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商標はすぐさま登録していってね!!!

最近話題の「ゆっくり茶番劇」なる言葉。聞けば、すでに一部の人たちの間で愛用されていた言葉を、誰かが商標登録してしまった事件とのこと。登録した本人はその商標の使用料として10万円を要求したもので(※のちに撤回)、一般ユーザーの怒りに火がつき大変な騒ぎとなっていたようです。

僕もどういうことなのか調べようと思ったものの、すでにワード検索では「ゆっくり茶番劇」を調べてもこのニュースのことしかでず、結果として商標の価値も含めて全部吹き飛んでいるような状態でよくわかりませんでした。どうも、昔からネットでよく見かける、同人ゲーム『東方Project』のキャラを使ったアスキーアートから発展した、解説動画のスタイルを指す言葉のようなのですが…。ちょっと誰か「ゆっくり茶番劇についてゆっくり茶番劇スタイルで解説するゆっくり茶番劇動画」を出してもらえるといいかなと思います。

↓ゆっくり読んでいってね!!!

↓ゆっくりいろんなところと揉めていってね!!!

本件については、商標を登録した人の代理人をつとめた特許事務所もコメントを出しており、そちらが非常に理解しやすく整理されたものでした。そもそも「ゆっくり茶番劇」は全国的に広く知られた周知商標ではないと判断していること。審査期間中、審査中であることが広く公開されていたが周知商標であるとの情報は寄せられなかったこと。その後、異議申し立て期間にもどこからも異議は出ず、登録されてしまったこと。そして、日本において商標は先願主義(早い者勝ち)であることなどが説明されていました。

代理人としてはこうした事態になったことに謝罪の意は示しつつも、ここまでの手続きは法律の枠組みのなかまっとうに行なわれており、今後の係争についても法律の枠組みのなかで行なわれるべきであろうということを世に訴えているようでした。なるほどその通りだなと思います。流行り言葉を自分のモノにしようとするのは、一種の泥棒感があることは心情的に否めませんが、現状の仕組みがそうなっており、そして「ゆっくり茶番劇」は即座に却下されるほど誰かのものであるとはみなされていなかったというのはその通りでしょう。率直に言って、知らないですから。知らない言葉が登録されてきたら、そんなものかと思って通すでしょう。

↓ゆっくり理解していってね!!!



で、話の本題は登録した人を責めることでも、「ゆっくり茶番劇」が周知のものであるかを問うことでもなく、新しい商標(言葉)というのは新しいがゆえに一部の人しか知らないことが当然であり、我こそがその商標(言葉)の持ち主であるという正当性を持つ者は抜け目なく主張し、確保していくことが大切だということです。本件において、おそらく持ち主であろう「ゆっくり茶番劇」界隈のコミュニティに何ら落ち度はなかったわけですが、果てしなく面倒なことになったのは事実です。取られたら困るくらいに価値が出たものはちゃんと守る、そういう意識はあってもいいでしょう。

その意識の高さに関して感心させられたのがプロ野球北海道日本ハムファイターズのみなさんです。昨年からプロ野球を席巻している新庄剛志ビッグボスの「ビッグボス」なる呼び名、アレは昨年の11月4日に就任会見を開いた新庄さんが報道陣に配った名刺に書いてあった肩書きでした。会見で「ビッグボスと呼んでくれ」という方針は示されたものの、実際に世間にウケるかどうかは言ってみて初めてわかったこと。ビッグボス目当てのCMがバンバン決まったり、最終的に登録名をビッグボスにしたりすることは想像の枠外だったろうと思います。

しかし、あの言葉はあの会見で価値が出たことで、すぐさま商標として出願されています。

会見前の時点ですでに登録されていた3件(サントリーのコーヒー、カモ井加工紙株式会社のマスキングテープ、KPE株式会社のパチンコ台)、会見から4日後に出願された梶原某氏なる者による何やらキナ臭いものを感じる仮装用衣服などの商標としての1件、そして11月22日に日本ハム自身によって出願されたもの、その後もいろいろな会社から「ビッグボス」は出願されました。何やらキナ臭い一件に先を越されはしたものの、日ハムも「ウケてから2週間」で商標出願のステップまでこぎつけています。

なお、先を越された1件についても、特許庁の審査官によりビッグボスなる言葉は「北海道道民、全国の野球ファンのみならず、日本国民全体に広く知られた標章」であり、「日本ハムと何らの関係を有さない一私人が独占的に採択使用することは、社会的相当性を欠く」として登録を拒絶する通知が出されています。まだ審査中のステータスではあるものの、この拒絶理由を覆すのは難しいのではないでしょうか。これによりおそらく日本ハムは自分たちで使いたい範囲の「ビッグボス」は押さえることができるでしょう(※まだ審査中)。

キナ臭いのが拒絶されそうなのは結構なことですが、審査官頼りでは同じような審査&拒絶を何件も経ないと安心してビッグボスをいじれませんし、他社がそれっぽい商品やサービスを生み出し育てて、そちらが周知され、ビッグボスとして登録されてしまうかもしれません。そうなったときの面倒を思うなら、ビジネスにつきまとう当然のステップのひとつとして、とっとと出願してしまうのが吉というもの。さすが日ハム、抜け目がないなと思います。あの会見を聞いたあと、コチラは「ビッグボスwww」と笑っている間に日ハムはありとあらゆるビッグボスを抑えにいっていたのですから…!

↓「ビッグボス」の出願情報と経過情報は3時間くらいいじれる濃密さです!(画像タップで出願情報にリンク)

とにかくまぁよくもこれだけ出願したなと思います。商標というのは普通、作る商品のイメージがあって、それにつけたい名前を出願するものじゃないですか。しかし日ハムは「ビッグボス」という財産を守るために、「絶対作らねぇだろコレ」という商品まで含めてありとあらゆるビッグボスを出願しました。その結果、審査官からも「こんなに商品作らねぇだろゴラ」と怒られたうえ、「テキトー過ぎて商品がよくわかんねぇし分類が間違いだらけだぞ」と修正を求められたりもしたわけですが。

ただ、そんなテキトーでザルな出願であっても出しておきさえすれば、ほかの者に先を越されたとしても「バッティングしてるな」ということが審査官にわかるわけです。「ゆっくり茶番劇」を知らない審査官ばかりであったとしても、「ゆっくり茶番劇」を自分も出願すれば「アレ?別々のところから同じのが出てますね」ということは気づかれるわけです。そういう意味では「価値が出た」「自分で使いたい」と思ったら、とりあえず出願しておくのがよく、ビジネスとしてしっかりやろうと思う企業体ならなおのことそうしておくべきだろうと。そういう手続きも含めてしっかりやることに「企業」である意味もあるだろうと思うのです。

「ゆっくり茶番劇」の場合は、もとが同人ゲームであり、ユーザーが一種の公共物として育ててきた文化であったため、出願しようという発想自体がなかったかもしれませんが、「東方プロジェクト」は商標として登録されてもいるようですし、知見のあるゲーム制作側がみんなの代表として「これからも自由に使ってもらう、ただ盗られないために登録しておく」と宣言しつつ手続きしておくというのも手だったかなと思います。面倒だろうなぁとは思いますが、誰かに取られたあとの面倒よりはマシでしょう。そういう部分も、人気が出た者の宿命として、ケアすべきところなのかなと思いました。性善説でいけるのがベストですが、悪いヤツは決してゼロにはならないですからね。

↓ではここで、悪いヤツに立ち向かう日本ハムが「この商品用に商標ビッグボスを登録する」と言い張ったものから、僕が好きなものを紹介します!
●第10位:「アーク溶接機」
アーク溶接機が何だかよくわからないけどアーク溶接機をグッズとして売り出すビッグボス好き〜。それを買って溶接始めるファン好き〜。すぐに事故起きそうで好き〜。(※以下、「好き」って言えば何でも許されるだろうとたかをくくって小バカにしている感じの悪意ある歌声に乗せて)

●第9位:「郵便切手のはり付けチェック装置」
郵便切手貼ったかどうかのチェックは杉谷に人力でやらせるほうが好き〜。でも自動化できたらラクそうなので好き〜。ビッグボス印だと切手代の計算ザルそうで好き〜。

●第8位:「ハム」「ソーセージ」
一番作れそうなのに冷静に考えたらやっぱ出さなそうで好き〜。土壇場で本業のブランドイメージ守りそうで好き〜。あとで本社に怒られそうで好き〜。

●第7位:「漁網製作用杼」
調べたら漁網を織るときに使う機織り用の道具で、パタパタやってるときに糸の間を通す船型の道具だったという豆知識好き〜。球団の誰も何て読むか知らなそうで好き〜。もちろん用途も知らないで出願してそうで好き〜。

●第6位:「毒つぼ」
何か殺す気マンマンで好き〜。殺虫剤とか殺鼠剤とか殺虫管とかはえ取り紙とかはえたたきとかねずみ取りとか殺す道具いっぱい出願してて好き〜。でも同時に「防毒マスク」も出願してあって備えが万全で好き〜。

●第5位:「遺体覆い」「経かたびら」「黒白幕」
ビッグボスのイメージと真逆だけど葬式出す気マンマンで好き〜。直前に毒つぼ使ってそうで好き〜。

●第4位:「養蜂用巣箱」
巣箱のボスはどう考えても女王バチだから紛らわしくて好き〜。ハチミツに名前つけたグッズは百歩譲ってあるかもしれないけど巣箱からは始めねぇだろって気の長さも好き〜。

●第3位:「タルト取り分け用へら」
用途激狭で好き〜。

●第2位:「しだ」「竹」「竹皮」「つる」「とう」「木皮」「あし」「い」「おにがや」「すげ」「すさ」「麦わら」「わら」「きば」「鯨のひげ」「甲殻」「人口角」「ぞうげ」「角」「歯」「べっこう」「骨」「さんご」
素材適当に羅列してて好き〜。象牙を仕入れるアテが全然なさそうなの好き〜。案の定審査官に「本当に出すの?」って怒られてて好き〜。しぶとく事業計画書提出して「意思はあります」って言い張るとこまで含めてウソばっかで好き〜。

●第1位:「老人の養護」
絶対やんねぇだろと思ってたら、審査官に「何言ってるかわかんねぇな」って詰められてて、詰められたらアッサリ取り下げてて好き〜。

これはこれで商売の迷惑なんじゃないかって気はしますが、「ビッグボス」を名乗らなければいいだけですからね!

「ビッグボス」はもう名乗らないでください!



「ビッグボス」という言葉が誕生してからわずか2週間で「もしかしたら養蜂用巣箱も出すかも?」と思える想像力と、それを商標出願しようとする行動力と、それを実行するルートを普段から備えているという準備力。この一件だけで見ても、北海道日本ハムファイターズという集団はなかなかの手練れだなということをお察しいただけるのではないでしょうか。

なお、「ノンテンダー」は今のところ誰も登録も出願もしていないようなので、グッズ化の際などには出願を検討いただいてもいいかなと思います。誰かまたノンテンダーにしたときに最後の荒稼ぎとしてグッズ出すのが捗りそうですからね。「ノンテンダーごみ箱」なんて出したら、「もうこの鉛筆はノンテンダーにしよう」とか言いながら楽しくお片付けができそうで、いいんじゃないでしょうか!
なお先日、ミサイルの商標として「ビッグボス」が他者から出願されました!