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美しくないものを見てから美しいものを見ると、その格差から美しいものがより美しく見えるように思えますが、実際にはその逆で「美しくないものを見るとその次に見たものも美しくないように、美しいものを見るとその次に見たものも美しいように」見えることが分かりました。

Attraction to the recent past in aesthetic judgments: A positive serial dependence for rating artwork | JOV | ARVO Journals

https://jov.arvojournals.org/article.aspx?articleid=2753404

Beauty in the biased eye of the beholder - Neuroscience News

https://neurosciencenews.com/beauty-biased-15236/

シドニー大学の心理学教授であるデビッド・アレー氏らの研究チームは、大学生やオンライン広告の応募者である24人の男女に対し、絵画を見てその魅力を評価してもらう実験を行いました。実験では、100枚の風景画や静物画を使用しましたが、以前の研究により「顔の好みの評価は少し前に見た顔に影響される」ことが分かっているため、人物画や肖像画は除外しました。

最初の実験では、100枚の絵画のうち無作為に40枚の絵画を選んで、被験者の前に置かれたモニターに絵画を1000ミリ秒(1秒)ずつランダムに表示し、各絵画が20回表示されるよう合計で800回絵画を見てもらいました。また、絵画が表示された後には、その絵画から感じる魅力を評価してもらいました。



この実験により、被験者らは同じ絵を繰り返し見た場合でも同じ評価をせず、1つ前に見た絵画の魅力に評価が影響されることが分かりました分かりました。

以下がその結果を表すグラフで、横軸は「その絵画を前に見た時の評価と、1つ前に見た絵画の評価の差」を、縦軸はその差にどれだけ評価が影響されたかのバイアスを表しています。例えばグラフの右側を見ると、1つ前に見た絵画が魅力的だと評価された場合は折れ線がグラフの半分より上の方にあることから、「魅力的な絵画を見た場合は次の絵画も魅力的に、魅力的でない絵画を見たときは次の絵画も魅力的でない」と評価されていることが分かります。



この傾向は、絵画を見た時間の長さを変えても同様でした。以下のグラフは、絵画を見てもらう時間を250ミリ秒(4分の1秒)に短縮した2度目の実験の結果です。最初の実験よりバイアスは緩やかになっていますが、最初の実験と同様のバイアスが観察されました。



また、バイアスは美術に関する興味や知識とも関係がないことも判明しています。以下の2つのグラフはバイアスと被験者の美術への興味(左)や知識(右)と比較した結果ですが、有意な相関関係は見られませんでした。



アレー氏は「多くの人は美しくない物の次に美しい物を見ると、余計に美しく見えるという一種のコントラスト効果があると思っていますが、驚くべきことに実際はその逆でした」と述べました。

また、アレー氏は「美術館のギャラリーを管理する学芸員たちは、おそらく今回の実験が行われる前から人間が持つバイアスを知っていたことでしょう。なぜなら、ギャラリーではよく、最高の美術品が最後に展示されていますから」と話して、実験の結果が美術の専門家の感性と一致していることを指摘しました。