Joshua Roberts / reuters
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米国​​立公文書館(NARA)は現在、ドナルド・トランプ氏が大統領在任中に@realDonaldTrumpを通じて発したツイートをTwitter上のアーカイブアカウントに移行して公開しようとしている最中ですが、これに対しTwitterは、永久停止になった当該アカウントをオンラインで再利用できるようにすることを許可しない意向を示しました。

NARAはすでにトランプ政権幹部のアカウントや各機関のアカウントに対してはアーカイブ化を実施しており、現在ではTwitterのプラットフォーム上でそれらを閲覧し、リツイートやいいねを入れられるようになっています。

しかし、トランプ前大統領のアカウントに関してTwitterは、それが「永久停止措置を受けたものであることを踏まえて、NARAがどのような考えであろうとも、以前と同様のアカウント、またはアーカイブ用アカウントに写した状態を問わず、Twitter上には表示しない」としました。

この決定は、シリコンバレーの一部の大企業らによって保守派の意見が検閲されていると述べる共和党などからの非難を強める流れを生み出しています。

これに対して米最高裁のクラレンス・トーマス判事は「多くの言論がわずかな民間人の判断に委ねられている」「ツイッターのような企業がこれほど多くの言論を集中的に管理するのは前例のないことだと述べた。」として、議会による介入が必要になる可能性を指摘しています。

ただ、NARAとTwitterの関係が険悪になっているわけでないようで、NARAは@realDonaldTrumpアカウントのアーカイブ公開のために最善を尽くしていると述べているものの、公開するかどうかの最終判断はTwitter社に従う、との考えを示しました。

一方Twitterも、@realDonaldTrumpのツイートの保存についてはNARAと協力していると述べ、公益を害すると判断した数々のツイートをどう扱うかの検討を続けています。

NARAの広報担当者であるジェームス・プリチェット氏は、@realDonaldTrumpアカウントは現在Twitter上で永久停止となっているため、エクスポートしたコンテンツデータとして「NARAのウェブサイトからそれらをダウンロードできるようにしている」と述べました。またNARAのアーカイブにはTwitterが一部のツイートに対して行った措置にかかわらず、全てのツイートが記録されているとしています。

トランプ氏は在任中に@realDonaldTrumpを通じて2万6000件以上のツイートを発しました。ただ、今回のTwitterの対応により、それらすべてがもはや閲覧できなくなったのかと言えばそうでもありません。大統領図書館のWebサイトではそれらが非公式ながら表示できるようになっています。

しかしながら逆に言えば、現状は前大統領のツイートの公式記録が存在しない状態ということです。

NPO団体Project On Government Oversightの政策顧問メリッサ・ワッサー氏は「大統領による発言の公式記録を残すために、NARAによる完全で完璧な記録の保存が必要だ」と述べました。

Twitterのジャック・ドーシーCEOは、前大統領のアカウントを永久停止にしたことは「異常かつ手に負えない」ツイートの連発を防止するための「正しい判断」だったとしています。

トランプ氏の大統領退任後の事務所は前大統領が退任する際、@realDonaldTrumpアカウントの内容をNARAに移管したかどうかを明らかにしていません。また米国の大統領記録法によって一定の条件で認められるアーカイブされた記録(ツイート)へのアクセスを制限できる措置をトランプ氏側がとったかどうかにも答えていません。

Source:Politico

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