春の「マイル王決定戦」GI安田記念(東京・芝1600m)が6月6日に行なわれる。

 注目は、昨年の最優秀短距離馬に輝いた大本命グランアレグリア(牝5歳)が再び圧倒的な強さを見せるのか。すなわち、前評判どおり「テッパン」なのかどうか、だろう。

 グランアレグリアは昨春の安田記念以降、距離に課題があった前々走のGI大阪杯(4月4日/阪神・芝2000m)こそ4着に敗れたが、マイル、スプリント戦では負け知らず。特にマイル戦に関しては、現在GI3連勝中で、今回も「テッパン」と評されるのも頷ける。

 とはいえ、昨年の安田記念では、今回のグランアレグリアとほぼ同じような立場にあったアーモンドアイが2着に敗れている。

 この時のアーモンドアイの単勝が1.3倍。いかに多くのファンが「負けようがない」と思っていたかがわかる。

 不安があるとすれば、まさにその1点。要するに、グランアレグリアがアーモンドアイと同じ二の舞にならないか、ということだ。


ヴィクトリアマイルを圧勝し、中2週で安田記念に挑むグランアレグリア

 奇しくも、今回のグランアレグリアの、GIヴィクトリアマイル(5月16日/東京・芝1600m)から安田記念という臨戦過程は、昨年のアーモンドアイと同じ。そして、いずれもヴィクトリアマイルを圧勝し、2着馬につけた着差が4馬身というのも同じだ。

 さらに言えば、この安田記念がデビュー以来13戦目になる、というのも同じ。ヴィクトリアマイルの前のレースで、アーモンドアイが9着、グランアレグリアが4着と、馬券圏外に敗れているという点もよく似ている。

 ヴィクトリアマイルと安田記念は中2週。仮にアーモンドアイの敗戦が、激戦の積み重ねからくる目に見えない消耗や、中2週という短期間でのGI連戦にあったとすれば、グランアレグリアも同じ轍を踏まない、とは言い切れない。

 ましてや、ヴィクトリアマイルの前のレースが、アーモンドアイは前年暮れのGI有馬記念(中山・芝2500m)であるのに対して、グランアレグリアは今年4月の大阪杯と、間隔が短い。しかも、大阪杯では泥んこの極悪馬場で、かなりの消耗戦を強いられている。蓄積された消耗はアーモンドアイ以上、と言えるかもしれない。

 はたして、これでもグランアレグリアは本当に「テッパン」と言えるのか。

「今回のグランアレグリアについて、『中2週不安説』というのはあるようですね。でも、大丈夫ですよ。少なくとも、前走の反動で"走れない"ということはないでしょう。グランアレグリアは前走後、3日で稽古を始めていますから。もし反動があったとしたら、レース後3日で乗り出すことなんてできませんよ。だから、今回の安田記念でも『テッパン』です」

 そう語るのは、競馬専門紙記者である。

 改めて振り返ってみれば、昨年のアーモンドアイは負けたと言っても、負かした相手が今年の主役であるグランアレグリアで、その他の馬には負けていない。

 となれば、アーモンドアイの敗因は激戦の疲れとか、中2週のローテーションとかではなく、単純にマイル戦ではグランアレグリアのほうがそれだけ強かった、ということではないか。

 この中間、グランアレグリアには爪の不安も報じられたが、管理する藤沢和雄調教師は「問題ない」と強調。事実、1週前の追い切りでは、坂路を軽快に駆け上がって元気なところを見せている。

 やはり、グランアレグリアは「テッパン」と見たほうがいい。

 それでも懸念をひとつ挙げれば、相手関係か。前出の専門紙記者が言う。

「サリオス(牡4歳)は気になる存在ですね。前走の大阪杯で5着でしたが、馬場の悪い最内を突いてのもの。それでいて、4着のグランアレグリアとはコンマ2秒差。内容的には互角でした。

 この馬も2歳時にGI朝日杯フューチュリティS(阪神・芝1600m)を完勝しているように、マイル戦は得意中の得意。昨秋以降、今ひとつ調子は上がっていませんが、本来の力を出すことができれば、グランアレグリアにひと泡吹かせるシーンがあってもおかしくありません」

 ただこのサリオスも、グランアレグリアが快勝した昨秋のGIマイルCS(阪神・芝1600m)で5着に敗れている。確かに、昨年のクラシック戦線で三冠馬コントレイルと人気を二分した馬であり、本来の力を発揮できれば、グランアレグリアをヒヤリとさせることはできるだろう。だが、おそらくそれが精いっぱい。肉薄止まりではないだろうか。

 グランアレグリアの最大目標は、今秋のGI天皇賞・秋(東京・芝2000m)を勝って、大阪杯で果たせなかった2000m戦でも"最強"であることを証明することだと言われている。もしその目標が達成されれば、スプリント、マイル、2000mのGI制覇という史上初の快挙を成し遂げることになる(グレード制導入後)。

 そのためにも、ここは負けられない。そうした陣営の意欲も加味すれば、今年の安田記念は結局のところ、グランアレグリアで「テッパン」だ。