液晶ディスプレイが車のサンバイザーになる?革新的な「バーチャルバイザー」とは
「多くのドライバーは、バイザーコンポーネントが危険な運転につながる太陽からのまぶしい光を避けるには不十分であると認識しています。とりわけ、夜明けと夕暮れ時にドライバーの視力を大幅に減退させることがあります」と、ボッシュのカー マルチメディア事業部長のステファン・バーンズは述べている。「シンプルなイノベーションの組み合わせが、最大の効果をもたらします。バーチャルバイザーは、ドライバーの視界を変えるのです」
ラスベガスで開催されるCES 2020において初公開されるバーチャルバイザーは、28の分野を対象としたコンペティションにおいてCESイノベーションアワードを受賞した。車載エンターテインメントおよび安全性部門において、デザイナー、エンジニアおよびテクノロジー関連メディアのメンバーで構成される審査員から最高得点を獲得し、ベストオブイノベーションも受賞している。
バーチャルバイザーは、液晶ディスプレイパネルとドライバーまたは乗員をモニターするカメラとを結び付け、太陽がドライバーの顔に落とす影を追跡。システムは人工知能(AI)を使って、ドライバーに向けられたカメラの画像に基づきドライバーの位置を特定する。また、AIを活用して目、鼻、口を含む顔の特徴的な要素を判定することで、顔の上の影を識別することができるのだ。アルゴリズムがドライバーの視界を分析し、ディスプレイ上でドライバーの目に光が届く部分のみを暗くする。

「開発の初期段階に、ユーザーが従来のサンバイザーを使用するにあたり、常に目に影が落ちるように調整していることに気づきました」と、ボッシュ北米法人のテクニカルエキスパートを務め、バーチャルバイザーの共同開発者の1人であるジェイソン・ツィンクはコメント。「この気付きはとても大きく、製品コンセプトの簡素化と、テクノロジーデザインの加速に繋がりました」
液晶技術の独創的な利用により特定の光源を遮断することで、危険をもたらす太陽のまぶしさ、ドライバーの不快感および事故のリスクを減らし、同時にドライバーの視認性、快適性および安全性を向上する。
バーチャルバイザーは、アイデアとコンセプトの段階からテストとプロトタイプに至るまで、ボッシュに根付くイノベーション文化であるボトムアップソリューションが原動力となっている。ボッシュでは、新しいアイデアの顧客へのメリット、市場潜在力および実現可能性を確認するためにリーンスタートアップの手法を取ることが奨励されており、それをベースにして、従業員同士による検証、開発の承認という段階に移行していく。
「私たちは、従業員に自ら舵を握らせ権限を持たせることを重視する文化を築いています」と、ボッシュ北米法人社長のマイク・マンスェティはコメント。バーチャルバイザーは、ボッシュの社内イノベーション活動の一環として北米のチームによって開発された。「私たちは、グローバル規模でテクノロジーを提供するリーディングカンパニーとして、イノベーションがどこからでも生まれる可能性があることを理解しており、その成長を見たいと願っています」
ツィンクをリーダーとする3人のパワートレインエンジニアのグループは、プロジェクトコンセプトに対する社内からの資金調達に向けて、自由時間にバーチャルバイザーのアイデアを発展させたプロトタイプを制作した。
「多くの初期段階のアイデアがそうであるように、私たちは、限られた資金とリソースで取り組みを開始しました」と、ツィンクは語る。「コンセプトのピッチに用いた最初のプロトタイプには、リサイクルボックスから回収した古い液晶ディスプレイモニターを活用しました」
車だけでなく、それを取り囲む世界の進化も楽しみである。
