レジの光景が変わろうとしている(イラスト/河南好美)

写真拡大

 コンビニやドラッグストアで生理用品を購入した際、レジ袋に入れる前に紙袋に包まれることを拒む「#NoBagForMe(ノーバッグフォーミー)=私は袋は要りません」という動きが広がっている。

「生理について、言いたい人が言える環境になれば」という女性起業家の声に応じて、生理用品、紙おむつなどを手がける衛生用品メーカーのユニ・チャームが始めたものだ。

「目的は紙袋の廃止でも、生理用品をそのまま持ち歩くことを推奨することでもありません。女性が活躍する社会の時代の変化に合わせ、生理に対するこれまでの価値観を周囲の環境含めて変えることを目指しています」(ユニ・チャーム広報部)

『生理用品の社会史』の著者で、歴史学者の田中ひかる氏が解説する。

「これまで日本には“生理について触れることはタブーだ”という感覚が男女ともにありました。『袋は要りません』という言葉は、『生理は隠すことではない。恥ずかしいことではない』という意識を、端的に表わそうとしている。『生理は不浄である』『女は生理のとき精神に変調をきたす』といった誤った見方がいまだ根強いなか、こうした意識変革には大きな意味があると思います」

 運動の意義は上記の通りだが、それが男性にどのように関係してくるのだろうか。

 これまで職場では、「女性に生理のことを聞いてはいけない」のが当然だったのに、女性側から「生理は隠すべきではない」という声が上がってきた。いったいどう対応すればいいのか。前出・田中氏が語る。

「誤解してはいけないのは、男性から女性に生理について話を振るのは絶対ダメだということ。生理中なのか確認したり、重いのか軽いのかなどを聞けばセクハラです。女性がみんな生理をオープンにしたいわけではない。生理について話すことが恥ずかしい女性もいる。

 社内などでは、あくまで女性から生理について相談しやすい環境をつくり、生理痛や月経前症候群(生理前の心身の変調)の有無や軽重など、個人差を理解しようとすることが大切です」

 社会保険労務士の高島あゆみ氏は、この運動を機に会社組織で変化が起きる可能性を指摘する。

「男性の経営者や管理職から、“女性社員の勤務態度を注意した際に『生理でしんどいので』と言われるとそれ以上言えなくなってしまう”という相談をよく受けることがあります。

 日本では、生理がタブー化する一方、『生理休暇』という制度が存在する企業は少なくない。もちろん働くのがつらい状況ならば休むべきですが、本来個人差があるはずなのに、女性が生理休暇を求めれば、生理を理解していない男性はそれを無条件に受け入れるしかなくなってしまう。こういった状況はこの運動とともに見直されていくのではないでしょうか」

 大きな社会変革をもたらす可能性を秘めたこの運動。目下もっとも戸惑っているのは、これまで「生理用品は紙袋に入れないとダメだ」と教わってきたのに、いきなり客から「紙袋やめて」と言われるコンビニ店員かもしれない。

※週刊ポスト2019年12月6日号