(左から)松崎健夫、小田井涼平(写真=林直幸)

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 17年ぶりに日本で開催されるファンイベント「スター・ウォーズ セレブレーション」を記念して、映画『スター・ウォーズ』の音楽を生演奏で映画全編上映とともに楽しむシネマ・コンサートが、2025年4月18日から20日にかけて東京ガーデンシアターで開催される。

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 『スター・ウォーズ』は1977年の第1作公開以来、映画のみならず文化全体に多大な影響を与え、神話的なストーリー、魅力的なキャラクター、革新的な特殊効果、そしてジョン・ウィリアムズが手掛けた象徴的な音楽によって、多くの人々を魅了してきた。

 今回のシネマ・コンサートでは、オリジナル3部作『スター・ウォーズ/新たなる希望(エピソード4)』、『スター・ウォーズ /帝国の逆襲(エピソード5)』、『スター・ウォーズ/ジェダイの帰還(エピソード6)』を一挙上演。映画のセリフや効果音はそのままに、音楽パートをフルオーケストラが生演奏することで、圧倒的な臨場感と没入感を提供する。

 『スター・ウォーズ』は映画史に残る作品であると同時に、その音楽は映画音楽史に残る名曲ばかり。あの荘厳な音楽を生演奏で堪能すると、映画はどう輝くのか、そして『スター・ウォーズ』の魅力について、映画評論家・松崎健夫と、『スター・ウォーズ』をこよなく愛するタレント・俳優の小田井涼平が対談した。(杉本穂高)

●自宅に『スター・ウォーズ』グッズが1万点

松崎健夫(以下、松崎):小田井さんは『スター・ウォーズ』が大好きだとお伺いしました。

小田井涼平(以下、小田井):その愛が見た目に出てるでしょ(笑)。このスタジャンは後ろにストームトルーパーがいて、普段から冬場にこういうのを着て歩いてるんです。『スター・ウォーズ』って出てくる登場人物とかクリーチャー、ドロイドたちの数がすごく多いしどれも魅力的。僕、結構収集癖があるもんで、そういう心をくすぐってくるんですよね。元々、『スター・ウォーズ』を好きになったきっかけも、コーラの瓶の蓋の裏に『スター・ウォーズ』の絵が描いてあったやつだったんです。最初はそれが何かわからず集めてました。

松崎:奥様のLiLiCoさんとお話した時、自宅に『スター・ウォーズ』のフィギュアが大量にあると話をされていました。

小田井:そうなんです。大人になって金銭的にゆとりが出てきてしまうと、手を出してしまうわけですよ。しかも、最初の3部作で終わらずに今も続いてどんどんキャラクターが増えてますからね。集めだしたらきりがなくて、1万点ぐらいあるんじゃないかなと思います。

松崎:1万点はすごいですね! そんな小田井さんの初めての『スター・ウォーズ』鑑賞体験はどんな感じだったんですか?

小田井:最初はテレビ放送の吹替版だったと思います。そんなに裕福な家庭じゃなかったんで、映画はまずテレビで観るものでしたね。

松崎:僕は小田井さんと同年代で同じ兵庫県出身だから、似たような体験をしてるんじゃないかと思うんです。学校に行くとみんな映画館に行ったわけじゃないのに、『スター・ウォーズ』を知っているような感じで、それだけ社会現象だったんですよね。

小田井:そうでしたよね。それに『スター・ウォーズ』って例えば、アニメや特撮にもすごい影響与えていますし、それどころか世界中をインスパイアしたというか、そういうものを当たり前の存在にしたっていうのは、とんでもないことですよね。

松崎:ちなみに、小田井さんがシリーズの中で一番好きな作品はなんですか?

小田井:やっぱり『新たなる希望(エピソード4)』ですね。ここから『スター・ウォーズ』が始まったわけですし。それに大人になって見返してみると、色々なことに気づけます。低予算で作っているのに創意工夫がいっぱい詰まっていて、人の手で作り上げたものの素晴らしさがありますよね。

松崎:昔『スター・ウォーズ展』で、撮影に使った模型の展示を見たんです。ミレニアム・ファルコンの模型もあって、近くでじっくり見ると、プラモデルの部品とかを解体して使っていたりすることがわかるんです。

小田井:今ならもっとリアルに作れるかもしれないですけど、低予算で模型で作ってると思うとすごいなって思いますよね。クリーチャーも全部作っているわけでしょ。

松崎:ちなみに、一番好きなシーンって選べますか?

小田井:一番好きなシーンというか、一番怖くて覚えているのは、『新たなる希望』でルークがオビ=ワンを探しに行って留守にしている間に、ルークのおじさんとおばさんの家に帝国の兵士がやってきて、ルークが戻ってみると2人が丸焦げになっているシーンです。あれがすごい怖かったんです

松崎:2人の悲惨な状態を映していましたからね。

小田井:そうなんです。あれが子供心にすごく怖くて。しかも後の作品であの2人のバックボーンが描かれるようになるじゃないですか。それを知るとと改めてショッキングなシーンになるんです。

●テンションが上がってしまう「ダース・ベイダーのマーチ(帝国のマーチ)」

松崎:では、『スター・ウォーズ』で一番好きな曲はなんでしょう?

小田井:これはオーソドックスに「ダース・ベイダーのマーチ(帝国のマーチ)」です。あれが聞こえてくるとテンション上がります。『スター・ウォーズ』は色々なテーマを持った曲がありますが、音楽だけで帝国の恐ろしさを表現してる。あのメロディーラインはすごいですよね。

松崎:テンションが上がるの、すごくわかります! マーチとしても聴けるから力強いし。

小田井:ジョン・ウィリアムズは、映画をものすごく理解した上で作っているんだろうなって感じます。映画を観ていると音楽に対して無意識になるというか、作品世界にのめりこませますよね。音楽流れてることを忘れるくらい作品世界に完全に馴染んでるんです。

松崎:いつの間にか音楽のことを忘れてしまうんですよね。あの当時、宇宙だからといってシンセサイザーなど使っていたら、逆に古びてしまった可能性があると思います。ジョージ・ルーカスは古典的な活劇を復活させたかったから、昔の映画の作り方を引っ張り出してきて、できた音楽が結果的に50年後もこうして僕らを興奮させているんです。昨今、こういうメインテーマみたいな音楽を作る作品は減っていて、アカデミー音楽賞を受賞する作品は、映画の中の効果音に近い使われ方をする作品が多く、サントラを単体で聞いても良さが伝わりにくいんです。それはそれで、映像の中に溶け込んでいるから評価されるべきですけど。

――『スター・ウォーズ』の音楽は映画の世界にもなじんでいて、かつ耳に残る旋律なわけですね。その2つが備わっているってすごいですね。

小田井:めちゃくちゃすごいことですよ。気が付けば作品の世界に没頭してしまうのに、「ダース・ベイダーのマーチ(帝国のマーチ)」が流れる瞬間は音楽が先行しているんです。「来た来た!」みたいな気分になって、ちゃんとお膳立てしてくれて作品世界の中に誘ってくれてますから。

僕からすると、音楽なしでは成り立たない作品に見えます。こういう言い方が正しいかわかりませんけど、伝統芸能ですよね、もはや。

●シネマ・コンサートの魅力とは?

松崎:そんな『スター・ウォーズ』のシネマ・コンサートが4月18日から20日までの3日間、東京ガーデンシアターで開催されます。しかも今回は、オリジナル3部作を一挙上演します。僕は以前、『新たなる希望』のシネマ・コンサートを観ているんですけど、小田井さんはご覧になったことはありますか?

小田井:シネマ・コンサートは観たことないので、だからこそ楽しみです。国宝級のジョン・ウィリアムズの曲を生演奏で聴けて、映画も観られるなんてすごい贅沢ですよね。僕は数えきれないくらい『スター・ウォーズ』を観ていますけど、一度復習してから観に行きたいと思います。それは生のオーケストラと映画館のサラウンドシステムで聴くことの違いを聞き分けるために、一回元の音を知っておいたほうがいいと思うので。音楽の奥深さが多分変わってくるはずなんで。映画館では聞こえてこないような音まで聞けるのかと思うと楽しみだし、すごく贅沢な体験だと思います。

松崎:さっきも話に出ましたが『スター・ウォーズ』の音楽はテーマがあって、この音楽がかかったらあのキャラクターが出てくるぞ、みたいに予兆的に使われることがあります。そういう曲が始まった瞬間にお客さんが拍手し始める一体感がシネマ・コンサートの魅力の一つです。でも、不思議なことに、シネマ・コンサートって、最初はどうやって演奏してるのかなと演奏者も気にして見るんですけど、いつの間にか画面の世界に引き寄せられて行ってしまうんです。

小田井:なるほど、自分が今贅沢な体験してることを忘れていくんですね。耳が贅沢慣れするというか。

松崎:そうなんです。すごく不思議なので、ぜひこれを体験していただきたい。

――普通の映画館で観るのと、シネマ・コンサートで観るのでは、鑑賞体験としてどれくらい違いますか?

松崎:かなり違います。音楽は生演奏なのに、映像は映画館と同じ。最初は音楽の響き方に違和感を覚えますが、これは演奏者のスキルの高さもあって、鑑賞中にだんだんそういうことを意識しないようになっていくんです。それでいて、スピーカーを通しても生演奏ならではの空気と振動が伝わってきます。コンサートのように音楽を体感できるのも魅力です。

●シネマ・コンサートでしか味わえない『スター・ウォーズ』体験

松崎:このシネマ・コンサートは、大きなスクリーンで『スター・ウォーズ』が観られるチャンスでもあります。実際、リバイバル上映の機会も少ないじゃないですか。大スクリーンで観る価値ってやっぱりありますよね。

小田井:宇宙が舞台ですからスクリーンが大きいに越したことはないですよね。作品の奥行きが違ってきますし、舞台も目まぐるしく変わっていって作品の中で四季を感じさせますから、そういう良さがより伝わってくると思います。スピーダーに乗ってるシーンとか、あの感覚はスクリーンの方がリアルに伝わりますね。木にぶつかったりするシーンの怖さとか。

松崎:やはり作り手はスクリーンで観てもらうことを想定して作っているから、視線誘導なんかも計算しているんですよね。テレビの小さい画面だとそこまで視線を動かさないですから、大画面で観ると改めてそういうことに気づくんです。

――オリジナル3部作を全て上演するというのも贅沢ですね。

小田井:そうですね。『スター・ウォーズ』は数年おきに公開されているわけですけど、それぞれの期間に間があってルークたちも成長しているんです。ルークとハン・ソロの距離感も縮まってて、そういうのが一気に観られるのもいいですよね。

松崎:シリーズをイッキ見できるのは、後から観る醍醐味でもあります。しかもそれをスクリーンで観られるチャンスは本当に少ないんです。この機会を逃したら次はいつあるかわかりません。それにシネマ・コンサートの鑑賞体験は、普通の映画鑑賞と異なり生演奏だから、毎回同じではないんです。それもまた魅力的で、この時にしか味わえないものがあるわけです。

小田井:コンサートという言い方をしていますけど、要はこれ“ライブ”ですもんね。僕もテープが擦り切れるくらい観ていますけど、今までとはまったく違う体験になるってことですから。

松崎:そういっても過言じゃありません。その日限りの『スター・ウォーズ』体験ができます。

小田井:ファンからしたら自慢になりますね! もしかしたら、オリジナル3部作を一挙に観られてオーケストラで聴けるのは、もう自分が生きてる間にはないかもしれないですから。

松崎:おっしゃる通りです。ぜひみなさん足を運んでください。

小田井:はい。足だけじゃなくて体も運んでください。今日は本当にありがとうございました!

(文=杉本穂高)