韓国戦で、先発登板したダニエル・パディシャーク【写真:荒川祐史】

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チェコのパディシャークは昨季オイシックスでプレー

 第6回のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)が5日開幕した。チェコ代表は東京ドーム韓国と1次リーグ初戦を戦い、4-11で敗れた。先発マウンドに上がったダニエル・パディシャーク投手は「もう一度日本に戻ってこられて、本当にうれしい」と口にする。この言葉には、他の選手と違った意味がある。昨季、NPBの2軍に参加するオイシックスに加入したものの、負傷でわずか3か月の在籍に終わった。その間の経験で「謝りたい」ことがあるというのだ。

「思ったような感覚とはいかなかったけど、これも勝負だから」。試合が終わって40分、ようやく東京ドームの通路に姿を見せたパディシャークは、静かな口調でこう口にした。チェコ最高の投手との期待を背負って立ったマウンド。2四球と安打で1死満塁のピンチを背負うと、韓国の「5番・一塁」で先発したムン・ボギョン内野手に右中間へ満塁弾を運ばれた。0-4、試合の流れは大きく韓国に傾いた。

 ベンチはこのタイミングで、わずか18球で降板させる選択をした。パベル・ハジム監督は「(ボールを)リリースする2本の指の感覚が今日はよくなかった。状況を見ながらになるがまた先発する可能性はある」と、この大会中に再び起用する可能性を示唆した。無念の思いを晴らすチャンスがあると信じ、再び準備する。

 日本でもう一度投げたいという思いは、誰より強かった。パディシャークは2024年11月に名古屋で行われた日本代表との強化試合で、4回を4安打1失点(自責0)と好投。150キロを超える直球が高く評価され、昨年2月にオイシックス入りが発表された。2軍とはいえ、チェコ人投手がNPBの舞台で投げるのは初めて。3月には来日し、新潟県長岡市での暮らしが始まった。

隣人に助けられた新潟の暮らし「全くわからなくて…」

 ただ2試合に登板しただけで、6月には退団が発表された。成績が悪かったのではない。腕の神経を痛め、投球がままならなくなってしまったのだ。あこがれていた日本での暮らしは、わずか3か月で終わった。チェコに戻ってようやく原因を突き止め、治療に努めたが、WBCまでに投げられるようになるのか不安は尽きなかった。

 日本での暮らしは、いい思い出ばかりだという。驚いたことを聞くと「誰も詳しく教えてくれなくて……そんなことが必要だなんて知らなかったんです」とまず“懺悔”が口をついた。何かといえば、家庭ごみを出す際の分別だ。

「最初の1週間はやり方が全くわからなくて、多分、近所の人たちが僕の知らないところで助けてくれていたんだと思います、この場を借りて、めちゃくちゃにしてしまったのを謝りたい」。同じマンションの人たちに感謝しかない。その後は正しい方法を学び「今はもう、完璧ですよ」とも付け加えることも忘れなかった。

 日本の、新潟のファンに伝えたいことがある。「応援してくださった皆さんに、心から感謝しています。あまり投げられなかったにもかかわらず、皆さんはチェコから来た僕を快く受け入れてくれました。ぜひWBCを見て、僕たちも応援してください、日本戦は厳しい戦いになるでしょうが、全力を尽くします」。日本への思いを胸に、日本を超えようとする選手がいる。

(THE ANSWER編集部・羽鳥 慶太 / Keita Hatori)