sumika(写真=堀内彩香)

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 sumikaが11枚目となるシングル『Honto』をリリースした。『映画ドラえもん 新・のび太の海底鬼岩城』主題歌としても話題になっている表題曲は、“人間らしさ”について考えさせる作品のテーマとも深いところで共振しており、幼い頃から『ドラえもん』好きだというsumikaの3人による作品愛もたっぷり詰まっている。幾田りらをゲストに迎えた「赤春花 (feat.幾田りら)」、『映画ドラえもん 新・のび太の海底鬼岩城』にインスパイアされた小川貴之(Key/Cho)作曲のバラード「Blue」なども含めた充実のニューシングルは、バンドの新たな一歩としての手応えも十分だという。そんな今作の制作や『ドラえもん』に対する思い入れについて、片岡健太(Vo/Gt)、荒井智之(Dr/Cho)、小川にたっぷりと話を聞いた。(編集部)

※以下、記事内では『映画ドラえもん 新・のび太の海底鬼岩城』の一部ネタバレを含みます。

(関連:【撮り下ろしあり】sumika、“感情”と向き合って紡いだ新たなる一歩 『ドラえもん』との巡り合いがバンドにもたらした推進力

◾️「Honto」の始まり--「感情を優先してしまうことに名前をつけたい」(片岡)

--現在公開中になりますが、改めて、『映画ドラえもん 新・のび太の海底鬼岩城』の主題歌を担当することが決まった時の心境から聞かせてください。

片岡健太(以下、片岡):もうこれ、ダジャレみたいになってるんですけど、「本当?」って思いました。

--あははは。

片岡:それぐらい信じられなかったですね(笑)。日本の歴史の中でも長く愛されている作品と、まさか自分たちの音楽が交わるとは。あったらいいなとは思ってましたけど、そこまで具体的には想像してなかったので。それが実現するってなった時に、ちょっと夢見心地な気持ちになりましたね。

小川貴之(以下、小川):報告を受けた日は、家に帰るまでの間もずっとふわふわしてたのを思い出しました。それから音楽を作っていくうちに、だんだんと噛みしめながら今に至るんですけれども、決まった瞬間はやっぱり信じられないぐらいのことだったので、びっくりが一番大きいかったですね。

荒井智之(以下、荒井):子供の頃から慣れ親しんできた大好きな作品だったので、とてもびっくりしました。そこにバンドとして音楽で一緒に作品を作るお手伝いができるのはすごく幸せなことだなと思います。

--「慣れ親しんできた」とありましたが、『ドラえもん』は皆さんにとってどんな作品となっていますか。

片岡:僕は姉がいるんですけど、家のテレビでは家族の誰かが『ドラえもん』にチャンネルを合わせてる状況だったので、自分の意識でオンオフをつける以前に、『ドラえもん』がいる方が逆に自然なぐらい、自分の生活の中の一部に入ってましたね。

荒井:小学生の時に『ドラえもん』が好きな友達と二人で“ドラえもん愛好会”を作ってました。友達が会長、僕が副会長。休み時間に『ドラえもん』を観た感想や豆知識、好きなひみつ道具をたくさん話してたのが、いい思い出です。

小川:たぶん人生初映画が『ドラえもん』だったと思うんですよね。『のび太の創世日記』(1995年)だったか、『のび太と銀河超特急』(1996年)だったかな。母親と二人で映画館に行った記憶があって。『ドラえもん』の映画を観に行くと入場者プレゼントがもらえるし、帰りに売店でパンフレットを買ってもらえるのがご褒美的な感覚だったのを覚えています。その映画に一緒に携われるのが嬉しかったんですけど、今回、この作品と携わるうちにいろんな見え方があるなって思いました。

--大人になってから触れるとまさに見え方が変わってることに気づきますよね。通算45作目となる本作は1983年に公開された『映画ドラえもん のび太の海底鬼岩城』の再映画化となりますが、原作や脚本などを読んでどんな感想を抱きましたか?

片岡:のび太くんが水中を走るひみつ道具の水中バギーと話している中で、機械の水中バギーは「人間がなんでこんなに非合理的なことをやるのかがわからない」って問いかけるシーンがあるんですよね。のび太くんは「正解じゃないとわかっていても、自分の感情を優先しちゃうことがあるんだ」って言っていて。そこが今、2026年現在、わりとタイムリーな悩みというか。テクノロジーとして身近な生活の中にAIがある中で、どこまで自分の感情を優先させて、どこまで合理的に動くのかっていう線引きがグラグラ揺らいでいるような気がしたんです。時にテクノロジーに依存したり、時にそれを拒絶しすぎたりする。バランスを取るのが難しいんじゃないかなっていう問題を今一緒に考えていけたら、2026年に『新・のび太の海底鬼岩城』を公開して、自分たちが音楽を担当させていただく意味があるんじゃないかなっていうふうに思って曲作りに臨みました。

荒井:すごく今らしいし、とても人間らしいメッセージだなと思いました。しかも、大人になった今だからこそ、より深い受け取り方ができるなと思っていて。年を重ねるにつれて、社会や世界のルール、制約、暗黙の了解みたいなものを少しずつ覚えていってしまうじゃないですか。だから、昔ほど純粋に自分の感情と向き合えない部分が増えてきてるのかもしれないなとも感じましたね。子供の頃はもっとピュアだった気がするなって。子供はもちろん、大人にも、人間らしい心とは何かっていうメッセージを伝えてくれる作品なんじゃないかなと思いました。

小川:脚本を読ませていただいた上で、自分たちの人生にも置き換えられるなと思っていて。バンドをやっていること自体、合理的かと言われたらそうではない。メンバーと運命的に出会って、周りが就職していく中でバンドを続けていくっていうことを選んだ。全然ご飯を食べられない時期があったし、それこそAIを使ってバンドの成功率みたいなのを調べたら、すっごい悲劇みたいな数字が出てくると思うんですよ。でも、そういうのを考えてたら目指すきっかけにもならない。やっぱり人の心や感情は数値化できないものだと思うんですよね。そういったものを優先するべき時にちゃんと優先する大切さが明確に描かれてるなと思ったので、自分らしく参加すれば、いいピアノが弾けるのかなとは思いました。

--バンドを選択したっていうことに対しても重なる部分があったんですね。

片岡:そうですね。振り返れば、僕らがバンドを始めた時って、そんなに情報も多くなかったですし、誰かに質問したらベストアンサーみたいなのが出てくるような世の中でもなかった。本当に、メンバーとか身近な友達に「これでいい?」っていうものが1分の1の答えだった。他の分母をあまり持ち合わせてなかったからこそ、盲目にやれたんだろうなと思う。逆にそれはすごく幸せだったとも思うし、今の時代を生きる方も--ある種、便利で幸せだと思うんですけど、やっぱり僕が高校の時より悩みは多いのかなって思ったりはしました。

--のび太と水中バギーの「正しいと正解の違い」というやりとりの中から「Honto」っていうワードを選んだのはどうしてですか。

片岡:正解/不正解ではなく、自分の感情を優先してしまうことにまずは名前をつけたいなと思っていて。そこに向かって曲作りに励んでいくことで、他のメンバーや参加してくださるミュージシャンの方と同じ一本の道を歩いていけるような気がしたんですね。だから、その葛藤に「Honto」という名前をつけて、一旦そこを目指してみんなで行ってみないかという気持ちで、タイトルから作ったんですけど。

--そうなんですね。最初からアルファベットでしたか?

片岡:はい。仮タイトルから「Honto」で変わっていなくて。しかも、その「Honto」はみんな別々でいいから、ある程度抽象度があるものだなと思っていたんですけど、一つだけルールがあるとしたら、「自分が決めた」ってことだけなんじゃないかなと思うんで。そこに向かってみんなで、ミュージシャンとして答えを出していった感じですかね。

--小川さん、荒井さんは片岡さんが作ったデモ楽曲を聴いた時にどんな印象を受けましたか?

小川:デモの時点でかなり緻密に構築されているなって思いました。そこで、自分がレコーディングでどういうアプローチができるかなって考えた時に、寸分の狂いもないリズムっていうよりは、人間らしさを大事にしたいなと思って。劇中でも様々な冒険や紆余曲折があるので、そういった人間らしい波みたいなものを出せたらなっていうのを感じて弾いてみました。

荒井:デモの段階でもうドラムもでき上がっていたので、まずはそこを大事にしたいなと思いましたね。ゆっくりめというか、落ち着いた進行の中でしっかりと一音一音、一歩ずつ歩いていくような音。あとは、マーチングバンドのような軽快なスネアロールが随所に現れているので、ドラえもんたちが歩いていくのを一緒に横で応援するような、見守っていくような雰囲気を感じたので、そこをすごく大事に叩きました。

◾️sumikaがお気に入りのシーン

--試写で観てどんな感想を抱きましたか?

片岡:みんなで観たんですよ。まずは、作品として感動しすぎて泣くというのが第一にあって。

荒井:全員、泣きました。

小川:各々の場所でね。

--みんな違うところだったんですね。水中バギーがしずかを泣かせた相手に向かっていくところじゃなく……。

荒井:僕はそこでしたね。絶対にくるだろうなっていう、イメージ通りの感情がきました。

片岡:俺、(オープニングの)「夢をかなえてドラえもん」あたりからもう泣いた(笑)。

--あははは。序盤も序盤ですよね。

片岡:「なんか、始まったぞ!」って感じて。僕らもそうですし、『ドラえもん』の制作チームも長い時間をかけて、この作品に愛を持って携わってきたから、それが完成したんだなっていうのを感じるのがやっぱりオープニングじゃないですか。作品によってはオープニングがないものもあるけど、今回はテレビシリーズと同じくあって。sumikaもそこの一員に混ぜてもらえた喜びみたいなものがまず、最初にありましたね。そこから随所で泣いて、もちろんクライマックスでも泣いて、僕たちが主題歌だっていうことを一瞬忘れてたんですけど、自分たちの曲が流れてきて、俺たちじゃんかっていうので驚いて泣き、曲を聴き終わって、これ間違ってなかったなって泣き……みたいな、何個もポイントがありました。

小川:僕も片岡さんと一緒で、エンドロールで自分たちの曲が流れるのをちょっと一瞬忘れてるぐらい没入していたんですよね。エンドロールで自分たちの曲が流れて、次のステージにみんなが歩みを進めている姿が描かれてて。それで食らっちゃいましたね。

--“ドラえもん愛好会”の副会長に好きなシーンを聞いてもいいですか?

荒井:(しずかが捕まるシーンで)ひみつ道具の「ムードもりあげ楽団」が出てくるんですけど、その3人の中に小太鼓担当がいるので、まさしく僕だなと思って……でも撃たれてしまって、その瞬間は特別な感情になりました(笑)。密かにムードもりあげ楽団を応援していたので、いろいろと印象深いシーンなんですけど、僕は元から、しずかちゃんが一人で「自分から捕まる」って言い出すシーンも好きで。それこそ、さっき言った正解ではない本当の気持ち、自分がしたいことと向き合っていくっていうのがよく表れている場面のような気がするんです。危ないっていう気持ちはあると思うんですけど、自分自身の気持ちと向き合って、自分がこれがいいと思うから行く。で、その後に「なるべく早く助けに来てね」っていう。

片岡:あれ、いいよね。人間らしい本音が出てた。

荒井:自分が犠牲になるつもりではなくて。怖いけど、みんなを信頼してるから、「行くけど早く助けに来てね」っていうやり取りはいいなと思いました。

片岡:僕はエルがムー連邦のみんなに向かって、「変わらなきゃいけない」って力説するシーンが好きですね。この作品って徹底して二項対立が続いていて。最初は、海と山のどっちに行くか? みたいな話から始まって、陸上と海底、ムーとアトランティス、テクノロジーと人間の感情っていう、相対するものがずっとあって。そことどう向き合っていくかみたいなことが、あのエルのシーンで一つのトリガーになってる。こんなに断絶しちゃったら次に行けないぞ、みたいな。あのシーンで一瞬、自分のリアルな生活に投影する部分があって。そこからまた作品に戻っていけたから、あのシーンはすごく印象的でしたね。

--大人が観ても考えさせられるものがたくさんあるんですね。

片岡:そうですね。やっぱ大人にならないとわからないですよね、これって。僕が小学生の時から「『ドラえもん』は深いんだよ」って大人から聞いてましたけど、社会に出たり、人を傷つけてしまう経験が実際にあったりすると、さすがにこれは染みるな、みたいなことも増えていく。それは、やっぱり作品としてのすごさでもあるなと思いますね。

◾️「ドラえもんは心の中に形あるものを残してくれる存在」(小川)

--小川さんはこの映画にインスパイアされたバラード「Blue」を書き下ろしてます。

小川:この作品も夏休みの出来事で、大きく言っちゃえば夏休みの思い出の一つなんですけど、みんなにとっては、しっかりと次につながるものに変わっている。形ないものが形あるものに変わってるなって感じたんですよね。そのきっかけをくれたのが、ドラえもんで。おそらくみんなにとってのドラえもんというのは、形あるものに変えてくれる存在。助けてくれるのではなくて、自分にヒントを与えてくれて、自分の心の中に形あるものを残してくれる存在だと思って。それを僕個人に置き換えてみたら、周りの人や大切な人が、そうやって自分の心の中に何かを残してきてくれてるなと。実世界でもドラえもんを人に置き換えて、いろいろ考えることができるなって思ったんですよ。なので、成長していくことの尊さや素晴らしさみたいなものを曲に込めようと思って、「Blue」という曲を書きました。

--歌詞は片岡さんですよね。タイトルは?

小川:その時は何もつけなくて、片岡さんがつけてくれました。

片岡:デモの時点ですごく素敵な曲だったので、『新・のび太の海底鬼岩城』からインスパイアを受けたっていうところを最大限汲み取れたらなと思って書きました。一つの物事って片面からでは話せないので、「Honto」とはまた違った形でアプローチしていけたらなというふうに思ったんですけど--これは伝えるニュアンスがちょっと難しくはあるんですけど、“他者=自分ではない誰か”って、自分の記憶を覚えていてくれる装置でもあると思うんですよね。

--ああ、わかります。

片岡:大事な人であればあるほど、そこの解像度が高くなる。バンドで言ったら、僕が忘れててもメンバーが覚えてることもありますし、スタッフチームが忘れてても僕が覚えてることもある。そうやって人の気持ちの年輪みたいなものって広がっていくんじゃないかなって思った時に、そこが人間のいいところというか、人間らしさみたいなものかなって。テクノロジーには頼り切りたくない、曖昧な部分というか。そういった気持ちを忘れないで生きていけたらなっていう気持ちで歌詞を書きました。

--ボーカルも小川さんが務めていますね。

荒井:「Honto」の方は、おそらく『ドラえもん』のお話がなければ、sumikaの中からは出てこなかった楽曲じゃないかなというふうには思っていて。sumikaらしい部分もあるんですけれども、今までのsumikaにはなかったような世界観や雰囲気をすごく感じていて。逆に「Blue」には今までのsumikaらしさがふんだんに詰め込まれている。今までのsumikaらしさがある、sumikaど真ん中の良質なポップスって言える曲を小川くんが歌っているっていうところが、このバンドの幅の広さを表現しているような気もして。だからメンバーとして、この楽曲はすごく誇らしいし、素晴らしい楽曲だなというふうに思います。

小川:僕は自分自身が優しくなれる瞬間を求めながら曲を作っている感覚があって。曲がすごい救ってくれる瞬間が多々あるんですね。この楽曲もまさにそう。泣きながら作ったんですけど、とても優しい曲ができたなって思ったし、作ってる時点から僕を救ってくれていた感覚があった。その曲に自分の歌声を入れるっていうことも運命めいたものというか、改めてまたこの曲は、何段階も救ってくれるんだっていう感覚がありました。なおかつ、歌詞もバシッとはまったものを片岡さんが書いてくれて。本当に噛みしめながら歌を込めていきました。

◾️「縁や出会いを大事にした幸せな第一歩目」(荒井)

--「Honto」と「Blue」を収録したニューシングルはバンドとしてはどんな位置付けの1枚になっていますか? 昨年3月にリリースした5枚目のアルバム(『Vermillion's』)がVermilion=“朱色”でしたが、この2曲は『ドラえもん』の“青色”になってますよね。

片岡:いや、これ、本当に狙ってないんですけど、去年『Blue』というツアーをやってなくてよかったなって。危なーと思いました(笑)。

--(笑)。やりそうだったんですか。

片岡:そういう色としての対比もありますし、『Vermillion's』はメンバーのパーソナルな部分と向き合って作りきったアルバムでもあったんですけど、今回は『ドラえもん』と一緒にやるっていうところで、作品がよくなるようにっていうのが第一プライオリティだった。そうやって「作品にとってどうか」ということを考えられるシングルがこのタイミングで出たっていうのが大きくて。もっと言うと、愛が深い『ドラえもん』のチームと曲作りができたことで、一緒に作っていく人が広がった面もある。そういったマインド面までパッケージできた作品なんじゃないかなっていうのは思います。

荒井:ここ数年、sumikaにはいろいろなことがあって、昨年ようやくメンバーが揃って、1年間バンド活動をすることができたんですよ。sumikaとして新たにこの先を歩いていく体制が整ったというか、土台ができた年が2025年だった。そして2026年になって、『ドラえもん』と一緒に仕事ができたことが、僕はsumikaっていうバンドの新しい第一歩目だなと思っていて。またシングルとして言えば、幾田りらさんをお迎えした曲(「赤春花 (feat.幾田りら)」)もあって、新しい縁や出会いを大事にしつつっていうことも表現できているので、すごく大きくて、とても幸せな第一歩目になっているなというふうに感じています。

小川:「Honto」だけではなく、全4曲でいろんなサウンドを鳴らせたっていうのも、しっかり歩みを進めていけてるなっていう安心感につながってますね。エンジン全開で作ることができたので、これからのバンドの推進力に変わるような1枚になったんじゃないかなって思っています。

◾️「Lovers」2億回再生の感慨と“ライブすること”の意味

--そんな中で、2016年にリリースされた「Lovers」の累積再生回数が2億回を突破したこともニュースになっていますね。

片岡:モチベーションになりますね。楽曲ができ上がって、皆さんに届いてからというのは僕たちは管理しきれないところじゃないですか。だから、楽曲がいろんなところまで歩いて行ってくれてありがとうって気持ちがあるし、それをキャッチしてくださった方にも感謝しています。作詞作曲を頑張ります!

小川:本当にただただ嬉しいですね。これからも頑張って、変わらずに心を込めて作っていきたいと思います。

荒井:数字だけだとイメージが難しいんですけど、かなり前にレコーディングした楽曲が今でも愛してもらえるんだなって考えると、すごくグッとくるというか。幸せ者だなと思います。

片岡:1年や2年で何億回も再生されるアーティストがすごいなって思うのは大前提ですけど、10年かけて2億回行ったのは嬉しいかもしれないですね。かなりsumikaっぽい気がする。

小川&荒井:あはははは。

片岡:僕らは瞬間風速系バンドじゃないので。

荒井:確かにそうだね。じっくりコトコト煮込んだ……。

片岡:お味噌汁系バンドだからね(笑)。

--そして4月4日からはライブツアー『Unique』がスタートします。新たな一歩を踏み出したsumikaにとって、どんなツアーになりそうですか?

片岡:何人かで来てくださる方もいれば、一人で来てくれる人もいると思うんですね。何人かで来ている方も、結局は家に帰れば一人になるわけで。一人になった時にちゃんと“1分の1”で残っているものがあればいいなというふうに思っています。僕は大前提として、孤独な時間ってすごく必要だと思っていて。誰かとずっと一緒にいると、やっぱり人に依存しちゃったりもするし、その人がいないと動けなくなっちゃう。一人でも楽しいじゃんみたいなことを噛み締められるものを、一個でもお渡しできる体験を作れたらなと思ってますね。

小川:ライブに来てくれるっていう時点で凄まじいことだと思うんですよね。チケットを取って、時間を割いて、その場所まで来てくれてる。なので、心の底から来てよかったなって思えるステージにしたいし、言葉だけではなくて、非言語の部分でよりたくさん感動を与えられるようなライブがしたいですし、また行きたいなって思ってもらえるようなツアーにできたらなと思ってます。

荒井:……さっきから、なんとか少しでも伝えられることがないかなと考えてるんですけど、何を言ってもうっかりネタバレになってしまいそうで(笑)。だから具体的なことは何も言えないんですけど、今、みんなで準備していることをしっかりやれれば、すごくいいツアーになるなと思ってます。「なんでライブに行くんだろう?」とか、僕たちも「なんでライブをやるんだろう?」っていう問いがあって、そこに対して「だからsumikaのライブに行きたくなるんだな」とか「だから僕たちもライブをやりたいんだな」っていう答えみたいなものを、みんなと共有できるツアーにできればいいなというふうに思っているので。期待していただけると嬉しいですね。

(取材=永堀アツオ)