今年の夏休み、北海道にドライブ旅行に行ってきました。車中泊仕様のミニバンを借りて新千歳空港を出発。北竜町のひまわりの里に立ち寄って、留萌市の黄金岬へ。無料のキャンプ場を利用しながら、稚内市まで海沿いに続くオロロンラインを走り、日本最北端の宗谷岬からオホーツク海沿いを南下して網走方面へ。そこからは道央に入り、美瑛、富良野を通って、千歳空港に戻る4泊5日の旅です。

 こんなにロングドライブをするのは初めてのことなので、事前にGoogleマップで何度もシミュレーションしました。北海道ドライブ旅を紹介するYouTubeをかたっぱしからチェックし、道の駅のガイド本も取り寄せるなど、入念な準備をして臨んだのですが、初日の最初の訪問先でいきなりやらかしてしまいました。

200万本のひまわりが見られる北竜町の「ひまわりの里」

 北竜町で日本最大規模という200万本のひまわり畑を堪能した……までは良かったのですが、そこから留萌市に入ってコンビニに立ち寄った際に、サイフがないことに気づいたのです。最後にサイフを出したのは、ひまわりの里の売店ですが、広大なひまわり畑の中や少し離れていた駐車場、その後に立ち寄った道の駅で落とした可能性もあります。

 まずサイフは本当に手元にないかどうか、4泊5日分の荷物が入ったカバンの中をひっくり返して探す必要があります。見つからなければ、ここまでたどってきた道を順にさかのぼっていくしかありません。すでにひまわり畑を訪問してから2時間近くが経過しています。ここか逆にたどっていくとなれば、今後の旅程を大幅に見直さないといけないでしょう。今夜の宿泊地も変更しないといけないかもしれません。

 途方に暮れる中で思い出したのは、筆者のサイフには「AirTag」が入っているということ。

 さっそくiPhoneの「探す」アプリを起動してみると、ありました! ひまわりの里の売店で、小腹を満たそう買ったソーセージ。どうやらそのまま、そこにサイフを置いてきてしまったようです。「AirTag」が動いている様子はなかったので、サイフは誰かに拾われて持ち出されることなく、止まっているようです。

 現地でもらったチラシに載っていた、売店の事務所の電話番号にかけてみると、確かに同じ特徴を持つサイフを預かっているとのことでした。これを聞いてどれだけホッとしたことか。もし見つからなければ、旅行のための現金を失うだけでなく、クレジットカードをとめるなどの手続きに忙殺されて旅行どころではなくなるところでした。

29Km離れた北竜町に置き忘れられたサイフ。あわてて紛失モードに設定しつつ、電話をかけて所在を確認しました。1時間近くかけて取りに戻り、無事に受け取ることができました

筆者が使用している「AirTagも入る 小さい財布」。その名の通り手のひらサイズのサイフで、AirTagが入るポケットがついています

 日本の治安の良さに改めて感謝しつつ北竜町に引き返し、無事サイフを受け取ることができました。時間を大幅にロスしたせいで楽しみにしていた海鮮丼は、お店の営業時間に間に合わず食べられませんでしたが、サイフに「AirTag」が入っていなければ、もっと大変なことになっていたに違いありません。普段は持っていることをまったく意識しておらず、電池残量の確認も怠りがちな「AirTag」ですが、入れていてよかったと心から思った瞬間でした。

 その後、多少の天気の崩れはあったものの、旅は順調に進み、4日目には美瑛町の白金青い池を訪れることができました。ここは今や北海道屈指の有名観光地。道の駅や駐車場などもきれいに整備されていますが、そこからほんの少し離れただけで、もうすっかり山の中という感じになるのには驚きました。訪れたのが早朝のやや靄がかかったタイミングだったこともあり、青い池から富良野を目指す道中では、本当にこの道であっているのかどうか、何度も不安にかられました。

早朝に訪問した美瑛町の白金青い池。幻想的な雰囲気でした

 カーナビの地図や少し古かったこともあり、いったん路肩に車を停めて、マップを検索しようとiPhoneを取り出したら圏外でした。

 そこであらためて周りを見ると、鳥なのか虫なのか、いろんな鳴き声も聞こえ、いかにも動物が出てきそうな雰囲気です。もしこんなところでクマと鉢合わせたら、圏外だし一体どうしたらいいんだろう。想像したら途端に怖くなりました。

設定の「緊急 SOS」から、衛星通信を使った緊急通報サービスのデモを試すことができます。空が見通せる場所で案内に従って向きを調整。どんなふうに通報するか体験できます

 そこで思い出したのが、日本でもiPhoneで緊急時の衛星通信が使えるようになったというニュースです。デモモードが試せるという記事を思い出し、本当に使えるのかどうか試しにやてみたら、ちゃんとつながりました。
 「AirTag」もそうですが、このような備えあれば……という製品やサービスって、普段の忙しい生活の中では気にも留めていないものです。防災備品や非常持ち出し袋と同じで、時々はちゃんと使えることを確認することも大事だなと思いました。いざというときに、「AirTag」の電池が切れていなくて、本当に良かった。私にとっては大冒険だった北海道旅行で、つながるありがたさを再確認することができました。