中国では、政府が公共の場所でのマスクの着用を義務付けたため、スーパーなどではマスクをしていないと入店できず、強制されていない場所でもマスクを外さない人もまだ多い。(イメージ写真提供:123RF)

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 新型コロナウイルスの感染予防で世界的にマスクの着用者が増加したが、感染拡大が最初に始まった中国では、政府が公共の場所でのマスクの着用を義務付けたため、スーパーなどではマスクをしていないと入店できず、強制されていない場所でもマスクを外さない人もまだ多い。マスクをしたがらないヨーロッパの人々とは感覚がかなり違うと言って良いだろう。

 しかし、マスクの着用をめぐって国民同士の衝突も起きているようだ。中国メディアの光明網は、上海発の高速鉄道車内で4日、20代の女性2人がマスクを外して食事をしていたところ、隣に座っていた40代男性客とトラブルになったと紹介する記事を掲載した。

 記事によると、この女性2人は列車が発車するとすぐにマスクを外して食事を始めたが、男性に注意されたので食事をやめて再びマスクをつけたという。しかし、やはりお腹が空いたのか再びマスクを外して食事を始めたところ、男性が「他の乗客のため」に叱責し続け、トラブルになったと伝えている。

 問題はここで終わらず、女性らはスマホを取り出して撮影し、それを取り上げようとした男性ともみあいになり、スマホが女性にぶつかり問題が大きくなってしまったようだ。車内は、男性を支持する乗客と女性らを支持する人とに分かれて大混乱になったという。

 鉄道警察や乗務員が仲裁に入ったものの、目的地に着くまでの4時間ほど解決せず、駅の派出所に持ち込まれたというが、「正しい、正しくない」の問題ではないので解決するわけはないだろう。記事は、高速鉄道の車両内での飲食は禁止されておらず、新型コロナ対策として食堂車両が閉鎖されているため席で食事するしかなく、「食事したいときは、周りの乗客とコミュニケーションを取ったうえで食事時間帯に素早く済ませる」ように勧めている。

 新型コロナウイルス問題において、世界で最も早く山場を越えた中国だが、今でも国民は神経をとがらせており、世知辛い世の中になっているようだ。日本でも地下鉄車内でマスクをせずに咳をしたとの理由で非常通報ボタンを押した人もいたが、ただでさえ社会が緊張していることを忘れずに、互いに思いやりを持ち過ごしたいところだ。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)