この記事をまとめると

■どんどん増えているEVを5つのジャンルに分けて評価

■EVならではの魅力を持ったクルマが多数

■ガソリン車にはできないことがEVではできるので新しい発見ができるのが魅力だ

あまり比較されないEVの各部門の王者を独断でジャッジ

 日本メーカーではEV市場のトップランナーとなっている日産をはじめ、トヨタ/SUBARUもついに新型EVを投入するなど、ここにきてがぜん盛り上がりを見せているEVカテゴリー。すでにほとんどの輸入ブランドも日本でEVを発売しているので、そのラインアップはどんどん増えています。そうなるとユーザーとしては、どれを選べばいいのか悩ましいところですね。

 そこで今回は、「デザイン」「走り」「使い勝手」「乗り心地」「サプライズ」の5部門に分けて、どのEVが優れているのか、独断と偏見でピックアップしてみたいと思います。

 まずはデザイン部門。未来のノリモノとしてEVを捉えていた時代が終わり、クルマとして魅力的なデザインであることや、欲しい・乗りたいと思わせることが重視されてきて、ここ数年で登場するEVは明らかにデザインに力を入れてくるモデルが増えたと感じます。その中でまず、外観はもとよりインテリアがまるでパリで見かける伝統的建築物や美術品のようい凝っている、DSのDS 3 CROSSBACK E-TENSEです。

 もちろん、ベースとなっているガソリンモデルのデザインを踏襲しているのですが、それまでとかく「クリーン」や「シンプル」をテーマとしたEVが多かった中で、ものすごいインパクトと個性を感じさせてくれました。キーを持って近づくと自動でポップアップするドアハンドルを開けて乗り込むと、優雅な空間が広がります。最高出力100kW、最大トルク260Nmで、一充電航続距離は398km(JC08モード)となっています。

 デザイン部門では、ちょっと発売が遅れていますが、日産の新しいデザインランゲージの中核となっている新世代EV、日産アリアも注目したいところですね。

EVではガソリン車にはできない楽しさがいっぱい

 次に走り部門。これは、EVらしく0km/hからフルトルクが出せるモーターのパワフルさをとことん味わえるタイプから、シームレスで滑らかな走りに仕上げているタイプまで、さまざま揃っており、乗る人の好みにもよるところが大きいと思いますが、その怒涛のパワフルさ、なめらかで上質な最上級の走りを高い次元で両立していると感じるのが、ジャガーI-PACEです。

 2018年に登場し、数々の世界的な賞を総ナメにしたことでもその実力がうかがえますが、完璧な重量配分と、400馬力の最高出力と696Nmの最大トルクを瞬時に発生する技術、そして全輪駆動による常時最適なトラクションコントロールが見事に調和した結果と言えそうです。一充電航続距離は438km(WLTCモード)となっています。

 またタイプは違いますが、ワインディングを気持ちよくスポーティに駆け抜けるような走りの楽しさが抜群なのが、プジョーe-208です。

 続いて使い勝手部門。これは市街地での取り回し性能など、運転しやすさも考慮しつつ、ロングドライブでの快適性、5人乗れて荷物もしっかり入るパッケージ、収納や先進の快適装備などが揃っているかどうか。という視点で見た時に、やはりバランスが取れていると感じるのが日産リーフ。

 2010年に初代が登場し、現在は2代目に進化してさらにその「普通に使いやすい」魅力が磨かれました。スイッチを指1本で押しているだけで駐車が自動で完了する「プロパイロットパーキング」など、先進的だけどちゃんと役に立つ装備も充実しています。40kWhと62kWhの2つのバッテリーサイズがあり、一充電航続距離は62kWhで458km(WLTCモード)となっています。

 また、コンパクトSUVとしてはボルボC40Rechargeも使いやすい収納や装備が揃っており、おすすめです。

 次に乗り心地部門。これはマツダMX-30とメルセデス・ベンツEQAがほぼ互角とさせてください。ホイールベールが長い、もっと大きなボディサイズのSUVとなれば、乗り心地はもっと良くても不思議ではないのですが、この2モデルはほかのコンパクトSUVと比べても1段上のフラットな乗り心地を実現していると感じます。

 高速道路の継ぎ目を超えた際などの振動も一発で収めてくれて、後席でも快適。ロングドライブが楽しく、疲れにくくなります。MX-30は35.5kWhとやや小さめのバッテリー容量で、一充電航続距離は256km(WLTCモード)。EQAは410km(WLTCモード)となっています。

 では最後にサプライズ部門です。これは、乗る前から感じる未来感、先進感や、走り出してからの驚き、今までにないEVならではの楽しい演出などを考慮すると、やはりテスラのモデルたちはイーロン・マスク氏らしい、ユーモアのきいた遊び心が楽しいモデル。

 とくに2017年に日本導入されたModel Xは、クリスマスにソフトウェアアップデートによって、隠しコマンドでサンタがそりに乗ってやってくる映像が流れたり、クルマ全体が音楽に合わせて踊り出すような機能が送られてきたり、かなり話題になりましたね。Model 3などでも、タッチパネルの「おもちゃ箱」を開くといろんなゲームやユーモアあふれる機能で遊べるのも楽しいところです。

 また、テスラのようにユーモアのある感じではないですが、BMW iXもまさにさまざまなところで未来を体感できるモデル。ボンネットが開かないようになっており、BMWエンブレムを押すとウォッシャー液が入れられるようになっているなど、これまでのクルマの概念を塗り替えるカーライフが送れそうですね。

 ということで、5つの部門に分けて、それぞれに優秀なEVをご紹介しました。これからもさまざまなメーカーから、今後のロードマップが見えるようなEVが続々登場すると思いますので、ぜひチェックして欲しいと思います。