カレールー購入額、鳥取市が6年ぶり日本一に…その理由は「節約志向」?カレーと好相性な名産品?
「カレー王国」鳥取復活――。
総務省が公表した2025年の家計調査で、鳥取市の1世帯(2人以上の世帯)当たりのカレールー購入額が6年ぶりに日本一に返り咲いた。ほとんどみんなが好きなカレーへの熱量で負けない鳥取県民の不断の取り組みが功を奏したと言えそうだ。(木元悠吾)
コラボしやすさ
「しばらく1位から遠ざかっていたからうれしい」。カレーを通じて地域活性化に取り組む鳥取カレー研究所(鳥取市新)の池本百代代表は笑顔を見せた。2009年設立の研究所は砂丘らっきょうや二十世紀梨など地元の特産品を使った「鳥取カレーの素(もと)」やカレールーに乾燥野菜を同封した「カレーキット」などを開発・販売。カレーキット作り体験や、全国のグルメイベントで鳥取のカレー文化を発信するなど鳥取のカレー文化浸透に貢献してきた。
「カレーは何でもコラボでき、子どもが嫌いな食材も刻んで入れたら食べてくれる」と魅力を語る。

家計調査は、総務省が県庁所在地と政令指定都市の計52都市を対象に実施。2025年の鳥取市の1年間の購入額は2072円で、全国平均の1552円を大きく上回った。1位は2019年以来となる。
節約志向
そもそも、鳥取市は長年、カレールーの消費量が全国トップクラス。では、鳥取の家庭でカレーがよく食べられているのはなぜか。
池本代表は1位を取り戻した背景にコロナ禍明けの影響があると指摘。在宅時間が長くなった頃は、他県もカレーを食べる家庭が増えていたのが収束とともに落ち着き、相対的に鳥取が他県を引き離したのではないか、と推測する。
一方、鳥取情報文化研究所の植田英樹代表はモヤシも購入額が1位になったことも踏まえて「ここ1、2年の物価高騰を受け、鳥取らしい節約志向が現れたのでは」と分析している。
県食パラダイス推進課は理由は定かではないとしつつ、▽育児中の男女の有業率が93・4%と全国1位(2022年の総務省の調査による)で、多忙な中でも作りやすい▽らっきょうの生産量が全国1位で相性が良いカレーが好まれやすい――ことが考えられるという。
さらに盛り上げ
久しぶりの首位奪還を受けて、県内では盛り上がりを見せている。
県は早速3月に関連イベントを企画。同じく購入額が1位となった魚のカレイも使って、「カレー味のカレイ」や給食カレーを地場産プラザわったいな(鳥取市賀露町)で振る舞ったほか、市内12のカレーグルメ提供店を巡る「とっとり乙カレースタンプラリー」を実施し、人気を集めた。

鳥取市を中心にチェーン展開するスーパー「サンマート」の湖山店では、商品棚に「鳥取カレー王国 首位奪還」のポップを掲げた。同店は、定番から珍しい商品まで、系列店の中で最多の約80種類のカレールーを販売。安岡直樹店長は「やはり1位はうれしい。辛さをアレンジできる調味料など関連商品の取り扱いも増えてきた」と話す。
1位返り咲きをきっかけに市観光コンベンション協会の浜崎大輔副会長はカレー好き5人と一緒に「とっとりカレー協議会」を結成した。今秋にも投票で人気店を決める鳥取カレーグランプリの初開催も計画する。「1位をこれからも維持していきたい」とますます意気盛んだ。
