「反則金が怖くて自転車に乗れない!」の声も…青切符を切られる「駐車違反」「スマホホルダー」「歩道通行」のボーダーライン 専門家が「盗まれたら直ちに盗難届を出すべき」と説く理由
《もう自転車怖くて気軽に乗れない》──大げさではなく、XなどのSNSを見ると多くの人がパニック状態に陥っていることが分かる。ご存知の通り、4月1日から自転車の「交通反則通告制度(青切符)」が導入された。例えば「ブレーキの利かない自転車」に乗っているのを警察官に発見された場合、5000円の罰金を払う必要があるのだ。
***
【写真を見る】「飲酒運転」「信号無視」は論外、でも…。誰もが身に覚えがありそうな乗り方で“青切符”を切られる可能性が。改めて確認したい具体例
違反の対象を見ると、確かに納得できるものも少なくない。二人乗り・3000円、夜間の無灯火・5000円、信号無視・6000円などだ。
しかし一方で、ネットを中心に「納得いかない」という憤りや、「どうすればいいのか分からない」といった疑問が殺到している違反もある。担当記者は「特に3つの違反が疑問視されているようです」と言う。

「1つ目は駐停車違反の最大9000円と放置駐車違反の最大1万2000円です。駐輪場に駐車すれば大丈夫だとは分かっていても、都心部の駅前や繁華街では満車も多いですし、住宅地では近隣に駐輪場が存在しないことも珍しくありません。これまでは、こっそり路地裏に駐車しても数時間ぐらいなら『放置を続けたら撤去します』という張り紙で済みました。実際に撤去されても保管場所に行けば返してもらえました。ところが4月1日以降はどうなるのか、『警察の公式サイトを見てもよく分からない』という不安の声が多いのです」
自動車の場合、無人で駐車違反の乗用車を警察官や監視員が発見すれば、多くは「放置車両確認標章」を貼って警察への出頭を促す。では、自転車はどうなるのか?
「私たちが放置車両確認標章を貼られると警察に出頭するのは、車のナンバープレートを把握されるからです。自分の住所を抑えられているので、標章を握りつぶしても無駄だと諦めざるを得ません。自転車なら警察官が禁止区域に駐車した瞬間を目撃した場合、つまり“現行犯”を見つけた時に切符を切るのは理解できます。しかし警察官が無人の自転車だけを発見したら一体どうするのか? こんな疑問の声もSNSに投稿されています」(同・記者)
個人情報、スマホ……様々な疑問
やはり標章のようなものを自転車に貼るのだろうか? さらに自転車にはナンバープレートがない。どうやって所有者を割り出すのだろうか?
自転車に名前と住所を書いている人はいる。また防犯登録を行う際には住所を届け出る必要がある。そうした個人情報を警察は活用するのだろうか?
「4月1日以降も大半の自治体は放置自転車の撤去作業を続けると考えられます。返却を求めて保管場所に行くと、警察官が待ち構えていて青切符を切るということはあるのでしょうか? 自治体が警察の代わりに反則金を請求するということはあるのでしょうか? 私の知り合いのジャーナリストは複数の自治体を取材しましたが、いずれも『何も決まっていない』という返答ばかりだったそうです」(同・記者)
二つ目は携帯電話等の保持・1万2000円だ。スマートフォンを持って画面を直視し、片手運転で自転車を漕げば危険だと誰でも知っている。SNSで戸惑いの声が多いのは“スマホホルダー”だ。
「Uber Eatsの配達で自転車を使っている人や、ロードバイクの愛好家などが代表例ですが、ハンドルの真ん中にホルダーを取り付け、スマホを固定しているのをよく見かけます。表示されているのは多くが地図アプリです。道案内に従って漕いでいるのでしょう。この状態で走っている自転車を警察官が見つけたら、どうするのでしょうか? 手に持っていないからとお咎めなしなのか、それとも地図アプリを見ているのは事実だとして青切符を切るのでしょうか?」(同・記者)
「自転車を盗まれて反則金」に注意
最後となる三つ目の疑問は、歩道走行・6000円だろう。SNSでは最も議論が盛んなテーマと言っても過言ではない。
「特に都市部の道路は自転車にとって非常に危険な場所です。左側に何台もの車が停車している道も多く、右側に移動すると追い抜こうとする車と接触しそうになります。SNSに『何かの拍子に車と接触したら、死んだって不思議ではない』といった投稿が殺到している理由です。自転車で街を走っていると、驚くほど運転が下手な人も目立ちます。よたよた運転の自転車が車道を走ると、むしろ危険なのではないかと心配になります。警察が歩道走行で本当に青切符を切るのか、その本気度が分からず、多くの人が疑心暗鬼になっているというのが実情でしょう」(同・記者)
しまかぜ法律事務所の井上昌哉弁護士は交通事故専門の弁護士として知られる。SNSで目立つ三つの疑問について解説を依頼した。
「一つ目の駐車違反ですが、これは4月以降に警察がどう対応するか、実際に見てみないと何も言えません。放置自転車の回収業務を行っている自治体と警察がどこまで連携するかも今のところは分かりません。ただし、警察が防犯登録を使って自転車の所有者を割り出すことはできます。防犯登録の個人情報を活用して反則金の支払いを求める準備を警察が進めていることは充分に考えられます。そうなれば盗まれた自転車が駐車違反で放置され、それを警察が見つけた場合はどうなるのかという疑問が出てきます。この場合は所有者に反則金の支払を求められる可能性が高いため、盗まれた場合はすぐに警察へ盗難届を出し、備える必要があります」
4月は青切符のリスクが高い
井上弁護士によると、スマホホルダーの問題は道路交通法第71条第5号の5(ながら運転禁止)が重要な意味を持つという。
「この法律はスマートフォンや携帯電話の画面を『注視』しながら自転車を運転することを禁じています。では『注視』とは何かと言えば、『画像を見続ける行為』と定められており、国家公安委員会告示第12号では『おおむね2秒を超えて画面を見続けること』と規定しています。2秒を超えて見てはいけないというわけですから、配達などで本当に地図が必要な人は停車して確認するか、音声ナビを活用したほうが安全でしょう。イヤフォンの使用は『周囲の音が聞こえない状態』だと青切符の対象となります。音声ガイドはスマホのスピーカーから流すほうが無難だと考えられます」
最後に残った歩道走行の問題に関して井上弁護士は「まず、歩道通行が例外的に可能となっている条件を確認してください」と言う。
「条件は二つあります。一つは『13歳未満の児童や70歳以上の高齢者の場合』。二つ目は『交通量が多くて車道通行が危険な場合』です。ただし歩道通行が認められるケースでもルールを守らなければなりません。歩道の中央寄りから車道寄りの部分を徐行して通行することが必要で、道路交通法に定められています。自転車を押して歩けば立派な歩行者なのは言うまでもありません。いずれにしても制度が始まった4月は警察も力を入れているはずです。つまり青切符が切られる可能性は高いと考えられ、いつも以上に安全運転に気をつける必要があると言えます」
デイリー新潮編集部
