最適なのは「半逆光」!立体感のある料理写真を撮るための“光の使い方”を覚えよう

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【まいにちごはんの撮り方レッスン vol.3】暗くなってしまったり、うまく質感が出せなかったり、料理の写真を撮るのは意外と難しいもの。この連載では、料理写真家・田部信子さんに「おいしい料理写真」の撮り方をレクチャーしていただきます。コツをマスターして、SNSやブログにアップする料理写真をぐっと魅力的にしてみませんか?

どんな「光」を使って撮るか?


前回、連載第2回では、下の「撮り方のステップ」の(1)についてお話ししました。今回は、(2)の「どこで撮るかを決める」について書こうと思います。

撮り方のステップ


(1)イメージを決める

(2)どこで撮るかを決める(どんな光を使うか)

(3)どこから撮るかを決める(アングル、カメラの位置)

(4)どのくらいの範囲を写すのか決める(レンズを選ぶ)

(5)構図を決める

(6)スタイリングを決める

(7)明るさと色の調整

(8)主役にピントを合わせて撮影

どこで撮るかと言われても、「私はキッチンで撮ってるけど?それじゃダメなんですか?」という方もいらっしゃるかもしれません。ここで言いたい「どこ」というのは、光の入ってくる「窓」に対して、どういう方向で撮るか、という意味です。

おいしそうに見えるポイントは「立体感」


写真を教えていてよく聞くのが、「私はスタイリングが下手で」や「センスがなくて」という言葉です。でも、実はその前にもっと大事なことがあります。それは、きちんと立体感のある写真を撮れているのか、です。

お料理はおいしそうにできたのに、撮ってみるとおいしそうに見えない……。そんな時は、この「立体感が出ていない」ことが原因の一つにあります。

写真というものは、3次元の世の中を2次元の形に置き換えるものなので、実は意図的に立体感を出してあげないと、ペタっとした感じの写真になってしまうんです。

では、立体感を出すってどういうことでしょうか?

それを考えるために、まずこれを見てください。

ここに円があります。


ぺらんとした平面の円ですね。

そこに明るいところと影を描いてみます。


立体的に見えますね。

つまり、「明るいところ」と「影のところ」が1枚の写真の中にあると、その写真が立体的に見えるんです。

では、次にこの2枚の写真を見比べてみましょう。


右のサラダの方が立体的に見えないでしょうか?

盛り付けもカメラも同じです。さて、どうしてこんなに差が出るのでしょう?

もうおわかりだと思います。答えは「光」が違います。

左の写真は、サラダに対して正面から光が当たっています(この場合真上から撮っているので、天井のライトがサラダを正面から照らしています)。影はお皿の下敷きになってしまって写真には写りません。そのため、「影」がない平坦な写真に見えてしまいます。

一方、右の写真は、サラダの左奥から光が当たっています。影が写真の右下に向かって流れていっているのが見えています。サラダの葉っぱ一枚一枚にも陰影がつくので、立体的に見えます。このように、「影」を写真の中で見えるようにしてあげると「立体感」が出てくるのです。

ということで、いよいよ今日の本題、「光」についてのお話です。

「光の性質」を知っておこう


写真を撮る時に知っておきたい「光の性質」には、大きく分けて「光の硬さ・柔らかさ」「光の当たる方向」の2つがあります。

まず、「光の硬さ・柔らかさ」について説明します。

例えば、晴天の日に影がくっきりできるような強い光。これを「硬い光」と言います。一方、曇りの日のふわ〜っと輪郭がぼやけているような弱い光。これを「柔らかい光」と言います。窓際のカーテン越しの光も、この「柔らかい光」になります。

「硬い光」は、明るいところと暗いところの明るさの差が大きくなり、明るいところは真っ白く、暗いところは真っ暗に写ってしまい、細かい質感の描写ができなくなりがちです。

ですから一般的に、素材の質感を出したいお料理写真の場合は、「柔らかい光」が適していると言われています。

次に、「光の当たる方向」は、下のイラストのように大きく5つに分類できます。


わかりやすいように、それぞれの光に名前をつけます。

お料理の正面から(撮る人の後ろから)当たる光を順光

お料理の斜め手前から(撮る人の肩の横から)当たる光を斜光

お料理の横から(撮る人の横から)当たる光をサイド光

お料理の斜め後ろから(撮る人の斜め前から)当たる光を半逆光

お料理の後ろから(撮る人の真正面から)当たる光を逆光

この5つのうち、どの光を当てるかによって、写真は大きく変わってきます。

では、順に見ていきましょう。

【順光】


お料理の正面から光が当たっているため、影が料理の後ろに行ってしまい、写真の中に影が写ってきません。そのため、料理が平面的に見えます。

まんべんなく光が当たるせいで、ちょっと説明的な感じも受けるので、あまり料理写真には使わない光です。ただ、素材が持つ「色」は、順光で撮る写真が一番鮮やかに写ります。

「私の影が写真に入ってしまう!」という方はこの光を使っているので、ちょっと撮る位置を変えてみましょう。

【斜光】


お料理の斜め手前から光が当たっています。お皿の影が右後ろに流れているのが見えます。少し影が見えることで立体感が出てきます。また、色も鮮やかに出る光になります。

【サイド光】


お料理の横から当たる光です。お皿の影が右の方に流れてるのが見えます。お料理の半分が明るく、半分が影になり、立体感が出ます。

【半逆光】


お料理の斜め後ろから当たる光です。お皿の影が、右手前に流れてるのが見えます。後ろから来た光がパプリカの角に当たって、角がキラっと光り、おいしそうな感じが出てきます。お料理写真には最適な光と言われています。

ただ、正面の部分が暗くなることがあるので、右手前から写らない程度に白い紙を近づけて、光を反射させてあげると下の写真のように、より明るく撮れます。(このやり方は次回詳しくお話しします)


【逆光】


お料理の真後ろから当たる光です。お皿の影が真っ直ぐ手前に流れているのが見えます。透き通ったゼリーや、飲み物などを爽やかに写すには最適な光になります。

ただ、今回のようなお料理の場合、手前が影になり暗くなってしまいます。そういう場合は半逆光の時と同じように、手前から白い紙を近づけて明るくしてあげると、下の写真のように手前も明るくなります。



最後にもう一度、多くの人が使いがちな「順光」の写真と、お料理に向いている「半逆光」で撮った写真を比べてみましょう。


光をどこから当てるのかだけで、同じお料理でもかなり雰囲気が変わってくることがおわかりいただけたでしょうか?

さて、ここからは皆さんがご自分の好きな光を見つけていく番です。

ご自分が好きなのはどの光かな?という目で普段から料理写真を見てみてください。初めはなかなかわからないかもしれません。でも続けるうちに、だんだん「光が見えてくる」ようになると思います。ぜひやってみてくださいね。

次回は、料理に最適な「半逆光」の光を使った写真の撮り方を具体的にご説明したいと思います。お楽しみに。

田部信子

横浜市出身。青山学院大学文学部英米文学科卒業。外資系IT企業のSE職を経て、カメラマンへ転身。広告、雑誌、ブライダルの撮影を行う。双子出産後、カメラ教室で約3000人の生徒さんに写真の撮り方を教える。2018年より、料理写真家として活動中。