その経験からも山田社長は「いくら健康に良くても美味しくなければ広く普及しない。食べたくて選んだ美味しい食事が、結果的に健康にもつながるという世界観を実現したい」と小麦の美味しさと健康の両立には強くこだわる。今回は「これならいける」という判断だ。


腸活ブームの中で小麦自体を見直す

 高食物繊維小麦粉「アミュリア」は、通常の小麦粉と比べ約5倍の食物繊維を含む。食物繊維を多く含むごぼうと比べても3倍弱の食物繊維を含み、レジスタントスターチ(難消化性でんぷん)という腸内環境改善に役立つ食物繊維も多く含む。

 これまで小麦粉系の食品の食物繊維を増やすには、全粒粉に置き換えたり、食品添加物を混ぜたりするのが一般的であるが、そうするとえぐみが出たり、食感がぼそぼそとしてしまうのが課題であった。しかし「アミュリア」は原料自体に栄養価を含むため、そういった課題はない。シンプルに普通の小麦からこちらに置き換えるだけで高食物繊維を含んだ食事が可能となる。

「小麦粉はある種コモディティ化しているため差別化になるブランド品が必要。通常小麦粉と比べたら割高ではあるが、病気リスクを抑え健康になれるという付加価値を感じていただく」と山田氏。

「アミュリア」は今までの製品のデメリット面をカバーし、さらに健康になれるという社会ニーズに応える製品である。

「あまりにも普通の小麦粉と食べ口が変わらないので、本当にそんなに食物繊維がたくさん含まれているのか、当初はとても信じがたかった」と話す村上氏は、自身でも実験をしたという。

 毎朝アミュリアで作った6枚切りのパン1枚を食べ続けるという実験で、3日目くらいからお通じが良くなるといった腸内環境改善の効果を実感。「魔法の粉のようだ」と笑って見せる。

 現在製粉業界は大手4社(日清製粉、ニップン、昭和産業、日東富士製粉)の販売シェアが8割を占める市場状況の中、同社の販売シェアは国内40%と業界トップ。その中で「アミュリアの製品が市場でもっと広まっていければ、日本人の健康寿命を伸ばすことにつながる」(山田氏)と期待を込める。

 小麦粉の栄養素自体を根本から見直す─。社会ニーズに合わせた小麦粉の進化を探る2度目の挑戦で、5~10年後に売上20億円規模を目標に据える。既存の穀物の新たな可能性掘り起こしへ─。業界1位の日清製粉が仕掛ける小麦粉革命である。