等を引き上げる仕組みを創設する」など、主に中低所得者の減税になるように配慮がされています。
・基礎控除の引き上げ
・住宅ローン控除の拡充
・NISAの拡充
・ひとり親控除の拡充
・新築住宅に係る固定資産税の減税を延長
基礎控除の引き上げにより、会社員の所得税負担は軽くなります。
増税・負担増になること
2026年度には、「気づきにくい負担増」がいくつか開始されます。特に影響が大きいのが、子ども・子育て支援金と社会保険料の増加です。
2026年4月からスタートする子ども・子育て支援金は、少子化対策の財源として、健康保険料に上乗せされる形で「個人から支援金を徴収」する仕組みです。子育て世帯は児童手当などの恩恵を受ける一方で、実質的な負担も増えることになります。
支援金は加入する医療保険制度により異なります。
・2026年 月額200~350円
・2027年 月額250~450円
・2028年 月額350~600円
また、社会保険料の上昇により、給料が上がっても手取りが思ったほど増えない、あるいは実質的に減ってしまうということが起こります。
今後変わる社会保険料は以下の4つです。
(1)健康保険料(医療分):平均保険料率が0.1%減少
(2)子ども・子育て支援金:健康保険料に上乗せで徴収
(3)介護保険料:増加
(4)厚生年金保険料:標準報酬月額の上限引き上げ
表面的には増税がなくても、「天引きが増える=実質的な負担増」という構図になっている点は見逃せません。
年収600万円・妻パート・子1人の家庭ではどうなるか
各種制度の改正によって、実際に家計はどう変わるのでしょうか。ここでは「年収600万円・妻パート・子ども1人」のモデルケースで見ていきます。
・所得税の非課税枠拡大により、年間で約3万7000円の減税
・健康保険料(医療分):数千円の減少
・児童手当:年12万円の収入
・子ども・子育て支援金:年3000円増
・介護保険料:年数千円
・厚生年金保険料:影響なし
10万円以上プラス
(児童手当の収入を抜きにしてもプラス)
児童手当の「年12万円」が大きいので、子育て世帯は大きく得をしています。そのほかは、「増税と減税が相殺された結果、わずかにプラス」というのが実態に近いでしょう。
まとめ
2026年度の制度改正は、「増税か減税か」で単純に語れるものではありません。子ども・子育て支援金や社会保険料の増加によって負担は確実に増える一方、所得税の非課税枠拡大などで一定の減税も行われます。
その結果、モデルケースではプラスとなりましたが、これはあくまでバランスの上で成り立つものです。配偶者の収入が増えたり、昇給によって社会保険料が上がったりした場合、このバランスは簡単に逆転します。
つまり、多くの家庭にとっては「油断するとすぐに実質マイナスになる」状況ともいえます。今回の改正は、“じわじわ効く変化”の積み重ねです。だからこそ、自分の家庭に当てはめてシミュレーションし、早めに対策を取ることが、これからの家計防衛においてますます重要になっていくでしょう。
出典
財務省 令和8年度税制改正の大綱
こども家庭庁 子ども・子育て支援金制度について
厚生労働省 厚生年金等の標準報酬月額の上限の段階的引上げについて
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
