確実に変化しつつある岩政・鹿島 鈴木優磨に求められるプレー
8月21日の湘南ベルマーレ戦を1−1で引き分けた後、鹿島アントラーズの鈴木優磨は神妙な面持ちでこう言った。
岩政大樹監督率いる新体制へ移行してから2試合。14日のアビスパ福岡戦こそ勝利したものの、思うように波に乗り切れていない。“常勝軍団復活”を期して今季から3年ぶりに古巣に戻り、小笠原満男が背負った40番を引き継いだ男は、「チームを何とかしたい」という思いを色濃くにじませた。
ところが、2016年4月2日の等々力での一戦が1−1のドローに終わって以来、鹿島は川崎Fに勝てなくなり、両者の関係性は逆転した。足掛け7年間で13戦未勝利というのは“負の歴史”以外の何物でもない。
「川崎Fは風間八宏さんというチームの哲学を作り上げた監督がいて、鬼木さんがそれを継承している。目先の結果は大事だが、ベースとなる鹿島のサッカーがどういうものかを表現できるようならないといけない」と岩政監督も就任会見で強調した。川崎Fに先を行かれているという事実を認めつつも、現有戦力の英知と底力を結集して勝つしかない。そう考えて、鈴木優磨らはピッチに立ったはずだ。
この日の鹿島は4−3−1−2の布陣を採用。中盤をダイヤモンド型にして、相手の4−3−3に対抗しつつ、攻守両面で上回って勝利することを目指した。川崎Fの最大のポイントである中盤を寸断するため、樋口雄太、和泉竜司、仲間隼斗にしっかりとマークをつかせ、高い位置で奪って攻め込むイメージで挑んだのだろう。だが、序盤はギクシャク感が否めない。相手の山根視来、脇坂泰斗、家長昭博の素早い連係を止めきれず、最終的に家長をディエゴ・ピトゥカが倒してしまい、PKを献上。これを開始8分に決められるという苦しい滑り出しを余儀なくされたのだ。
さらに14分にも、ピトヵカがマルシーニョの突破を止めに行ってFKを与え、これを脇坂に決められるという最悪の展開になってしまう。奇しくも、湘南戦後に鈴木が「セットプレーでやられちゃうのが今のウチを示している」と発言した通り、今回も2点をリスタートから奪われてしまったのだ。
ただ、そこからの巻き返しは凄まじかった。特に後半に入ってからは「前半は守備タスクの位置取りをさせていたが、後半は攻撃に振り切った」と指揮官が説明した通り、怒涛の猛攻を見せる。そして52分に樋口のクロスから仲間がヘッドで合わせ、1点を奪い返したのだ。
このシーンで背番号40はファーサイドに侵入。登里享平とGK丹野研太を引きつけ、仲間を後方支援するという黒子の仕事をしてみせた。その後、エレケと中村亮太朗が入ってからは最前線からトップ下にポジションを下げてフリーマン的にプレー。つなぎ役もこなしながら得点機を演出しようとトライした。さらに3バックにシフトした終盤には、ロングボールに呼応してゴール前で再三、競り合いに行く。ガムシャラにゴールに向かう姿勢は鬼気迫るものがあったが、川崎Fの徹底した守りに跳ね返されてしまった。
最終的にボール支配率や走行距離などのスタッツでは上回ったものの、鹿島は1−2の惜敗。川崎F戦14戦未勝利という不名誉な記録が続く形となった。クラブ生え抜きで、この日キャプテンマークを巻いた鈴木は重責をひしひしと感じたに違いない。
