毎月新R25の “表紙”を飾る、「つきヌケ企画」。

若手時代のモヤモヤを乗り越えブレイクのきっかけをつかんだ方々に、「つきぬけた瞬間〜ブレイクスルーポイント〜」と題し、モヤモヤ期から抜け出した瞬間のお話をお聞きします!



2021年、大トリを飾っていただくのは…トップコスプレイヤー・えなこさん。

「学生時代はまだ“コスプレイヤー”という職業自体がなかった」というところから、「総フォロワー300万人」「1カ月で15誌表紙ジャック」「国からクールジャパン・アンバサダーに任命」など、圧倒的な実績で「コスプレイヤー」を職業として確立させた業界のパイオニアですが…

前人未到の快進撃の裏には、えなこさんをマネジメントする名ブレーン、所属事務所PPエンタープライズ代表・よきゅーんさんの姿があります。

“最強のプレイヤー×名ブレーン”の2視点で紐解く、「つきヌケるために必要なこと」。締めくくりにふさわしい「つきヌケのカラクリ」、お届けします。

〈聞き手=サノトモキ〉


【えなこ】コスプレイヤー。PPエンタープライズ所属。TV、インターネット番組や国内外の企業イベントコンパニオンに出演。2020年4月内閣府に「クールジャパン」のアンバサダーに任命、2021年には「1か月で15誌表紙ジャック」などの実績を持つ【よきゅーん】本名・乾曜子(いぬい・ようこ)。PPエンタープライズ代表取締役社長。自身もコスプレイヤーとして活動する。ラグナロクオンラインイメージガール

「えなこははじめからトッププレイヤーだった」プロコスプレイヤーえなこが生まれる前日譚

サノ:
「国からクールジャパン・アンバサダーに任命」ってもう、規模がデカすぎてイメージつかないんですが…

えなこさんはどうしてコスプレイヤーとして、ここまで圧倒的なポジションに上りつめられたのでしょうか?

よきゅーんさん:
「上りつめた」って、えなこを表現する言葉としては少し間違ってるんですよ。

えなこは最初から「トップ」だった。そこに、あとから価値をつけたんです


あとから価値がついた…?

よきゅーんさん:
私と出会った当時、「コスプレイヤー」という職業は確立されていなかったものの…

「えなこ」という存在自体はすでに大バズりしていたんですよ。

コミケに登場すれば周囲はあっという間に人で埋めつくされていたし、コミケ後にはSNS上でえなこの写真がばーっと拡散されていた。

サノ:
たしかにその光景、SNSで見たことある気がします。

えなこさん:
当時はあくまで趣味としての活動だったんですけど…

フォロワーはコスプレイヤーのなかで一番多かったと思います


堂々たるもの。「つきヌケ人」にはこうあってほしい

よきゅーんさん:
ただ、まだそれが“仕事”にはなっていなかった

圧倒的な拡散力や集客力を持ちながら、それらが一切収益につながっていない状態。

つまり私たちがこの6年でやってきたのは、「収益ゼロ」の圧倒的なプレイヤーに、“職業としての価値をつける”という挑戦だったんですよね。

サノ:
「収益ゼロ」の圧倒的なプレイヤーに、“職業としての価値”をつける挑戦。

なんかすでに漫画の主人公みたいな物語性を感じる…


ここから、えなこさんが仕事人として圧倒的につきヌケていく「構造」を紐解いていきます

「今月の月収…これ言っていいのかな(笑)」えなこの異次元な「つきヌケ」事情

サノ:
そこから6年、今ではえなこさんのテレビ出演や雑誌の表紙を飾ることは当たり前になりましたが…

「プロコスプレイヤー・えなこ」の価値は、なぜここまで上がったんでしょうか?

よきゅーんさん:
圧倒的な「コスパのよさ」。

当時、えなこほど“費用対効果の高いプレイヤー”ってなかなかいなかったんです。


コスパとな?

よきゅーんさん:
私たちが事務所を始めたときって、ちょうどコスプレイヤーを広告に起用したがる企業が少しずつ増えはじめていたんですよ。

ただ、まだ職業として確立されていなかった分、相場もめちゃくちゃ低価格だったんです。

めっちゃ生々しい話ですけど、当時のえなこのキャスティング費って「10万円」とかだったんですよ。

サノ:
広告でタレントを起用すると通常「何百万」とお金がかかることを考えると…だいぶ低めですね。

よきゅーんさん:
ただ、そこに勝機が生まれました。えなこはすでに圧倒的な影響力を持っていたので。

彼女を広告費10万円でとりあげれば、企業は「1の効果で100を得るとんでもない費用対効果」を得られたんですね。

なので「イベント出演してください」「プロモツイートしてください」と依頼が殺到して。そこでまずは、焦って価格を上げるのではなく、えなこの「価値を認識させる」ことに集中しました。

サノ:
「コスパのよさ」を武器に、まずはひたすら広告塔としての実績と信頼を積んでいったのか…

でもそれだと、ずっとコスパよく使われるままになっちゃいませんか?

よきゅーんさん:
そう。なので次は、えなこの価値を一気に底上げする「大きな打席」を意識的に狙っていきました。

その一番の成功例が…2016年のヤングジャンプの表紙グラビア。グラビアアイドルの戦場に、はじめてコスプレイヤーが参戦した。

ここでえなこが圧倒的な部数を叩き出して、明確にステージが変わりました。


「『あれ?えなこってコスプレイヤー、数字すごくない?』という声が一気に広がって」

よきゅーんさん:
つまり…

「1.趣味を極めた結果、周囲と圧倒的な“差”が生まれた」
「2.その差に“価値”が生まれ、仕事が殺到した」
「3.効果を認められ、“評価(価格)”が急上昇した」

これが、えなこの「つきヌケ」の構造なんですよね。

サノ:
最初は価値を磨くことと実績を出すことに集中し、あとから一気に評価を追いつかせたんですね…

ちなみに、今って収入どれくらいまで上がってるんですか…?(小声)

よきゅーんさん:
基本ずっと「最高月収300万→400万→500万」みたいに右肩上がりだったんですけど…この1、2年でまた急激に上がったんですよ。

とくにこの1年はやばかった。

これ言っていいのかアレですけど…12月に弊社からえなこに振り込む額、“2000万”超えてますからね(笑)。


えっ?

えなこさん:
知らなかった。今知った!

よきゅーんさん:
いや先月言ったわ。


えなこさん、お金に執着がなさすぎてよきゅーんさんに通帳を管理してもらっているそうです

トッププレイヤー・えなこ最大の「武器と弱点」

サノ:
では、そんなえなこさんが「プレイヤーとして最強たる理由」を深掘りしたいのですが…

えなこさんは、ほかのプレイヤーといったい何が違うのでしょうか?

えなこさん:
…「覚悟」?


即答

えなこさん:
私は「コスプレイヤーとして生きていく」と決めているんです

コスプレイヤーのなかには、女優やアイドルへのステップアップとしてやっている方や、いろんな仕事と並行してやっている方もいらっしゃって。もちろんそこの価値観は人それぞれだと思うんですけど…

私の場合は「コスプレイヤー」からブレるつもりはありません。

サノ:
女優業などにキャリアを拡大していこうと思うことはなかったんですか?

えなこさん:
考えたこともないですね…

私はオタクなんで。大前提として「大好きだからやってる」というのがあるので。他のキャリアのためとか、なんなら「生きるため」ですらないかも。

「好きなもの」に狂う覚悟みたいなものは、強く持っていると思います。


ただただ純粋に、「好きなもの」に狂っている状態。つきヌケ人の共通点って、これなのかも…

よきゅーんさん:
あと、えなこがプレイヤーとして異次元なのは…「向き合い力」。

とにかく、目の前にきたものへの「向き合い方」が異常なんですよ。

それこそ、コスプレの見映えを極めるためなら「まつ毛も鼻毛も全部抜く」までやりますし

サノ:
えっ?

よきゅーんさん:
ほかにも、仕事に穴を開けたくないから、具合悪くても言わないですし。言ってくれればいいのに、「自分のせいで撮影がとんじゃったら悪いから」って現場に来るんです。

私に対する向き合い方もすごくて、「自分が倒れたり辞めたりしたら、この人が路頭に迷ってしまう」みたいなことまで考えるんですよ(笑)。

えなこさん:
“やばい状況”から拾ってくれた、よきゅーんさんへの恩があるので…


「やや難ありの方に一緒に事業を始めようと言い寄られていたところ、『私が面倒見る』と救ってくれたのがよきゅーんさんだった」とのこと。もはや任侠映画ばりのアツい義理人情ですが無理はしないで…

よきゅーんさん:
でも、この行き過ぎなくらいの「向き合い力」が、えなこがトッププレイヤーたる一番の理由だと私は思ってます。

間違いなく、プレイヤーとしての技術の高さや、仕事相手からの信頼感につながっているので。

最強装備の女の子が「正しい評価」を受けるために。ブレーン・よきゅーんがやったこと

サノ:
ちなみに、よきゅーんさんはえなこさんの快進撃にどのように関わっているのでしょうか?

つきヌケの秘訣は、正直「えなこさんがもともと圧倒的なプレイヤーだったこと」が根幹になってた気がするのですが…

えなこさん:
いや、よきゅーんさんがいなかったら私は今ここにいないです

私よきゅーんさんに拾われるまで、そのとき働いてたバイト先の社員になろうと思ってたので(笑)。

サノ:
そうなんですか!?

よきゅーんさん:
えなこは、自分ではあまり野心や目標を見つけられないタイプなんです。

ドラクエでたとえるなら、最強装備を持っていながら、最初の村で「何をすればいいんだろう」ってキョロキョロしてる女の子だった。

どこでどう戦ったらいいかわからないから、自分ひとりでは戦地に赴けない。


突然のドラクエ例え。でもすごくイメージがわくかも

よきゅーんさん:
あとは、「向き合い力」の高さゆえに人に流されがちなんですよね。

たとえば、デビュー当時からお世話になってた方に「一緒に会社をつくろう」と言われて、恩があるからと断りきれずに話がもつれこんじゃったり…

ネットで「太ってる」と言われて、本当に体重を8キロ以上落としたり…

えなこさん:
来たボール、全部振っちゃう。


「カメラマンのときなんかは、私が名古屋まで断りに行きましたから!」

よきゅーんさん:
えなこはプレイヤーとして最強なんで、「適切な打席にさえ立てば」遅かれ早かれ今の結果にはなってたと思います。

ただ、目の前の物事に向き合う集中力、純粋さが強すぎるがゆえに、人に流されてキャリア選択を誤ってしまう可能性があった。

だからこそ、ちゃんと“最短の正しい道”を示して一緒に歩くことが、私の役目なんです。


取材中に若干反省しはじめるえなこさん

つねに「どう勝ちたいか」を基準にしてきた

サノ:
最後に…6年でここまでのポジションを確立するって、まさに「最短の道」を選んできた結果だと思うんです。

おふたりは、どんな判断基準で「最短の道」を歩んできたのでしょうか?

えなこさん:
私たちはいつも、「勝ち方」にめちゃくちゃこだわってるんです。

「勝てればなんでもいい」じゃなくて、自分たちにとって「意味と価値のある勝ち方」で勝ちきりたい。



サノ:
「意味と価値のある勝ち方」…たとえばどんなケースですか?

よきゅーんさん:
たとえば、「女ふたりで勝つ」。

この業界でうまくいっている子って、「男に媚を売って仕事をもらってるんでしょ?」とかよく言われるんですよ。

えなこさん:
そう、言われる! 「枕してるだろう」とか、超言われる!


いまだにそんなことを言う人がいるんだな…

よきゅーんさん:
でも、実際に辛い思いをする女の子もいるからこそ、「女2人で勝つ」ということにこだわりたい

えなこというトッププレイヤーでこれを実現することには、業界にとってもすごく意味があると思っていて。

えなこさん:
この業界って、まだまだ偏見や誹謗中傷が集まりやすいんですよ。私自身、中学時代から本当にいろんなことを言われてきましたし。

だからこそ、コスプレ業界の地位を向上できるような「意味と価値のある勝ち方」にこだわりたいんです。



サノ:
…「“勝ち方の美学”が真ん中にある」という目線の高さが、おふたりの「つきヌケ」の秘訣なのかも。

偏見や誹謗中傷…許せんですけど負けずに頑張ってください…!

えなこさん:
正直、「もうやめちゃおうかな」って思うこともありますよ。

でも私、負けず嫌いなんで。道で人に歩く速度で負けただけで「早え…」って悔しがるくらいの(笑)

原動力に変えて、頑張ります。



「勝つこと」のその先、「どう勝っていたいか」にゴール設定をしていたえなこさん。

「勝ち方」にこだわる目線の高さと、圧倒的な「向き合い力」。シンプルだけどなかなか真似できない「つきヌケの秘訣」に、えなこさんのすさまじさを痛感する1時間でした。

2021年、12回にわたってお送りしたつきヌケもいったん終了。2022年、リニューアルして帰ってくるかも…!? 乞うご期待ください!

〈取材・文=サノトモキ(@mlby_sns)/編集=福田啄也(@fkd1111)/撮影=長谷英史(@hasehidephoto)〉

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