ベテラン監督による手厚いサポートが魅力の久留米東ボーイズ。選手の希望を叶える指導へシフトチェンジ

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 福岡県久留米市に活動の拠点を置く久留米東ボーイズ。2012年に発足し今年で8年目を迎えるが、チームの設立当初から県内外を問わず多くの選手を野球の名門校と呼ばれる学校に送り出してきた。

 2018年には林田壮馬選手(龍谷大平安・2年)がJUNIOR ALL JAPAN(NOMO JAPAN)に選出され、また高校卒業後も各世代の半分近い選手が大学でも野球を継続しているが、そこには30年近くにわたって中学野球の指導に携わっている清水耕作監督の的確なアドバイスがある。

 チームの指導方針や進路指導についてお話を伺い、また今年のチームの主力選手である植木瑛仁選手にもお話を伺った。

公式戦は選手全員に経験させて、進路は選手の希望を叶えてあげたい久留米東ボーイズの中心選手の1人である植木瑛仁選手

 社会時野球のホンダ熊本で選手として活躍した清水監督は、引退後は福岡県の浮羽ボーイズの監督に就任。その後、小倉ボーイズで5年間コーチを務め、2012年からは現在の久留米東ボーイズで監督として指導にあたるなど、中学野球で実に29年間のキャリアを積んでいる。

 脇を固めるコーチ陣もかつての教え子が多く、末次群コーチ(日田林工出身)や熊谷太樹コーチ(東福岡出身)、井手一希コーチ(関東一出身)などは甲子園出場も経験した。

 「29年が経った今でも、毎年勉強させられる」と指導の難しさを口にする清水監督。 それでも技術的な指導や進路へのアドバイスなど、これまで様々な面で試行錯誤を繰り返していき、現在では選手の将来をだけを考えた指導を心掛けるようになったと話す。

 「以前は、試合に勝つことで選手を成長させたいと考えることもありました。 しかし、やはり大事なのは中学卒業後の成長です。現在は選手の将来の希望も聞きながら、技術面や進路の面でアドバイスを送るようになりました」

 試合では選手に「勝つこと」を経験させることも大事だが、清水監督はそれ以上にチーム全員に公式戦の舞台を経験させることを重要視しており、また進路指導でも現在の実力だけを見てアドバイスするのではなく、できる限り選手の希望を叶えることを心掛けている。

 高校卒業後は大学に行くのか就職するのか、高校では強豪校でやりたいのか、それともレギュラーになることを第一に考えるのか。選手の気持ちをできる限り明確にして、1年時から通知表が来る度に面談を行っている。

 「学校によって厳しさも違いますし、チームカラーも変わってきます。特に県外の野球強豪校で勝負したいと言っている選手には、まずは実際に学校やグランドを見てきなさいと言っています。試合も練習も休んでいいからと。 野球をやっていると家族旅行に行く機会もなかなか無いと思うので、観光も兼ねて家族で見てきてもらいたいなという思いもありますね」

今年のチームでは植木瑛仁選手が国際大会を経験植木瑛仁選手(久留米東ボーイズ)

 そんな清水監督の方針に惹かれて、久留米東ボーイズへの入団を決めた選手の一人が植木瑛仁選手だ。 福岡県内のボーイズリーグ選抜チームの一員として、2019台北市国際青少年野球選手権大会(台湾)にも出場した植木選手は、チームでもクリーンナップを任され、守備でもピッチャーやセカンドを守る中心選手だ。

 「進路ついて親身になって考えてくれる」と少年野球時代の指導者から勧められたことで、体験練習に参加して久留米東ボーイズへの入団を決めたが、いざ練習に参加すると進路面以外にもチームの良さが見えてきたと植木選手は話す。

 「指導者は経験のある方が多く、指導がとても良いなと思っています。 投手としては、入団した時の球速は90キロくらいでしたが、1年の終わり頃には120キロくらいまでにアップしました。元々、地肩はそれほど強い方ではありませんが、投手としての技術を教えて頂き球速がアップしたと思います」

 そんな植木選手が、選手としてさらに成長するきっかけとなったと話すのが、選抜チームの一員として参加した2019台北市国際青少年野球選手権大会だ。 屈強な体格を持った海外選手との対戦は非常に刺激的だったが、それ以上に福岡県内から集まったレベルの高い選手たちと共に戦った経験は、大きな財産になったと振り返る。

 「しっかりと繋ぐ場面ではヒットで確実に繋ぎ、また甘いボールが来たら一球でしっかりと仕留めて、みんな本当にバッティングの技術が高いなと思いまいした。 打撃では7番を打たせてもらい、ピッチャーとしては3試合に登板しましたが、ベストな状態で戦うことができなかったので悔しい思いが残りました」

 チームにはその他にも、138キロ右腕の武内涼太投手などもおり、注目の選手は多い。 ベテラン監督による手厚い進路サポートや、経験豊富な指導スタッフが揃う久留米東ボーイズから、今後どんな選手が生まれるか楽しみだ。

(記事=栗崎 祐太朗)

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