サウンドもお祭り「アバターパーティー!ドンブラザーズ!」録音秘話
そんな中、9人のキャラクター全員が歌う賑やかなパーティーソング「アバターパーティー!ドンブラザーズ!」が完成した。スーパー戦隊シリーズの既成概念を覆す、まさかのライバル同士の歌を通じての共演はもちろん、個性を見事に描き切った9人それぞれのパートなどを楽しめる、魅力溢れる楽曲はいかにして生み出されたのか?
今回、音楽ディレクターの穴井健太郎(日本コロムビア)、東映の番組プロデューサー補佐(AP)の松浦大悟、そして作曲家の大石憲一郎の鼎談が実現。後編となる今回は、サウンドとキャストの素顔が眩しいMVのメイキングについて語っていただいた。
★皆さんのバトンの連鎖で出来上がった楽曲★
――ここからは作曲について伺っていければと思います。
大石 今回、歌詩が先にあるので、言葉がちゃんと伝わるメロにしたいと思いました。変なイントネーションにしたくなかったんです。それを考えつつ、それぞれのキャラのイメージをメロで表現していったのですが、猿原真一や雉野つよしは悩むことなく作ることができました。鬼頭はるかも元気いっぱいのキャラクターでイメージがすぐに浮かびましたね。逆にどう寄せるかちょっと悩んだのはタロウです。
松浦 タロウは、和のテイスト100%ではないのが難しい。
大石 個々のキャラクターもそうですが、どのメロディがタロウに相応しいかを考えた結果、今のメロディに辿り着きました。それから、犬塚翼はカッコいいいイメージですね。
松浦 歌詩も翼だけはやたら英語を使っていて(笑)。
大石 「」のセリフが同じ場所に入っていないので、そこはちょっと苦労しました。
松浦 ご苦労をおかけしました。それぞれのサビの言葉も変えちゃってるし……。
大石 「ここがセリフだとどうかな?」と思う箇所もありましたので、一旦、全てメロを当てています。それからサビにも出てくる「わっはっは」もメロにするか、セリフとして伸ばすか。その辺りは一応、準備はしておいて最終的には全てセリフになりました。
松浦 本当、すみません(苦笑)。

大石 セリフにしておかしくないか否かはプリプロ(※プリプロダクション/仮録音のこと)で確認できると思ったので、そこは実際に歌ってもらってから決めれば大丈夫かなと。
松浦 まさにプロのお仕事ですね。
大石 脳人の3人は、意図的にドンブラセクションとは違うノリにしました。
松浦 どのメロディもめちゃくちゃカッコいいです。ソノイに関しては、テレビ本編では多少違う面も見えて来たけど(笑)。この曲ではあくまでカッコいいソノイを見たいと思いました。
穴井 でも、ファッションリーダーのワードがありますね(笑)。
松浦 あれもソノイが勝手に言ってるだけ(笑)。ソノイのパートは最初、若干タロウを意識し過ぎていたのですが、ちょっと短くして「紅い約束」のワードに収めました。イチャイチャし過ぎてもなんか嫌だし(笑)。
それから「エンディングノート」は、脳人とノートをかけたのですが、これは昨年、『ゼンカイ』のサブタイトルを全て「カイ」で統一するという苦労がありまして。基本は白倉がサブタイを考えていたのですが、自分も何案か採用されたことがあって、その「同じ語尾を探す」、謎の経験が役に立ったりしてます。
大石 ソノザはド頭の「笑い方を教えてくれ」のセリフもインパクトがありましたね。
松浦 ここは難しかったけど、タカハシシンノスケくんが見事でした。
大石 いや、素晴らしかったですね。あの感じで勢いよく入りつつ、いつの間にかメロになっているんですけど、その喜怒哀楽を見事に切り替えて表現してくれました。
松浦 セリフから音楽にシームレスに移るところは聴きどころのひとつですね。
大石 「この人はできる? いや、きっとできるに違いない!」と思って書いた部分です。ああいうのはむしろ、役者さんだからこそできる表現だと思います
松浦 穴井さんがスタジオで「キャラのイメージとダブらせて歌うのが一番大事です」と常に仰っていたのですが、それはホントにそうだなと。
穴井 歌詩に対して、こういうメロを付ければそのキャラのイメージが出るという大石さんのアプローチがあり、さらに歌詞とメロを受け取った役者さんが、それぞれに歌を通じて役柄のイメージを出していったと思うんですけど、プリプロを経て、大石さんがさらにインスピレーションを得た部分もあったと思います。
大石 ええ。プリプロの段階では「まだこれは変わりますよ」と話していて、その後、色々と音を足して、さらにキャラクターのイメージに近付けていきました。
松浦 めちゃくちゃ変わってビックリしました!
穴井 各キャラクターが次々と橋渡ししていく構成になっているのですが、ちょうど夏映画(『暴太郎戦隊ドンブラザーズ THE MOVIE 新・初恋ヒーロー』)に似たようなシチュエーションの場面があったんです。
――劇中劇の撮影で、ヒロインのはるかが、次々と入れ替わって行くドンブラと脳人の男子メンバーと逃げる場面ですよね。
穴井 ええ。あれは音楽メニューとしては1曲(「ハナのヒーローは誰だ!?」)で、山下康介先生のセンスで、それぞれのキャラクターのイメージを1曲の中で書いてくださったのですが、「アバターパーティー!ドンブラザーズ!」では、大石さんのセンスでそれぞれの変化を付けてくださって、そうした流れにもちょっと面白いものを感じています。それとキャストと話したわけじゃないんですけど、もしかしたら、彼らもそうやって移り変わっていく構成に夏映画の要素を感じ取っていたかもしれませんね。
――キャストのレコーディングについてはいかがでしたか?
穴井 レコーディングが初めてという方もいましたが、こちらからのオーダーに対して、すごく真面目に応えてくれました。また、それに対して我々がさらに返させてもらう部分もあったし、本当に皆さんのバトンの連鎖で楽曲ができあがった印象がありますね。
松浦 ほぼ毎日撮影している中、なんとか1日スケジュールを空けて録りました。
穴井 それが良かったですね。だから誰かが歌っているのを全員が一通り聴いているんですよね。レコーディングの合間に話していた感じだと、割と評判が良かったのは雉野つよし。特に志田こはくさんと宮崎あみささんは、歌い出しを面白がってくれました。
松浦 あの二人は今でも撮影の合間にマネして歌っています(笑)。
大石 今回、プリプロがあったのも大きかったです。『ゼンカイ』で介人のキャラソン(「はじめてに BANZAI!」)をレコーディングした際に、プリプロを経て本番をやったらすごく良くなったんですよ。今回、プリプロで出た課題を克服して本番に臨むという、同じ流れで録ることができました。
松浦 そう、一度練習してもらえたんですよね。別府(由来)くんなんかすごい変わりようでした。
大石 皆さん、プリプロの段階でも、きちんとさらってきてくれましたが、レコーディング当日はそれをさらに消化して臨んでくれました。それぞれのパートがきちんとあるので、そこでちゃんと主張したい、表現したい気持ちもあったと思います。
(C)テレビ朝日・東映AC・東映
★9人のキャラクターを描き分ける紹介ソングの醍醐味★
――完成した楽曲についてのそれぞれの手応えはいかがでしょうか?
穴井 僕は制作を始めて8年目なんですけど、「アバターパーティー!ドンブラザーズ!」が、これまでで一番長い曲になりました。基本的に僕は短い楽曲が好きなんですけど、前任の八木(仁)の時代はイントロが長い曲が多かったんですよね。ちょうど20周年で話題になっている『爆竜戦隊アバレンジャー』のエンディング(「We are the ONE 〜僕らはひとつ〜」)とか。
松浦 ああ、あれはまたすごいですよね。
大石 壮大なイントロが付いている『魔法戦隊マジレンジャー』の主題歌も八木さんの時代ですね。
穴井 大石さんとやると、『テン・ゴーカイジャー』の「スーパー戦隊ヒーローゲッター〜テン・ゴーカイジャーver.〜」をはじめ、どうも長くなりがち。
大石 いやいや、それは単に内容が多いんですよ(笑)。
松浦 大石さんなら、やってくれるだろうと全員が思ってます!
大石 「ヒーローゲッター」は『海賊戦隊ゴーカイジャー』の後で2回追加していて、「テン・ゴーカイジャーver.〜」は作りやすかったんですけど、大変だったのが『動物戦隊ジュウオウジャー』の「スーパー戦隊ヒーローゲッター 2016」。あれは2コーラスで40戦隊分まわすと言われて(笑)。それでAメロはなくしていきなり紹介パートから入ったりと工夫しました。でも、「ヒーローゲッター」は各々の紹介部分は短いから、今回とは全く違うんですよ。
松浦 「ヒーローゲッター」は、各戦隊のキャッチコピーを詰め込むみたいな感じですか?
大石 そうですね。それと比べると、「アバターパーティー!ドンブラザーズ!」は、ひとつひとつを色付けしていくような作業でした。しかも普通、1〜3番まであるとしたら全て同じメロディになるわけですが、今回は9人全てのメロディが違う(笑)。そういう意味でのカロリーの高さもありましたね。
穴井 細かい部分で違いがあり、なおかつ1曲として成立させると。そこがすごく練られているんですよね。
松浦 それがドンブラらしさになったと思います。

――サビは共通とはいえ、実質9曲あるみたいな(笑)。
大石 ええ。9倍の労力とまでは言わないけど(笑)、それこそが紹介ソングの醍醐味でもありますね。これくらいの尺があるとひとつひとつをちゃんとキャラ付けできるので、そこは自分としても面白くできたんじゃないかなと思っています。
松浦 それと今年一年、穴井さんと密にやらせていただいて、すごいなと思ったのが、編曲の力。
穴井 一般の方からすると、作業としては一番曖昧な部分かもしれませんね。
松浦 音楽はよく聴く方なのですが、これまで注目していたのは作詩家さんか作曲家さんだけだったりしていて。それが音楽制作を垣間見るようになって、編曲のすごさを感じました。
穴井 サビに入る前の展開も1、2、3番と全て違っていて、その辺りも大石さんが実に上手くやってくださいました。1番のタロウからはるかのサビなんかは割と正当な繋がりになっていますが、ドンドラゴクウで締めて2番のサビに入る箇所は、「おやおや、ここでフュージョンか!?」と思わせる実にお洒落なアレンジになっています。
松浦 猿原パートは和のアレンジが入って、「さすが大石さん、すごいな!」とひとりで拍手したくらいです。
穴井 アレンジの力で空気が変わりますよね。
松浦 桃谷ジロウのパートも中華サウンドになっていますね。
大石 ソノニのパートはガラッと雰囲気を変えたのですが、あそこだけめっちゃ力入れているんじゃないかと思われやしないかと、ちょっと心配です(笑)。
松浦 「大石さん、はるかじゃなくてソノニ派か?」みたいな謎の邪推が(笑)。
大石 いやいや、9人全員に思い入れがあります!(笑)。ただ、脳人の3人はドンブラザーズとはキャラ的にも全然違いますからね。
松浦 2番までで桃井タロウから桃谷ジロウまでの6人を紹介して、そこから脳人に入るところで、またちょっと違うギターの音が入っているんですよね。
大石 歌録りの段階では2番も3番も同じアレンジだったけど、ちょっと変えたいと思って、(サイキックラバーのギタリストの)IMAJOに「雰囲気を変えたいから」とギターソロを入れてもらいました。それこそ、最初はちょっと長めの間奏を入れる案も考えていました。
松浦 あのギターソロが耳に残るんですよ。
大石 あれはやってもらって良かったですね。
松浦 ここからは「俺達の時間だぜ!」とソノイたちが言っているみたいな気がします。
穴井 今回はこれまでの様々な流れを踏まえ、みんなで「ああじゃない」「こうじゃない」と作り上げたので、自分の中でも本当に忘れられない1曲になりました。
松浦 本当に感慨深いですね。
(C)テレビ朝日・東映AC・東映
★みんなで「アバターパーティー!ドンブラザーズ!」を歌ってもらいたい★
――今回、9人全員が出演したMVもとても賑やかで楽しい仕上がりですね。
松浦 僕としてはずっと、戦隊ソングは好きで聴いていて……。主題歌だけでなく挿入歌でも、たとえば『(轟轟戦隊)ボウケンジャー』の「FLY OUT! ULTIMATE DAIBOUKEN」とかがめっちゃ好きなんですけど……という話は置いておいて(笑)
挿入歌も、もっとコアファンだけじゃない幅広い層に届けたいと思ったんです。どんなに良い曲も、聴かれなければ意味がないし、何より勿体ない。しかも今回は「月ノミゾ知ル。」と違って、劇中ではそうそう簡単には流せないでしょう。
大石 ああ、確かにそうですね。
松浦 だから余計に埋もれさせたくなかったんです。とても有難いことに、今年はテレビ朝日さんのほうでもYouTubeのバラエティチャンネル「ドンブラザーズチャンネル」を展開してくださっていて、彼らもとても協力的なチームなので、そこでお力を借りて、「なんちゃって」でもいいからMVを作りたいと思ったんです。
大石 これがまためちゃくちゃ面白いですよね。メイキングを観て、この空間でどんなMVが出来上がるのか楽しみでしたよ。
松浦 あそこは普段『ドンブラ』で使っているアフレコルームなんです。今ってYouTuberしかり、逆に「プロっぽくない感覚」のほうが時代に適している気がしていて。何よりそっちの方が視ていて楽しい(笑)。
だから『ドンブラ』では普段から制作側と視聴者側の境界はわざと曖昧なところを目指しているんです。『ドンブラザーズ』は近い存在、みんなの隣に居るんだよと。僕個人としては、「公式」は遠くにいて欲しい派だったりするのですが(笑)。
その「隣人的感覚」の面白さ重視で、今回は9人全員にカメラを持たせて、キャスト主導でMVを撮ってもらいました。最終的にはちゃんと機材を借りて撮りましたが、それこそ最初はスマホで撮ろうかと話していたくらいで。それぞれカメラを持ってもらって、ワチャワチャしている雰囲気を楽しんでもらえればと思っています。
大石 しかも、あのMVでファンが使っていた「アバパ」が公式になりましたね(笑)。
松浦 いいものがあったら、ファンの皆さんからもどんどん貰っていきますよ(笑)
――それでは最後に楽曲についての聴きどころを今一度お聞かせいただければと思います。
松浦 「アバターパーティー!ドンブラザーズ!」は、「彼ら9人にこうなってほしい」という願望を込めて作ったものですが、個人的には、タロウのお祭り騒ぎだけじゃないところが好きななんです。ある意味、あの部分を聴く度にしんみりしてもらいたいですね。
あとは最初に大石さんが「外側からもネタを引っ張ってきている」と仰っていましたが、キャラクター世界にどっぷり浸かり過ぎず、それこそ番組を観てくださっているファンの皆さん自体が『ドンブラ』をどう見届けてもらえるか。その問いかけすらも、サビに込められているように思います。
大石 反応をちょいちょいSNSでチェックしていたのですが、皆さんちゃんと楽しんでもらえていてとても嬉しいですね。
松浦 あとはできればイベントで9人に歌ってもらう機会を作れたらと思っています。スーパー戦隊シリーズはイベントの比重もとても大きくて、去年のFLT(ファイナルライブツアー)では、割と物事を達観していたあの(駒木根)葵汰が号泣していたくらいですから。元々イベントでもカラオケでもいいけど、みんなで盛り上がれるイメージがあったので、とにかくみんなで歌ってもらいたいですね。大石さんは歌うとしたらどのパートを歌ってみたいですか?
大石 いや、そういう視点では考えたことがなかったです(笑)。
松浦 僕は猿原パートかな〜(笑)。桃井タロウは出だしだから、ちょっと恥ずかしいじゃないですか(笑)。だから二人目がちょうどいいなと。
大石 なるほど。雉野つよしも好きだし、脳人パートもちょっと歌ってみたいですね。
穴井 歌ってもらう上では、やっぱりキャラソンなので、キャラとして演じながら歌ってもらうのが良いと思いますね。あとはやっぱり最初にもお話した通り、ある意味、戦隊の既成概念を覆した曲なので、これがいつか過去の作品になったときに、「こんなすごいことをやれたんだな」とひとつの指針になればと思っています。
松浦 確かに『ドンブラ』自体がそういう目標を持って始めた番組ですからね。いつか後に続く方々が「あの時あれだけハチャメチャやったんだから」と思い返して貰えるものになったら嬉しいです。
とにかく、今はファンの皆さんに「アバターパーティー!ドンブラザーズ!」をどんどん広めて行ってもらえればと思います。
あらゆるところで「聴いた」って言いふらしてください!(笑)

(C)テレビ朝日・東映AC・東映
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