Photo: 見崎 豪 / model: 秋元るい

この写真に、思わず足を止めてしまった。

CP+ 2026」をブラついていると、ケンコー・トキナーブースに掲げられていた作例。決して派手な展示ではなかったけれど、写真が1枚あれば何かを物語るには十分。それもレンズの魅力ってやつですよね。

ということで、出会いました。LENSBABYの新作「Twist 28」です。

LENSBABYといえば、ソフトフォーカスや独特のボケを演出する、いうならば「変態レンズ」を世に出し続けてきたアメリカのメーカー。

中心だけシャープで周囲がぐにゃっとボケる光学系、カラフルな泡が浮かんだような「バブルボケ」を生み出すフィルター、蛇腹をカメラに取り付けてボケの方向を自在に動かせるシリーズなど、「まともに写せない」ことさえ堂々と売りにしてきた異端のメーカーです。

でも、なんだか使うとわくわくしちゃう。僕もソフトな効果が出る「Velvet」シリーズを持っていて、ずいぶん楽しみました。

そのLENSBABYが、「史上最もリクエストが多かったレンズ」と銘打って投入してきたのがTwist 28。最大の売りは「ペッツバール風の渦巻き」です。

最近耳にする「ペッツバール風」がここでも

Photo: 長谷川賢人

19世紀の光学者、ヨーゼフ・ペッツバールが設計したペッツバールレンズは、中央はシャープに解像しながら、周辺部に向かうにつれてボケが渦を巻くように流れていくのが特徴。

最近では、2023年公開の映画『哀れなるものたち』で「美学的な視点で美しい画が撮れるレンズ」として取り入れられたり、フィルムカメラで知られるlomographyから映像撮影も視野に入れた「Petzval Art Lensシリーズ」が出たりと、ペッツバールという言葉を耳にすることもあります。

この背景が渦を巻いてしまう、いわゆる「ぐるぐるボケ」のユニークさは、今もなおさまざまなレンズで再現されながら親しまれています。背景の渦巻き感と相まって、自然と視線を中心へと引き込む効果があり、ポートレートや街撮りでも独特の雰囲気を演出できるんですね。

以下は公式動画からのキャプチャですが、「Twist 28」はぐるぐるボケが出るときはガッツリ出るんですが、条件によってはそこまで出過ぎないのかも? 波打ち際を歩く女性だけにスーッと目が行く効果って感じになってます。

あるいは周囲が流れすぎたときは、少し中央にクロップしてあげて良い塩梅を探すのもいいか。

image: LENSBABY

「Twist 28」の対応マウントはキヤノンRF、FUJIFILM X、ニコンZ、ソニーE、マイクロフォーサーズです。

絞りは固定f/3.5。絞り環がない分、構図・距離・雰囲気だけに集中できる設計といえます。最短撮影距離が約20cmとかなり寄れるのもうれしい。重量は140gと軽い部類で、取り回しも良さそうです。

ここで面白いのが、Twist 28の名前の由来でもある、焦点距離が28mmである点です。広角レンズに入ってくるこの画角でぐるぐるボケが出ると、構図の考え方がちょっと逆転してきます。

つまり、通常の広角レンズは「広く映す」ために画面周辺まで積極的に使うものですが、Twist 28では周辺が流れていくため、「広く映しながらも視線は必ず中央の被写体に向かう」という、少し矛盾したような豊かさが生まれます。

周囲を丸ごと主役の引き立たせ役にするように、環境を包み込んで見せる。そういう写真が狙えるんです。

ここで「CP+ 2026」で見せてもらった(そしてこの記事でも掲載をOKしていただいた)作例をもう1枚見てみましょう。

Photo: 見崎 豪 / model: 羽田彩音

洋館らしいモチーフやオブジェをしっかりと取り込みながら、主役である女性の手元や表情、その佇まいにグッと視線と印象が集中する感覚があります。中央部分の解像感も高くて良いですね。

それでいて、周囲のモチーフもいっぱいに印象を高める効果を生んでいる。もちろん、後から加工で近しいことはできるかもしれませんが、この瞬間をレンズだけで狙って出せるというのが面白さですよね。

散歩や旅行に「とりあえず持って行く1本」として

140gという重さも魅力的。メーカーの公式動画でも専用のキャリーケースに入れて、ポイッとカバンにしまってます。たぶんこのケースも付属してくるものだと思われます。というか付いていてほしい!

image: LENSBABY

ちなみに、FUJIFILM X-S10に付けてみると、こんな感じ。ほとんどグリップと揃うくらいの大きさでコンパクト。人物や動物など、被写体へのプレッシャーも控えめにできそうで好感です。

Photo: 長谷川賢人

「CP+ 2026」ではケンコー・トキナーのブースで展示があり、想定販売価格は3万2800円と掲示されていましたが、日本での正式な発売時期・価格は現時点では未定とのこと。本国での発売は2026年4月2日が予定されていました。

個人的に 「変態レンズの雄」だと思ってきたLENSBABYが、渾身の作を投入してきた感のある一本。広角なのに視線が中央へ集まり、軽くて薄くて扱いやすい。なんというか、かなりまともです。変態レンズメーカーのくせに!

そんな背景も、ちょっとくやしいくらいに惹かれてしまう理由かもしれません。

Source: LENSBABY

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