目的地は北の果て ポールスター2でシェトランド諸島へ 上品なEVホットハッチ 後編
諸島で最も壮観な景色が広がるアンスト島
シェトランド諸島のイェル島を数km南へ戻り、グッチャー・フェリー乗り場へ。好奇心旺盛なカワウソが岸辺でくつろいでいる。シャチが泳ぐ姿もラッキーなら観察できるらしい。今日は違ったけれど。
【画像】上品なEVホットハッチ ポールスター2 PHEVのポールスター1 兄弟モデルのボルボも 全106枚
イェル海峡を渡るフェリーの半分くらいの大きさの、小さな船へポールスターを載せる。船員は手際が良く、船が港について、荷降ろしを終え、積み込みして出発するまでに10分も掛からない。

ポールスター2(英国仕様)
湾は荒れていて、うねりに飲み込まれる。船体へ当たる波音が聞こえるが、キャビンは快適。水平線が左右へ傾く様子がシュールだ。
あっという間に、シェトランド諸島で最も壮観な景色が広がるアンスト島へ到着。ここが、今回のポールスター2での旅の最終目的地になる。
島の南端のフェリー港には、巨大な三脚状の鉄骨が置かれていた。潮力タービンの土台部分だという。
アンスト島は小さく、北の端までは約23km。ポールスター2の充電量は69%。エネルギーには余裕があるから、これまで我慢してきたステアリングホイール・ヒーターをオンにし、エアコンの温度を上げる。
タッチモニターに表示される航続距離を確認すると、下り坂を約2km進むごとに、0.2kWhが充電されているのがわかる。回生ブレーキは効果的だ。
アンスト島は、ほとんどが農地で覆われている。フェンスで囲われたグリーンの地面が一帯に続く。北欧と並んで、バイキングとゆかりの深い場所でもある。
風力や潮力で作られた電気でクルマ旅
島の中部には、ボビーズ・バスシェルターという、賑やかに飾られたバス待合所がある。地元の人によって毎年改装されており、前エリザベス2世女王の在位70周年を祝ったプラチナ・ジュビリーの装飾が華やかだった。
北端へ進むと、隆起した小高い丘がある。頂上では、英国空軍のレーダードームが周囲を監視している。冷戦後は休止していたが、英国領空周辺で活発に飛行するロシア空軍機に備えて、2018年から再稼働している。

ポールスター2(英国仕様)
ホルセンズ・ロードという狭い道で、岬の先端へ。斜面の荒野を縫うように走り、総長約39万8794kmある英国道路網の北の果てへ辿り着いた。
記念撮影を終えて坂を下ると、ウィック・オブ・スカウという小さな湾が見えてくる。アスファルトはグラベルになり、そのまま砂浜へ続く。
道の終わりに、地元の人が乗るフォードのミニバンが停まっていた。ドアはロックされず、助手席側のドアハンドルはない。この土地は英国では2番目に犯罪率が低い。道を走るクルマは、車検を受けていないのかもしれない。
われわれもポールスター2を降りて、ビーチを散策する。波音以外の静けさを満喫する。自動車が走行時に出すCO2は、排気ガスだけが原因とは限らない。少なくともイェル島に上陸して以降は、潮力で作られた電気でクルマ旅をしてきた。
ポールスター2は頼れるパートナーになった。先進的な技術とすぐに親しくなれる。
まさに星へ近い場所
ここで旅は終わり、という予定だったが、花崗岩が露出した半島で大規模な工事が進められていた。民間のサクサボード宇宙基地が建設中なのだ。英国初の宇宙ロケットが、2023年に発射される計画が立てられている。人工衛星を載せて。
蛇行した泥道を2kmほど走り、建設現場へ近づく。最近までは放棄された建物と、第二次大戦時にドイツ空軍から受けた攻撃の跡しかなかった場所だという。

建設中のサクサボード宇宙基地
ツインモーターで四輪駆動のポールスター2の方が、オフロードでは有効だっただろう。しかし、前輪駆動でもスタックすることはなかった。ミシュラン・プライマシー4が泥を巻き上げながら、建設現場へ可能な限り近づく。
3基並ぶ発射台の基礎になる、コンクリートが打設されていた。無菌環境で人工衛星を管理する、格納庫も建てられるそうだ。
巨大なプロジェクトは、もちろんサステイナビリティにも配慮されている。再生可能資源を利用したエネルギーの自給を想定しており、野生動物へ与える影響も最小限になるよう対策が講じられている。
この場所に宇宙基地が建設される理由は、スタッフによると地の果てだかららしい。周辺の空は透明度が高く、地表側には荒野と海水しかない。数m先では、北海の荒波が岩に当たり飛沫をあげている。
全長30mのロケット発射に、ここ以上ドラマチックな場所はないかもしれない。北の果ては、まさに星に近い場所だった。
ポールスター2(英国仕様)のスペック
英国価格:4万9300ポンド(約818万円)
全長:4607mm
全幅:1800mm
全高:1478mm
最高速度:160km/h
0-100km/h加速:7.0秒
航続距離:477km
電費:6.9km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:1940kg
パワートレイン:AC同期モーター
バッテリー:67kWhリチウムイオン
最高出力:231ps
最大トルク:33.5kg-m
ギアボックス:シングルスピード・リダクション

今回の旅の行程 シェトランド諸島はグレートブリテン島の北東約170kmに位置する
