「VAR導入」でJリーグ審判が多忙すぎ?土曜日主審、日曜日VARも

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J1で今シーズンより導入されたVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)

早くも得点シーンやPKの判定などで話題を呼んでいるが、運用面でも開幕戦を終えた段階で色々なことが明らかとなってきた。

その一つが、VAR担当の審判員。なんと1節で試合とVARの両方を担当している審判が6名もいたのだ。

まずは第1節、全9試合の審判を見ていただきたい。

2020 J1 第1節 審判団一覧

※ホームチームVSアウェイチーム キックオフ時間の順
※AVARはアシスタント・ビデオ・アシスタント・レフェリーの略

湘南 VS 浦和 21日(金) 19:03

主審: 佐藤 隆治
副審: 野村 修、赤阪 修
第4の審判員: 岡部 拓人
VAR: 西村 雄一
AVAR: 山内 宏志

仙台 VS 名古屋 22日(土) 14:03

主審: 池内 明彦
副審: 中野 卓、森川 浩次
第4の審判員: 田中 玲匡
VAR: 今村 義朗
AVAR: 相樂 亨

柏 VS 札幌 22日(土) 15:03

主審: 家本 政明
副審: 三原 純、田尻 智計
第4の審判員: 塚越 由貴
VAR: 松尾 一
AVAR: 柿沼 亨

川崎F VS 鳥栖 22日(土) 15:03

主審: 木村 博之
副審: 平間 亮、村井 良輔
第4の審判員: 大坪 博和
VAR: 飯田 淳平
AVAR: 越智 新次

C大阪 VS 大分 22日(土) 15:03

主審: 東城 穣
副審: 武田 光晴、浜本 祐介
第4の審判員: 大塚 晴弘
VAR: 山本 雄大
AVAR: 五十嵐 泰之

清水 VS FC東京 23日(日) 13:03

主審: 荒木 友輔
副審: 聳城 巧、淺田 武士
第4の審判員: 勝又 弘樹
VAR: 東城 穣
AVAR: 井上 知大

横浜FM VS G大阪 23日(日) 14:03

主審: 福島 孝一郎
副審: 西橋 勲、木川田 博信
第4の審判員: 西尾 英朗
VAR: 高山 啓義
AVAR: 相樂 亨

広島 VS 鹿島 23日(日) 14:03

主審: 笠原 寛貴
副審: 山内 宏志、鈴木 規志
第4の審判員: 川崎 秋仁
VAR: 佐藤 隆治
AVAR: 八木 あかね

神戸 VS 横浜FC 23日(日) 16:03

主審: 西村 雄一
副審: 唐紙 学志、熊谷 幸剛
第4の審判員: 西村 幹也
VAR: 岡部 拓人
AVAR: 中村 太

お気づきいただけただろうか?

金曜日、土曜日、日曜日の試合を“ダブル”で担当している審判がいるのだ。詳しく見ていこう。

プロフェッショナルレフェリー西村氏も2試合を担当

プロフェッショナルレフェリー(PR)として知られる西村雄一氏は、金曜日の夜、湘南と浦和の試合でVARを担当。

さらに、日曜日の夕方には、神戸のノエビアスタジアムで主審を務めている。VARと主審両方の仕事をこなしているのだ。

Jリーグの中継を見ていた方は「おや?」と思ったかもしれない。金曜日や土曜日の放映の際に紹介された審判団の名前が、翌日ないし翌々日に再び呼ばれていたからだ。

実際、第1節でJ1を2試合担当した審判は6名いた。その内訳は以下の通り。

佐藤 隆治
湘南 VS 浦和:主審→広島 VS 鹿島:VAR

岡部 拓人
湘南 VS 浦和:第4の審判→神戸 VS 横浜FC:VAR

西村 雄一
湘南 VS 浦和:VAR→神戸 VS 横浜FC:主審

山内 宏志
湘南 VS 浦和:AVAR→広島 VS 鹿島:副審

相樂 亨
仙台 VS 名古屋:AVAR→横浜FM VS G大阪:AVAR

東城 穣
C大阪 VS 大分:主審→清水 VS FC東京:VAR

この中でも大変だと思われるのは、場所が近いとは言えないにもかかわらず、2日連続で試合を担当した審判だろう。

東城氏と相樂氏のケース

例えば、プロフェッショナルレフェリーの東城穣氏の場合、22日(土)15時からヤンマースタジアム長居(大阪)で主審を担当し、翌日23日(日)には13時キックオフのIAIスタジアム日本平(清水)でVARを務めている。

審判は通常、試合開始の2〜3時間前にスタジアム入り。試合後もマッチコミッショナーとのミーティング等があるため、スケジュールはそれなりにタイトであったことが想像される。

2019年限りで1級審判を引退し、今年からVAR専任となった相樂亨氏は、22日(土)14時からのユアテックスタジアム(仙台)でAVARを務め、翌23日(日)も同じ14時から日産スタジアム(横浜)でAVARを務めた。こちらも仙台から新横浜まで長距離移動している。

なお、J2の審判団は以下であるが、J1とJ2を同じ節で掛け持ちするなど、同じ節に2試合レフェリングをこなした審判はいなかった。

J2ではVARを導入しておらず、審判団は1試合4名制のままである。

2020 J2 第1節 審判団一覧

北九州 VS 福岡 23日(日) 13:33

主審: 榎本 一慶
副審: 穴井 千雅、田島 宏則
第4の審判員: 西水流 優一

水戸 VS 大宮 23日(日) 14:03

主審: 鶴岡 将樹
副審: 藤井 陽一、細尾 基
第4の審判員: 先立 圭吾

群馬 VS 新潟 23日(日) 14:03
主審: 窪田 陽輔
副審: 関谷 宣貴、藤澤 達也
第4の審判員: 堀越 雅弘

千葉 VS 琉球 23日(日) 14:03

主審: 岡 宏道
副審: 櫻井 大輔、大矢 充
第4の審判員: 大川 直也

町田 VS 甲府 23日(日) 14:03

主審: 小屋 幸栄
副審: 林 可人、船橋 昭次
第4の審判員: 権田 智久

磐田 VS 山形 23日(日) 14:03

主審: 村上 伸次
副審: 蒲澤 淳一、竹長 泰彦
第4の審判員: 清水 修平

岡山 VS 金沢 23日(日) 14:03

主審: 川俣 秀
副審: 正木 篤志、阿部 将茂
第4の審判員: 堀 格郎

山口 VS 京都 23日(日) 14:04

主審: 西山 貴生
副審: 金井 清一、若槻 直輝
第4の審判員: 石丸 秀平

徳島 VS 東京V 23日(日) 14:05

主審: 上田 益也
副審: 竹田 和雄、金次 雄之介
第4の審判員: 松井 健太郎

2020年のJリーグ担当審判員は、主審が58名、副審が99名、計157名の審判団で構成される。

VAR、AVARを担当するのはその中でもVARの研修を終えた審判に限定されるため、どうしてもこのような持ち回りになってしまうのではないか、と思われる。

まだ、連日レフェリングをしたケースでは東北から関東、関西から東海というような移動にとどまっているが、九州や北海道など日本の国土の縦の長さを考えると、万が一にも「とんでもない距離の出張」が出ないことを祈るばかりである。

なお、審判団の報酬は、主審が12万円、副審が6万円(※ともにJ1のケース)、VARが6万円、AVARが3万円と規定されている。