記事のポイント
エアリーがAI生成の人物や身体を使わない「100% エアリー・リアル」を正式発表した。
パメラ・アンダーソン主演の映像キャンペーンで「リアル」の価値を訴求している。
誓約の導入以来、ブランド認知度は二桁成長を記録し信頼構築に寄与している。


エアリー(Aerie)は、AIによって生成された身体に対して明確な反対姿勢を打ち出している。

2025年10月、アメリカンイーグルアウトフィッターズ(American Eagle Outfitters)傘下のインティメイトブランドであるエアリーは、最新の取り組みとして「100% エアリー・リアル(100% Aerie Real)」を正式に発表した。これはマーケティングにおいてAI生成の人物や身体を一切使用しない誓約である。

この動きは、2014年にモデルのレタッチを廃止する決断の延長線上にある。当時の方針は、ブランドのアイデンティティを確立し、インティメイト市場において同ブランドを差別化する一助となった。

現在、同社はこのメッセージを、これまででもっとも注目度の高いキャンペーンへとスケールさせている。中心となるのが、パメラ・アンダーソン主演の映像作品である。

パメラ・アンダーソン起用で示す「作れないリアル」の演出




この映像は、プロンプトのやりとりを模した無機質なAI生成インターフェースのなかからはじまる。

アンダーソンの声がシステムに指示を出し、モデルを生成し、外見を調整し、ムードやエネルギーを微調整していく。それぞれのアウトプットは瞬時に表示されるが、どれも完全に人間らしくは感じられない。

カメラのシャッター音がシーケンスを中断し、人工的なセットを崩壊させ、エアリーのライブ撮影現場へと場面が切り替わる。そこでは同じモデルたちがリアルなモデルとして再登場し、セットの上で動き回り交流する。

その中心にアンダーソンが現れ、「You can't prompt this(これはプロンプトでは作れない)」というセリフを放つ。

今回、アンダーソンが自らの意志で表舞台に再び戻ってきたことがキャスティングのきっかけとなった。

ここ3年のあいだ、アンダーソンは濃いスタイリングやデジタル加工から距離を置き、ノーメイクで公の場に姿を現し、人工的な美の基準を拒絶することについてオープンに語ってきた。

この変化はファッション界やメディア全体に共鳴を生んでいる。

アメリカンイーグルとエアリーのプレジデント兼エグゼクティブクリエイティブディレクターであるジェニファー・フォイル氏は次のように述べている。

「エアリーは2014年にモデルのレタッチを一切行わないと約束し、業界に新たな基準を打ち立てた。そしてその姿勢は、ブランドが体現するすべてのものにおいて、オーセンティシティを最前線に据え続ける点で一度もぶれていない。今回の『100% エアリー・リアル』への取り組みは、我々のコミュニティが目にするすべてのものが、彼女たちが鏡を見たときに目にするのと同じ『リアル』であるという再確認である」。

AI生成モデルが広がる業界への一手



こうした動きは、生成AIツールがリアルなコンテンツと合成コンテンツの境界線を曖昧にし続けるなかで生まれたものである。

ガーディアン(The Guardian)、ビジネス・オブ・ファッション(Business of Fashion)、ビジネスインサイダー(Business Insider)の報道によると、2024年以降、H&Mやマンゴ(Mango)などのブランドがキャンペーンにAI生成モデルをテスト導入し、ザラ(Zara)やナイキ(Nike)はマーケティングや商品開発全般にわたってAIの活用を拡大している。

エアリーのCMOであるステイシー・マコーミック氏は次のように説明する。「今ほど、人々が目にしているものが何なのかわからないと感じている時代はない。それは本物なのか? そうでないのか? 生成されたものなのか?」。

同氏はさらに、ブランドがソーシャルメディアやWebサイトにどのように表示されるかについて、こう続けた。「我々は、人々が我々の画像やマーケティングを見たときに安心感を持ってほしいと考えている。目にしているものがそのまま手に入るものだと、確信を持ってもらえるようにすべきである」。

社内文化を変えるオペレーション改革



社内では、この取り組みがチームやプロセス全体に及んでいる。マコーミック氏はこう付け加えた。

「これは本当に会社の文化を変えつつある。リーダーシップ、パートナーシップ、クリエイティブプロセスに関わるオペレーション上の取り組みである。何をやり、何をやらないかを非常に明確に定義しなければならなかった」。

これには、AIの使い方に関して明確な境界線を引くことも含まれる。マコーミック氏はこう述べた。

「我々はAIに抵抗しているのではない。AIの価値を再定義しているのである。すべてが生成される業界において、リアルはユニークになり、リアルは特別になり、リアルは希少になる」。

このガイドラインは、キャンペーンやクリエイターコンテンツ全般にわたってAI生成の人物や身体の使用を禁止する一方、メディアバイイング、アナリティクス、パフォーマンスマーケティングなどの領域ではAIツールの使用を認めている。

同じ基準は外部パートナーにも適用される。ブランドと協業するクリエイターには、プラットフォームがエコシステムにより多くの生成ツールを導入しているなかにあっても、AI生成コンテンツを避けることが求められている。

メタ(Meta)傘下のインスタグラムは、クリエイター向けにAIを活用した編集機能や画像生成機能を展開し、広告やコンテンツ制作全般にわたってAIを拡大している。

同時に、インスタグラム責任者のアダム・モセリ氏は、ビジネスインサイダーとの最近の投稿やインタビューのなかで、AI生成コンテンツの台頭により何が本物かを見分けることがますます難しくなっていると述べており、プラットフォームは合成メディアに関するより大きな透明性に向けて動いている。

実店舗投資と認知度の二桁成長



この戦略は、実店舗や対面体験への継続的な投資によっても支えられている。マコーミック氏によると、店舗はビジネスのおよそ半分を占めており、エアリーは年間40店舗以上の新規出店を続けているほか、コミュニティとのつながりを深めるためのリアルイベントも開催している。

2025年10月にこのメッセージを打ち出して以来、ブランドの認知度は二桁成長を記録し、ソーシャルメディア全体で安定したエンゲージメントを維持している。マコーミック氏は信頼を重要な要因として挙げた。

「画面上の何かを見て、購入ボタンを押そうとしているとき、それが本物の衣服なのか生成されたものなのか、判断がつかないとしたら、それは重要なことである。目にしているものを信頼できるかどうかは、非常に大切なことである」。

フォイル氏はこう締めくくった。

「AIやデジタルテクノロジーがクリエイティビティとリアリティの境界線を曖昧にするなか、エアリーとして我々の価値観とマーケティングに対する明確な姿勢を示すべきときが来たとわかっていた。もし我々のコミットメントが顧客との関係を強化し、業界全体のより大きな透明性を推進する一助となるならば、我々がめざしたことを達成できたということである」。

このキャンペーンは、YouTube、Amazon Prime Video、Netflix、Hulu、ディズニー(Disney)、HBO、NBCユニバーサル(NBCUniversal)、ロク(Roku)、サムスン(Samsung)を含むペイドおよびオウンドチャネル全体で展開されるほか、インスタグラム、TikTok、ピンタレスト(Pinterest)でも配信される。

「100% エアリー・リアル」の誓約は、全国キャンペーンから店舗内のメッセージングに至るまで、すべてのブランドタッチポイントに引き続き表示される。

エアリーにとって、そのメッセージはシンプルである。顧客が目にしているものは、リアルなのだ。

[原文:Pamela Anderson fronts Aerie's anti-AI push as it bans generated bodies]

Zofia Zwieglinska(翻訳、編集:藏西隆介)
Image via Aerie / YouTube